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乙女ゲーム本編突入です。
第54話:依頼
しおりを挟むん?そういえば、ミリフィールからイベント情報聞くはずだったのに、暴言女のせいで忘れてたわ。
お昼に図書室ででも聞こうか。
昼食は、もう完全にライジ殿下達と食べるのが当たり前になっちゃったからね。
建前は、ミリフィールとルーベンが婚約者だから。
「……わかったか?フォンティーヌ・エルクエール嬢」
いきなりビゼタールに名前を呼ばれた。
しかもフルネームで。
しまった。何も聞いとらん。
とりあえず笑っとけ。
「じゃあ、頼んだぞ」
何を!?
「馬鹿ね。話聞いてなかったのに、理解したフリなんてするからよ」
サラに呆れた表情をされた。
え?そんなにヤバイ案件?
「バカ殿下のエスコートよりは、良いかもね」
え?マジで何の話?
「どこから聞いてなかったのよ」
ゴメン。最初から、全然聞いてませんでした。
「春に園遊会が開催になって、フォンティテーヌ嬢は、リュオ様のエスコートで参加するように学園から要請されたのよ」
え?学園からって、ありなの?
「んもう、授業の後で話しましょう」
私の理解しなさ加減に、サラ先生は諦めた。
「園遊会が何かはわかるわよね?さすがに」
サラちゃん、きっついわ~。
いくら私でも、公爵家令嬢としてそれくらいは常識として知ってます。
「王族主催の社交会って意味の他に、意味あるの?」
ミリフィールが私の代わりに質問する。
「いや、この子の事だから、それすら知らないかと」
ちょい待て、サラ。
同い年だよね?
前世含めたら、私のが全然年上だよね?
よし、久しぶりに本気を出して見せましょう。
「公爵家として、公妃候補として、それなりに知識はございます」
ちょっと公爵家令嬢として対応してみた。
「申し訳ございませんでした」
サラが頭を下げる。
公爵家として、うちの方が格上だから。
滅多に見られない私達の様子に、ミリフィールとジェラールが固まる。
本気の公爵家は、周りを固まらせるくらいの威圧、威厳?があるんだよ。
「ダメだ。最近気を抜き過ぎてて、長時間持たない」
身体から力を抜いた。
周りの3人も同じようにフニャリとなる。
「あ~仲良くなる前は、確かに『公爵家令嬢』だったわ」
ミリフィール?今は?
「つい忘れがちだが、筆頭公爵家になるんだよな。私の立場だと、本来、気軽に愛称呼びなんてできないのだったな」
え?ジェラールお姉様!それは寂しいからイヤ~ン。
「学園内だけでも仲良くしてよ~」
自分から仕掛けたんだけど、公爵家令嬢として対応されるのは哀しい。
「腕が鈍ってないのが確認できて良かったわ」
サラに笑顔で褒められた。
話が脱線するのは、やはり女子だから?
「リュオ様のエスコートの話じゃなかった?」
私の言葉に、皆がハッとした表情になる。
「そうだった。今回の園遊会は、デビュタントに参加できなかった留学生達の為に学園内で催されます。
その為、エスコートは学園内の生徒のみ。学園内に婚約者がいない場合は、相手に許可を取り、学園内だけの相手を見つける事。
中等部の卒業プロムナードと同じような感じよ」
中等部プロムナードは、学園外の婚約者がエスコートするのもありだが、今回は完全に学園内だけのイベントにするらしい。
「で、何で私のエスコートがリュオ様?」
説明役のサラに問い掛ける。
「……どんだけ話聞いてなかったのよ」
呆れた声を出したのはミリフィール。
ゴメン。
『甘王公式本』の事をアレコレ考えてました。テヘ。
「余り下位の者と組ませるわけにもいかず、かと言って婚約者のいない私のような立場の者では、周りが誤解してしまう。それなので白羽の矢が立ったのが貴女なのよ。
バカ殿下の許可があれば、他の人がエスコートしても問題ないからね。その場合のバカ殿下が他の人をエスコートする許可も、勿論出すでしょ?
相手はサプリだろうけどね」
なるほど、納得。
許可?熨斗を付けてくれてやります。
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