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可愛いを独り占めするのは、心苦しく思います……ので
第375話:個性・個別性・多様性
しおりを挟む何となく疲れて脱力していたら、ペコタコとプーリが歩いて来た。ヨチヨチと表現出来ないのは、脚の太さのせいだろうか。
「皆と遊ぶのは終わったのか?」
不貞腐れたような顔で頷くプーリ。
ただ単に目つきが悪いだけで、不機嫌なわけでも怒っているわけでもない。不憫。
甘えに来たのか、ガルムに寄り掛かって座っている俺の足に登ろうと頑張るプーリを、持ち上げて抱きしめた。
うん。がっしりしてるね。
骨とか筋肉とか、良い持ち心地だ。
孵化してから、大分大きくなったよな。
シズカよりは小さいか?重さは同じくらい有りそうだけど。
撫でくり回していたら満足したのか、プーリが羽根を動かし始めた。
<ぴぃ>
あ、これは降ろして!だろうな。
プーリをラグの上に置くと、カラフル兎(白)が二匹寄って来た。
ん?耳が4つ!?と思ったら、プーリの羽を頭に飾っていた。
えぇ、何この子達。
「妙に仲良いのよ、この子達。羽飾りはプーリが付けただけだからすぐ落ちちゃうんだけど、落ちる度に兎がプーリに持って行って、また付けてもらうのよ」
何それ、可愛い。
テラに対するドーロみたいな感じか?
(白)も沢山いるけど、なぜかこの二匹だけのようだし。それに色だけなら(Pイエロー)じゃないのか?
なぜ(白)?まぁ、天色のテラと(金)のドーロが仲良しだしな。
「せっかく斗苫斗的がいるから、落ちない羽飾りを作ってもらうか?」
プーリを含めた三匹に声を掛けると、キラキラした目を向けられた。
「こういうのは、僕よりタカアシガニのが得意なんですよね」
プーリの羽を手に、斗苫斗的が考え込む。
何となくわかる気がする。
斗苫斗的は、男の子が好きそうな鎧とか、機械とかが得意な印象だ。
爺さんは、お洒落なチェーンとかフェロニエールとかフロントレットとか、繊細な物が得意なイメージだ。
「タカアシガニは、課題が……あっ!」
綺羅さんや。予想はついてたけど、バラしちゃいけんよ。
「と、とにかく、明日!明日には来ますよ」
この明日は現実の明日じゃなく、ここでの明日だな。
「じゃあ、僕は仮の飾りにしておきますね。羽の根元を加工して、頭から落ちないようにだけしておきます」
プーリの小さな羽の根元に、何やら丸い玉を付けてから、カラフル兎(白)の耳の脇にポンと置く。
試しに(白)がどれだけ跳んでも走っても宙返りしても、羽は落ちなかった。
凄いな、錬金術師。
カラフル兎(白)にも名前を付けようかと思ったが、そもそもこの二匹の区別がつかない俺。
名前も杏仁豆腐かブラマンジェかパンナコッタしか浮かばない。
プリンの友達だからな。
ミルクプリンと言わなかっただけ褒めて欲しい。
俺の名付けセンスは、底辺だ。自覚はしている。
「あれ?今日は随分盛況ですね」
玄関扉を開けて入って来たのは、両手で魔物野菜の入った籠を持っているレイだ。
インベントリに入れて持って来た方が楽なのだが、この方が世話している実感があって良いらしい。
カラフル兎達がレイの方へと寄って行く。
あぁ、これを狙ってやっているのか。
それでも個人差があり、ドーロやプーリの友達二匹は動いていない。
他にもヨミとネルと一緒にまだムンドで遊んでいる兎もいるし、クッションの上で熟睡しているのもいる。
本当に個性豊かになったな、カラフル兎。
飼い主によっても差が出てるのだろうか?
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