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価値・無価値は、人によって違うものなのだと再確認した

第463話:自分の仕事には、責任を!

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 先程俺の所に来たのとは別の衛兵が、列を眺める俺達に近寄って来た。
「あの、責任者の方は」
 俺が手を上げ、悪友達は俺を示す。
 一瞬呆気に取られたようだが、咳払いして用件を話し出した。

「この外の出店は、教会に申請されてますか?」
 いやいやいや、知りませんが。
「うちの管轄は、ムンド……世界蛇ミドガルズオルムの柵の中だけだ。あ、いや、予想外に外に列は出来たが。出店だか屋台だかは無許可だし、知らないな」

 列まではうちが責任を持つが、その更に外側の草原に出ている店までこちらの責任にされたらたまらない。
 コンサート会場の外で売っている無許可のブロマイドやダフ屋まで、主催者に責任取れ!と言っているようなものだ。

 質問してきた衛兵は、大きく溜め息を吐き出した。
「先程、この件を聞きに行かせた者が追い出されましてね。その者から話を聞いている間に屋台が設置されてしまって、営業を開始されちゃったんですよ」
 あ~、あの衛兵は、この件を聞きに来たのか。

其奴そやつは、責任者として名乗り出たあるじかろんじたのだ。当然の報いであろう>
 おぉ。大人しく俺の後ろに控えていたガルムが、ズイッと前に出て衛兵を威嚇いかくしている。
「あ、いえ。責めているわけではありません!」
 顔色を悪くしながらブンブンと顔を左右に振る衛兵。
 目眩めまいがしそうな勢いだな、大丈夫か?


 会場の外の出店は、衛兵が見張ってくれる事になった。
 イベント会場には分類されないので、街の一部として治安維持をする義務があるそうだ。
 これが教会に申請していたら、イベントの一環いっかんになるらしい。

 何となく小さなトラブルは有りつつも、ほぼ準備が整ったな。
 ガルムとヨミ以外の従魔達も、ムンドの上を歩き回り警備を始めている。
 ムンドの鼻先にハナサンとピリリとルチルが居て、並んでいた人達が列を離れてスクショを撮っていた。
 イベントキャラ扱いか?



「そろそろオコジョ達を呼ぶか」
 イベント会場を見渡しながら悪友達に声を掛ける。
 まだ開場には時間があるが、臆病な属性オコジョを雰囲気に慣れさせる為に、早めに呼ぶのだ。
「出入りするのはクランメンバーと、従魔とペット、それからクラン敷地内にいるモンスターで間違い無いですね?」
 教会所属の転移屋に確認される。

 実は教会には、イベント専門の転移屋が所属していたのだ。
 転送する物や人数、場所、期間等、内容によって金額が変わるそうだ。
 今回は場所と転送する ノは固定されているが、イベント時間内は開きっぱなしになる事と、数が多いのでちょっとお高めらしい。

 クラン主催のイベントだから、俺は1F\フェンも出せていませんが何か?


「まずは俺以外のメンバーが森へ行き、自分のオコジョを誘導。その後俺が行き、トレントを誘導。トレントにはなるべくフリーのオコジョを連れて来て貰う」
 皆が頷く。
「その後は、ペットのオコジョ達にお友達を連れて来て貰う、で大丈夫か?」
 最後の「大丈夫」は、転移屋への質問だ。

「基本的に僕は転移陣を開いたら、不具合が無いように見守るだけですからねぇ」
 クラン敷地内側の転移陣は、オーべと一緒に設置済らしい。
「僕もペットとたまむれても良いんですよね?」
 転移屋の視線がオーべに向く。
「仕事に支障無いなら良いよ~」
 何やら約束されていたらしい。
 転移陣の安全対策だけは、お願いします。


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