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可愛いを独り占めするのは、心苦しく思います……ので
第393話:何かがおかしい
しおりを挟む何となく形になってきたところで、爺さんと斗苫斗的が来店した。
今までで1番スマートに案内出来たと思う。
まだ本格料理は出せないけど、飲み物とクッキーだけは出していた。
料理を持って行った時に、テーブルの上から箱を下ろしてもらう説明の練習の為だ。
本当は現実のペットカフェのように、ペット達用のオヤツも売り出そうかと思ったそうだが、それは俺の畑の野菜になるから止めたそうだ。
「別に大丈夫じゃないか?家で食べてた分をここで食べるだけだから、数は同じだろ?」
野菜の数が心配なのかと思って言ったのだが……
「客が食べたら困るでしょ!」
え?別に食べても良くない?
「俺も皆も食べてるけど!?毒とかないぞ?」
俺も悪友達も、オヤツ代わりにミニトマトを食べている。キュウリも丸かじりしてる。
昨日は、縦4分の1に切った白菜の間にベーコン挟んで、焼いて食べた。
枝豆も茹でてマジックボックスに常備している。
「ち・が・う・わ・よ」
一字ずつ区切って言われた。
「美味しくって、HPもMPもEPも回復する野菜なんて怖くて扱えないわよ!しかも天下の【sechs(ゼクス)】産よ?ペットじゃなくて、そっち目当てで列が出来るわ!」
うちの野菜にそんな効果があったのか。
いや、食べ物だからEP回復は普通だった。
それ以外は……リルの水撒きの効果かな。
「もしかして、うちの野菜での料理を拒否したのも?」
「血みどろで料理を食べに異界人が来るペットカフェに、あなたは来たい?」
「…………嫌です」
てか、血みどろの人が食べに来ると予想出来るほど回復するのか。凄いな、リルの魔力。
うちの野菜、普通じゃありませんでした。
美味しいのは間違いないので、身内で楽しむ事にしよう。
突然入口が開き、ドヤドヤと人が入って来た。
六人だから、1パーティーなのかもしれない。
「あ!マジで【sechs(ゼクス)】揃ってる!」
「看板無かったけど、何屋?」
「スッゲェ!マジもんのガルムじゃん」
は?誰だよ、コイツら。
「あの、まだ開店してないお店なんですけど、何か?」
受付近くに居たファラが対応にあたる。
ここはハイネかココアが行った方が良かったのでは?見た目の問題で。
「え?俺等は隣の店で商品買ったんだけど?」
不思議そうに問われた。
言われたこちら側は「だから何?」である。
「新しく開店する店だから、客を紹介する約束をしてるって隣の店で言われたんだけど?」
いや。そもそも実装実験であって、この場所で開店するとはまだ決まっていないはず。
「あの【sechs(ゼクス)】が居る店だって、自分も仲が良いって自慢してたよな」
「そうそう。自分の店で商品買ったら、優遇してもらえるからって。なぁ?」
一人の問い掛けに、残りの五人がウンウンと頷く。
嘘を言っている様子は無い。
「ちょっと場所をお借りして良いですか?詳しくお話を伺いたいのですが」
不動産屋さんがオーナー達に許可を取り、乱入者達を奥のテーブルへ連れて行った。
話を聞き終わったタイミングで、また新たに三人入って来た。
同じ事が繰り返され、結局三十人近い闖入者が来た。
段々と笑顔が黒くなっていく不動産屋さんと、せっかくだから練習相手になってもらおう!と明るい笑顔のオーナー達の対比に、背筋が寒くなった。
どっちも凄いな。うん。
俺達は、外に遊びに行こうか!な?ガルム!
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