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王立魔法学園~甘いは誰のため~(ざまぁはないよ!)

乙女ゲーム:甘い会議室

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 第一王子の婚約者のシフォンティーヌが良からぬ画策をしている。
 そんな噂が流れ始めたのは、学年が変わり季節も移ろう頃だった。
 地面を焼くような日差しも陰りを見せ始め、頬を撫でる風が少し冷たい気がしてくる。
 この頃には、マカディーアはショコラとの関係を隠さなくなっていた。
 それは勿論学園内だけの事だが、16歳から社交界へ正式に出るようになる貴族の子供達が通う学園である。
 噂好きの貴族の血。
 学園内の公然の秘密が、社交界の公然の秘密になるのに時間は掛からなかった。


「最近、変な噂が流れているね」
 宰相の息子であり、マカディーアの親友でもあるカシュール・ブランが手を挙げて発言する。
 ここは学園の特別室。
 学園内の秩序を取り締まる為の集まり、日本の学校でいうところの生徒会だ。
「シフォンティーヌ嬢の話か」
 騎士団長の第ニ子であるアーモンディ・クラフが補足する。
「あの女なら何をしても俺は驚かないがな」
 大きな溜息と共に、マカディーアがそんな言葉を吐きだした。

「皆、少し休憩したら?」
 場に似合わない明るい声でそう言うのは、手に籠を持ったショコラだ。
 籠の中身は、ショコラ手作りのタルトとシュークリームだ。
 最近はこの会の運営費から材料費が出ているため、少し豪華なお菓子が作られていた。
 勿論、会議の休憩にそのお菓子は提供される。

「ショコラは本当に呑気だな。あの女狐に自分が狙われているんだぞ?」
 呆れたようにカシュールが言うが、その瞳は優しい。
「教科書を捨てられたり、制服を破られたりしたのだろう?」
 強い口調で言うアーモンディの表情は硬い。
 それはショコラに向けられたものではなく、犯人と思われるシフォンティーヌに向けたもの。
 そんな二人の言葉に、ショコラは首を振る。
「カシュー様もアーモ様も、そんな事言わないで。
 まだシフォンティーヌ様が犯人と決まったわけじゃないもの」
 どこか悲しげに笑うショコラの頭を、マカディーアが優しく撫でた。


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