31 / 113
乙女ゲーム本編突入です。
第31話:罰ゲームかよ
しおりを挟む誰か、私を助けて。
ライジ殿下にあ~んをされているんですけど、拒否しちゃダメですか?
サラも予想外だったのか、大きな目が更に大きくなっている。
困り果てて周りを確認するが、その反応は二通りで『驚いている』のは私達女性陣。『微笑ましく見守る』のは、ライジ殿下のツレ。止めろよ。
食べても断っても不敬な気がする。
しばらく固まってたが、ライジ殿下は引く気はないらしい。
いつまでも目の前にある肉。
意を決して、肉の中ほどに噛り付き、フォークから引き抜こうとした。
さすがの私でも、フォークに口を付ける度胸は無い。
……が、嚙った肉をグイグイと口の中に押し込まれる。罰ゲームかよ!!
ライジ殿下のフォークに、私の唇が触れた。
ふ、父兄…違う、不敬にならない?大丈夫?
なんて思ってたら、遠くのテーブルからカトラリーが皿の上に落ちるガチャンという大きな音が鳴る。
誰だよ、そんな基礎も基礎、大基礎の失敗するのは。
サプリ娘でも戻って来た?と、思ったら、バカ殿下でした。
「何だったの?あれ」
図書室に移動して、仲良し4人組で小さく固まる。
王族特別室に招待されたが、図書室で調べものがしたいと断ったのだ。
王子達も、場所柄、付いて来るとは言わなかった。大勢で来る所ではないからね。
「ゲームイベントではない。てか、ゲームに第二王子出て来ない」
ミリフィール情報。私より正確。
「女誑しって話は聞かないわね。どちらかといえば冷淡な方よ」
ライジ殿下と一番親しいサラ情報。
「フィオをからかって遊んでた?」
ジェラール。その可能性が一番高いけど、それは言っちゃいけない台詞よ。
「まさか、これから毎日コレ?」
ミリフィールに質問する。
コイツ、ちゃっかり新しい婚約者と親睦を深めてたんだぜ?人が針の筵状態だった時に。
「毎日かは判らないけど……ゴメン。明日は約束しちゃった」
テヘッみたいな顔してるけど、ふざけんなよ。
もう、お前ら二人で食べてろよ。
もしくは、アンタだけライジ殿下のとりまきに入れ。
「アンタ、今、超絶ブサイクよ」
何ですと!?この美少女を捕まえて失礼な。
「サラの言う通りよ。見る?」
ジェラールが私の目の前に鏡のような物を出す。光魔法便利だな。
「そういう顔文字あったよね」
と、どこから出したのかミリフィールが紙にペンで( ´△`)とか(´Д`)とか描く。失礼な。
静かな図書室で、集まってコソコソと話していたら、またもや場違い女がやってきた。
これが漫画なら、『ダンッダンッダンッ』って効果音が付きそうだ。
ガニ股に近い歩き方だよ?普通にダメじゃない?ホント残念ヒロインだな。
「ねぇ、何で私が食堂から追い出されなきゃいけないの!?しかも、戻れなかったんだけど!」
知らんがな。
「チョコア様。ここは図書室ですので、お声を抑えた方がよろしいかと」
とりあえず貴女は空気を読む事を覚えた方が良いわよ。
注意されたチョコアは、頬をプクっと膨らませて拗ねて見せる。
これが男心をくすぐる行動なのか?
私には理解できん。
「貴女を食堂から出すように指示したのは、第二王子のイライジャ殿下です。
何を感じて、どういう意図があったのかは、御本人にしかわかりませんわ」
本当は五月蝿くて鬱陶しかったんだろうけど、あえて言わない。そんな義理無いし。
「ですが、これからもイライジャ殿下がいる時には同じことになると思った方が宜しいかと」
視界に入れたくないだろうからね。
そういう人ですよ、ライジ殿下は。
「何それ、何様なのよ!ちょっと止めるように言ってよ」
チョコア?馬鹿なの?
何様って、第二王子様だよ。
アンタの大好きな第一王子よりも立場が上の、正妃様のお子様だよ。
しかも何でアンタのために私が権力に逆らうのよ。
どんな命懸けの罰ゲームだよ。
36
お気に入りに追加
1,904
あなたにおすすめの小説
どう頑張っても死亡ルートしかない悪役令嬢に転生したので、一切頑張らないことにしました
小倉みち
恋愛
7歳の誕生日、突然雷に打たれ、そのショックで前世を思い出した公爵令嬢のレティシア。
前世では夥しいほどの仕事に追われる社畜だった彼女。
唯一の楽しみだった乙女ゲームの新作を発売日当日に買いに行こうとしたその日、交通事故で命を落としたこと。
そして――。
この世界が、その乙女ゲームの設定とそっくりそのままであり、自分自身が悪役令嬢であるレティシアに転生してしまったことを。
この悪役令嬢、自分に関心のない家族を振り向かせるために、死に物狂いで努力し、第一王子の婚約者という地位を勝ち取った。
しかしその第一王子の心がぽっと出の主人公に奪われ、嫉妬に狂い主人公に毒を盛る。
それがバレてしまい、最終的に死刑に処される役となっている。
しかも、第一王子ではなくどの攻略対象ルートでも、必ず主人公を虐め、処刑されてしまう噛ませ犬的キャラクター。
レティシアは考えた。
どれだけ努力をしても、どれだけ頑張っても、最終的に自分は死んでしまう。
――ということは。
これから先どんな努力もせず、ただの馬鹿な一般令嬢として生きれば、一切攻略対象と関わらなければ、そもそもその土俵に乗ることさえしなければ。
私はこの恐ろしい世界で、生き残ることが出来るのではないだろうか。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
悪役令嬢に転生!?わたくし取り急ぎ王太子殿下との婚約を阻止して、婚約者探しを始めますわ
春ことのは
恋愛
深夜、高熱に魘されて目覚めると公爵令嬢エリザベス・グリサリオに転生していた。
エリザベスって…もしかしてあのベストセラー小説「悠久の麗しき薔薇に捧ぐシリーズ」に出てくる悪役令嬢!?
この先、王太子殿下の婚約者に選ばれ、この身を王家に捧げるべく血の滲むような努力をしても、結局は平民出身のヒロインに殿下の心を奪われてしまうなんて…
しかも婚約を破棄されて毒殺?
わたくし、そんな未来はご免ですわ!
取り急ぎ殿下との婚約を阻止して、わが公爵家に縁のある殿方達から婚約者を探さなくては…。
__________
※2023.3.21 HOTランキングで11位に入らせて頂きました。
読んでくださった皆様のお陰です!
本当にありがとうございました。
※お気に入り登録やしおりをありがとうございます。
とても励みになっています!
※この作品は小説家になろう様にも投稿しています。
チート過ぎるご令嬢、国外追放される
舘野寧依
恋愛
わたしはルーシエ・ローゼス公爵令嬢。
舞踏会の場で、男爵令嬢を虐めた罪とかで王太子様に婚約破棄、国外追放を命じられました。
国外追放されても別に困りませんし、この方と今後関わらなくてもいいのは嬉しい限りです! 喜んで国外追放されましょう。
……ですが、わたしの周りの方達はそうは取らなかったようで……。どうか皆様穏便にお願い致します。
ヒロインに悪役令嬢呼ばわりされた聖女は、婚約破棄を喜ぶ ~婚約破棄後の人生、貴方に出会えて幸せです!~
飛鳥井 真理
恋愛
それは、第一王子ロバートとの正式な婚約式の前夜に行われた舞踏会でのこと。公爵令嬢アンドレアは、その華やかな祝いの場で王子から一方的に婚約を解消すると告げられてしまう……。しかし婚約破棄後の彼女には、思っても見なかった幸運が次々と訪れることになるのだった……。 『婚約破棄後の人生……貴方に出会て幸せです!』 ※溺愛要素は後半の、第62話目辺りからになります。
※ストックが無くなりましたので、不定期更新になります。
※連載中も随時、加筆・修正をしていきます。よろしくお願い致します。
※ 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
【完結】悪女扱いした上に婚約破棄したいですって?
冬月光輝
恋愛
私ことアレクトロン皇国の公爵令嬢、グレイス=アルティメシアは婚約者であるグラインシュバイツ皇太子殿下に呼び出され、平民の中で【聖女】と呼ばれているクラリスという女性との「真実の愛」について長々と聞かされた挙句、婚約破棄を迫られました。
この国では有責側から婚約破棄することが出来ないと理性的に話をしましたが、頭がお花畑の皇太子は激高し、私を悪女扱いして制裁を加えると宣い、あげく暴力を奮ってきたのです。
この瞬間、私は決意しました。必ずや強い女になり、この男にどちらが制裁を受ける側なのか教えようということを――。
一人娘の私は今まで自由に生きたいという感情を殺して家のために、良い縁談を得る為にひたすら努力をして生きていました。
それが無駄に終わった今日からは自分の為に戦いましょう。どちらかが灰になるまで――。
しかし、頭の悪い皇太子はともかく誰からも愛され、都合の良い展開に持っていく、まるで【物語のヒロイン】のような体質をもったクラリスは思った以上の強敵だったのです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる