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行きたい所へ行く!それが冒険。多分
第505話:騙されるな!
しおりを挟む今回の目的である、死蔵品になっていた食材は処ぶんんん!ゲフンゲフン!整理整頓有効活用出来たし、美味しいものは食べたし、充実した旅でした!
まだ街中を回るつもりではいるが、とりあえずはここで同盟等も解除して、冒険終了で良いだろう。
非戦闘員も転移陣が使えるようになれば、一人になっても問題無いはずだ。
盛り上がる店内を見ながら、ひとり悦に入っていた俺に、レイが身を寄せてくる。
内緒話をする為だろうが、現実だったらちょっと引く位の距離感。
綺麗な顔が近付いて来て、息が掛かるほどの距離で微笑まれる。
酔ってるな、コイツ。
「それで、『魔動物街』へはいつ行きますか?」
女性達を腰砕けにしそうな熱い吐息で耳元で囁かれたのは、欲望に忠実な言葉だった。
「いや、勝手に行けよ」
素直な返事を返したら、泣きそうな顔をされた。
周りも固まっている。
え?なぜ?
別に非戦闘員ではないし、しかも一度行っているから転移陣使えるし、勝手に行けるだろう?
「今のは酷い」
咲樹に素で言われた。
普段あまりレイとは絡まない咲樹に言われるとは思わなかったな。
「レイはヴィンと一緒に~、もふもふを堪能したかったんじゃないの~?」
残念なものを見る目を止めろ、オーべ。
素面な人間のツッコミが1番堪える。あ、人間じゃなくてエルフか。
<しょうがないから、我が一緒に行ってやろう>
リルが子狼サイズになり、レイの膝に乗る。
いや、他の街ならいざ知らず『魔動物街』は、従魔は従魔術師が一緒でないと入れないぞ。
「ありがとうございます」
レイが膝上のリルを撫でながら、どこか淋しそうに笑う。
騙されるな、皆。これは演技だ。
この少し人の罪悪感をくすぐる表情は、レイが自分に有利に事を進めたい時に使う常套手段だ。
しかし耐性の有る俺や悪友達はともかく、周りは簡単に騙されるわけで……。
「何で一緒に行かんへんの?」
最初にコロリと転がされたのは、1番耐性の無いタコ焼き屋のお姉さんだった。
態々隣のテーブルから話し掛けてくる。
「むしろ、なぜ一緒に行く必要が?」
俺の言葉に、お姉さんだけでなく相方の大柄な男性も残念なものを見る視線を向けてくる。
俺の味方は店内には居ないのか!?
「はい!こちらフレースヴェ、いえ、鳥の唐揚げで……どうしました?」
鳥の唐揚げを持って来た店員が微妙な空気に首を傾げる。
因みに料理名を言い直したのは、悪友達が体をビクリと震わせたからだ。
当の本鳥であるプーリは、全然気にしていないようだがな。
「そういえば店員さんは、『魔動物街』には行った事あるら?」
空気を変えようとしたのか、はれひめが店員へと話し掛けた。
「ありますよ。テイマーですからね、当然です!」
まさかの、ここでテイマーとの遭遇とは。思わず紫蘭へと視線を向けると、相手もこちらを見ていた。
「な、何で当然なの?」
紫蘭が席を立ち店員へと質問する。
「え?だって、従魔を買わないと、テイマーは成り立ちませんからね」
えぇええ?
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