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乙女ゲーム本編突入です。

第67話:今更だけど

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 9月になり、本日から新学年です。
 クラス編成が少し変わりました。
 バカ殿下が特級から、落ちました。
 まぁ、何で今までいられたかの方が疑問だったけどね。

 B級です。
 ようは、普通レベルって事。

 今更だけど、クラスのレベルのおさらい。
 私達がいるのは特級。
 いわゆる特別クラスです。
 魔法だけでなく、通常の座学や体術も高レベルな人が入るクラス。
 私は体術はイマイチだけど、魔法が半端ないので、このクラス所属です。
 ちなみに私は、体術の時間は別授業。
 身体強化魔法とか、習ってます。
 サラもだよ。きっとあのが邪魔で運動し難いんだな。
 羨ましくなんかないんだからね!

 次がA級。
 魔法が得意で、座学や体術が平均よりも高い人達。
 ここまでは、エリートと呼ばれるかな。
 特級は魔法に重点が置かれているが、このクラスは魔法組と体術組に分かれている。
 勿論、体術組でも魔法は平均よりも高いけどね。

 次がB級。
 魔法が平均的なレベルの人達。
 ここに所属する人が1番多いよ。
 ここも魔法組と体術組に分かれている。
 将来、騎士になる人は、ほぼこのクラスの体術組だ。
 アーモディは、ここ。体術組に所属している。
 バカ殿下は、一応魔法組らしいけどね。

 そしてC級。
 魔法と言うか、魔力量が平均よりも少ない人達。
 決して劣っているわけではない。
 でも、通常授業だと魔力切れを起こして倒れちゃうから、危険なので別枠。
 このクラスの人は、魔力操作が上手い人が多い。
 体術の授業は、Bと合同の事が多いみたいよ。
 将来的には、騎士よりも衛兵や憲兵と呼ばれる職業につくことが多いのかな。
 でも仕事内容が違うだけで、騎士の方が偉いとかはない。そこだけは、しっかりと教育される。

 最後、初級クラス。
 ここは、劣っている人が所属する。
 1年生の頃は、魔力操作が苦手だったりして、魔力暴走を起こしたりする人が多いからそれなりの人数が所属していた。
 魔法の基礎すら知らないで入学してくる下位貴族も多いしね。

 しかし、3年生になってもここから抜け出せない生徒なんて、多分、学園創設以来初めてじゃないかな。
 そう。チョコアである。
 彼女1人の為に講師1人を使うわけにはいかないので、今年から彼女は下の学年と一緒の授業だと、サラが言っていた。



 始業式が終わり、教室での顔合わせ。
「短い期間だけど、仲良くな」
 ビゼタールが言う。
 このクラス特級の担任だったのは、元宮廷魔術師だったからなんだな、なんて今更ながら納得した。

 そして、特級に、新たな留学生が来ました。
 そう、隠しキャラだったあの人です。
「シュヴァルツェ・ド・リンツァルテンです。
 サラシーア・カヌーレイとは従妹いとこになります」
 一緒に行動する為の予防線を早々に張ってますね。
 頭良いんだろうな、この人も。

 チラリと視線を横にやり、すぐに戻した。
 え?誰とのアイコンタクト?
 ライジ殿下?
 サラの従兄なら、ライジ殿下と面識あってもおかしくないか。
 あれ?でもデビュタントの時、親しそうにしてたっけ?
 私が見てない所で話してたのかな?



 ********



「短い期間だけど、仲良くな」
 何とも言えない表情で担任が告げる。

「チョコアです。
 言っとくけど、私になんかしたら、マカ様が黙ってないからね」
 新しいクラスメイトを威嚇するチョコア。

 特にチョコアに何の感情も持っていなかった2年生の初級クラスの生徒達は、このチョコアの挨拶で変わった。

 完全な敵意に。

 2年生になってもまだ初級クラス所属の焦りは勿論あったが、人には得手不得手があって当たり前だと、自分のペースで頑張れと、1年間担任に言われてきた。
 心機一転、また頑張ろうね、とクラスの皆で誓い合った。

 そこへ、平民が同級になると言う屈辱。
 しかもその平民が、明らかに自分達を見下していた。
 学園内では有名な人物だったが、学年が違う為に『対岸の火事』だったが、確実に延焼してきた。
 そういえば、寮の料理人を追い出したのもこの女だったはずだ。

 さすが空気読まない女チョコア
 ここでも早々に敵を作ったようである。


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