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乙女ゲーム本編突入です。
第18話:ヒロインって……
しおりを挟むうふふ、キラキラ綺麗。
……なんて、呑気に思えませんよ、コレ。
ダイヤモンドダストですよ。
発生源は、勿論、母と兄。
両親、私に隠れて参加していたようです。
こっそり高位貴族用ボックス席に来るだろう事は予想範囲内だったが、アイドルのコンサートの様にそこからダイヤモンドダストが吹き出しているよ、母。
保護者席にいる兄は……おぉう、講堂がピシリと家鳴りみたいな音をたてたよ。
このデカイ建物を、外気温との差で音が鳴るほど冷やすってダメだろ。
私達が席変更になる経緯を見てたから、余計に怒り心頭なんだろうな~。
なんて考えていたら、隣からそっと手を握られた。
サラの手だ。
「フィオ?さすがに寒いわ」
ニッコリと笑顔。怖っ。
でもサラに言われて気付いた。
私も無意識に冷気を出していたみたい。
肩の力を抜く。
同じようなやりとりが母と兄の所でもあったのだろう。
余韻を残しながら、ダイヤモンドダストが消えていった。
その他は滞りなく、入学式は終了した。
生徒は教室に移動する為に退出する。
出口に近い順で退出するのだから、当然私の前はバカ殿下達。
講堂から一歩出た途端、チョコアがバカ殿下の腕を掴んだ。
不敬なんてものじゃない。
何やってるんだ、このサプリ娘は!
「マカ様、わたし感動しました。
特にあの『全ての者が平等であるべきだ』の台詞に!」
ちょ、何でアンタが愛称で呼んじゃってるわけ?
声もデカイし、周りを見て!!
冷めた目で見られてるわよ。第一王子の愛称呼びもそうだし、話の内容も馬鹿丸出しだし。
前世の日本のように、しっかりとした法整備がされていて初めて『法の下での平等』と言うものが成立するのであって、闇雲に平等なんて無理なのよ。
せめて、公平な社会を……だったらまだ良かったのにな!
ウッキィーと、心の中で怒りを爆発させていると、またもや響く音。
出会いだから、イベント盛り沢山なの!?
**ピンポーン**
<イベントが一つ解放されました>
<新しいページが一部閲覧可能になりました>
ダメだ、気になる!
どこか、どこかで『甘王公式本』を私に閲覧させてくれ~
あ!!あるよ、ありますよ!
ひとりになれる所!!
万国共通、1人で入る所!
前世では、たまに、飲み屋とかクラブとか、良からぬ事をする馬鹿もいたけど。
子供の頃は親が一緒だったけど。
そう。トイレだ。
でもこの世界のトイレって、異様に広いんだぜ~。
なぜなら、ドレスを着てる時はひとりで入れないからだ。特にヒラヒラフワフワしたドレスの時は、水分注意だ。
「サラ。私、ちょっと……」
トイレの在る方向を示し、寄ってから行く事を伝える。
「あら、一緒に行きましょうか?」
どこまで本気かわからないサラの申し出を丁寧に断る。
制服はツーピースなので、お手伝いは要りません。
あまり時間はないので、ちょっと早足でトイレに向かう。
あれ?これ、もしかして、トイレ我慢してるように見えない?
トイレの個室に入る。
日本人の感覚だと、駅とかにある多目的トイレの4倍位ありそうだ。
トイレの中にも簡易椅子がある。侍従用だね。ここに人がいたら確実に落ち着かないな。
その侍従用の椅子に腰掛け、両手を広げる。丁度雑誌が乗るくらいの間隔のそこに『甘王公式本』が現れた。
名前:ショコラ
爵位:平民だが魔力が多い為に学園に入学。その前は、下町のパン屋で両親と暮らす。
髪色:ショコラブラウン
瞳 :ヘーゼルブラウン
属性:聖
うわ、本人よりもイラストが遥かに可愛い。
髪の毛は手入れされた巻髪でフワフワしてて、艶やかで赤みがかった茶色。
瞳もまつ毛バッチリのクリクリぱっちり二重。
今の世界で、下町のパン屋の娘がこのレベルのわけないわな。
ん?聖属性??
この世界、聖って属性ないんだよね。近いのは光属性かな。
光属性は、少ないけどいないわけではない。保護されるほど希少ではないけど。
それか、初の聖属性なのかしら?ショコラってチョコレートの事だし、チョコアも体に良い何かを持ってる?
カカオポリフェノールって体に良いんだよね!
カカオ70%以上だと「血圧低下」「動脈硬化予防」「老化防止」とかあるらしいし。
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