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可愛いを独り占めするのは、心苦しく思います……ので
第388話:誤解?勘違い?
しおりを挟む驚愕の自己紹介の翌日。
ペットカフェの場所は決まらないまま、お店の中に特殊転移陣が設置されていた。
何が特殊なのかというと、ペットや従魔用なので扉をくぐると転移するという優れものだ。扉と言っても実際に開くわけではなく、クランハウスの俺の部屋にある庭への扉の様に通り抜け型だ。
勿論、登録したものしか通れないので、客がクランのペットのお家へ転移して来る事は無い。
そして、俺達やオーナーであるココア達も転移出来ない仕様だ。
座標指定を必要とする一般的な転移陣ではなく、扉が転移陣と連動している魔導具に当たるらしい。
なので、行き先は一ヶ所指定なのだとか。
登録した個体しか通れない機能は、ペットのお家の出入口と同じなのか?
クランハウスの扉は、クラン証と連動しているから、また違うのだろう。
設置した転移扉を試すには、店舗を仮でも良いからどこかに設置しないといけないらしい。
内装とかは不動産屋の中でも出来るが、転移陣だけは出来ないそうだ。
特殊な拡張空間の不動産屋の中に、更に店舗の中という特殊空間で転移陣を展開するのは、管理的に無理と言われた。
俺は意味が解らないが、レイが「あ~、ですよね」と納得していた。
とにかく、あの隣に問題の店のある場所で実験する事に決まった。
「何だっけ?問題の店の名前」
咲樹に聞かれる。
「確か昼夜逆転生活?みたいな意味の英語?」
俺が答えると、ココアに「適当言わないの!」と怒られた。
本来の店名は【late-night】で深夜営業とか真夜中って意味だそうだ。昼夜逆転生活は『Night owl life』だそうだ。似てない?似てないか。
人間達は噴水広場へ転移し、店舗前まで歩いて行く。店舗は不動産屋の人と、喜亜羅が先に設置しているらしい。
え?喜亜羅で大丈夫なの?と思ったのは内緒だ。
そして店舗の前には不動産屋さんと喜亜羅と、恐ろしく綺麗な男の人。
咲樹の男版というか、咲樹が性別変えなかったらなっていたであろう姿というか、とにかく凄い人。
「おっそ~い!何のんびり歩いてんのよ!」
前回の自己紹介の時にいなかった、残念イケメンのオーナー最後の一人だ。
現実では、さぞかし美人なのだろう。なぜ性別間違えちゃったのかな!残念過ぎる。
「2度目まして!ハイエルフの紫蘭よ!今はテイマーよ!転職したばかりだから色々教えてね!」
おぉ!仲間!でも転職したばかりで、まだ従魔はいないそうだ。
今は、火蜥蜴の卵を育てているそうだ。
「名前は?」
俺の質問に首を傾げる紫蘭。
俺も思わず首を傾げてしまった。
「卵はまず名前を付けないと、スイッチが入らないだろう?」
名前を付けた瞬間に魔力を吸われるがハイエルフなら大丈夫だ……と思いたい。
「とりあえず手に卵を持って、名前を付けると繋がるから判るぞ」
とても怪訝そうな顔をされた。
「火蜥蜴の卵は日向に置いて転卵でしょ?」
うん。違うね、それ。間違った情報だから。
「その方法だと何十年か何百年も掛かるぞ、多分」
紫蘭の視線がオーベへと動く。
「うちの火蜥蜴は、名前付けたら魔力を吸い始めて~、リルの炎で一瞬で孵化したよ~」
さすがに一瞬ではなかったけどな。
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