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可愛いを独り占めするのは、心苦しく思います……ので
第376話:ペットと羽飾りと名付け
しおりを挟む日付が変わる前に、爺さんがやって来た。
来た途端に綺羅の頭を無言で殴っていたので、情報漏洩については綺羅本人から連絡がいっているのだろう。
敢えて誰も触れないけどな。
「ふむ。この羽を加工するんじゃな?」
爺さんは、カラフル兎(白)の頭からプーリの羽を取ると、光に透かすようにして眺める。
職人っぽいな!いや、職人だけど。
(白)二匹が『返して!』みたいにピコピコとジャンプしている。
「可愛くしてくれるから、大人しく待っていなさい」
俺の言葉を理解したのか、(白)はジャンプを止めた。
ホント?みたいに見上げてくる。
本当だから、お待ちなさい。そんな気持ちを込めて二匹の頭を撫でた。
「二匹の名前は決まっとるのか?」
爺さんに聞かれたので、素直に杏仁豆腐かパンナコッタかブラマンジェだと答える。
皆の視線が痛い。
プリンの友達だから、白いプルプルデザートで良いだろう!?
「せめてアンズとかナッツとか、ひねりましょうよ」
綺羅に言われたが、意味がわからん。
「杏仁豆腐は杏の種、ブラマンジェはアーモンドミルクが主流だからでしょう」
レイが捕捉してくれる。
それなら杏仁でアニンとアーモンドからアモンで良いか?
「では、アニンとアモンにしよう」
なぜ、しょうがないか~みたいな空気?
「白玉とか言い出さなかっただけマシじゃない?」
咲樹がなかなか失礼な事を言い出す。
名前に玉を付けたのは、俺じゃなくてユズコだぞ?
「繭玉と団子でも良かったよな!」
それは、見た目からかな?ユズコさんや。
まぁ、ドーロの時の金玉よりは遥かに良いよな。
「ほれ、こんな感じでどうじゃ」
馬鹿な事を話していたら、爺さんが羽飾りを完成させていた。
差し出された羽飾りは、斗苫斗的が作ったのを基に、小さなチャームが付いている。
2個には羽の根元に梅の花と杏の実のチャーム。2個には根元の花が桜で、チャームがアーモンド。
悔しいが趣味が良い。
「こっちが杏の実と花、こっちがアーモンドの種と花じゃ」
梅の花と桜の花じゃありませんでした。……普通、杏とかアーモンドの花なんて知らないよな?な??
(白)二匹の前に、少し離して羽飾りを置く。
行ったり来たりしていたが、それぞれが気に入った方の前で止まったようだ。
杏の羽飾りを付けてやり「お前の名前はアニンだぞ」と告げる。同じようにアーモンドの羽飾りを付けた方には「アモン」だと教えた。
後日、ジルドに「アモンは悪魔の名前だけどな」と言われ、ちょっと心配になったのは内緒だ。
素直に育ってくれよ、アモン。
因みに、どちらも俺のカラフル兎(白)だった。
知り合いのペットは鑑定すると誰の子か判るが、全然知らない人のペットは『ペット』としか出ないらしい。
その辺は獣魔と一緒のようだな。
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