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可愛いを独り占めするのは、心苦しく思います……ので

第371話:グレードアップ

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 休日の朝、軽く食事をしてからログインする。
 従魔達とひととおりたわむれてから、場所を移動した。
 向かった先は、敷地内にあるペットのである。
 ペットのお家というと可愛い家を想像するが、内部の大きさは本宅のクランハウスに負けていない。
 そして設備に関していえば、本宅より凄い。
 本当のペットであるカラフル兎や、ピリリやオパールは共有スペースに入れるが、餌付けされた野生のウサギとイタチ(仮)は、割り当てられた部屋にしか入れない。そこと外との出入りは自由だが。

 ペットの部屋は、オパールの部屋が増えていた。
 クランメンバーは全部屋に入れるが、従魔達はリビングとカラフル兎の部屋にしか入れない。
 ピリリとオパールの部屋に従魔が入れない事をピリリとオパール自身が残念がっていたから、早々に変更されそうだけど。
 溶岩に耐えられない子は、ピリリの部屋への出入りは許可しないけどな!俺が。

 常に新鮮な水をたたえる水飲み場や、自動シャワー施設もある。
 これは、勿論全員が使用可能だ。
 出会った当初よりイタチ(仮)がキラキラして見えるのは気のせいじゃないだろう。
 それなのに、まだ誰のペットでもない不思議。立場としては、餌付けされている野良だ。
 従魔と違って特に登録も無いのに、ペットと餌付けの差が判らない。

 俺のペットのカラフル兎は、イベントからペットになったので、普通のペットとは違うのだ。
 ピリリもオパールも孵化させたから、卵の持ち主が飼い主になるとか?
 それだと卵から孵化しない魔獣モンスターはペットにできない事になってしまうから違うか。


 共有スペースへ入ると、先客が居た。
 綺羅と斗苫斗的ととまとまとだ。
「お邪魔してます」
「新しいの作ったから持って来ましたよ」
 もう、お前達もクランメンバーで良いと思う。
 こき使われ過ぎだろ!?嫌な事はちゃんと断りなさいね!!

「新しい持参すると、入場許可が出るんですよ!」
 よく判らない機械を手に斗苫斗的が言う。
 綺羅の手には、紺色の座布団。
 部屋の中をよく見ると、カラフル兎と同じ色のクッションがたくさん置いてある。
「クッションだと、寝返りうって転げ落ちる子がいるので、今度は座布団にしました」
 よほど俺が変な顔をしていたのか、二人は慌てて「ちゃんと報酬貰ってますよ!」と言い訳していた。

「適正価格か?」
 俺の言葉に、二人はフイッと顔を背けた。
 ここに来たいが為に、格安にしているのだろう。
 適正価格でもジルドとレイなら喜んで払うとは思うが、何せ数がべらぼうに多い。
 依頼された以上に作って持って来ていそうだな。

あるじ、兎達が喜んでいるのだからいでは無いか>
 成り行きを見守っていたガルムが俺の頭に頬擦りをしてくる。
 最近増えた行動だ。
 俺を甘やかしているのだろうか?
<ドーロ専用のもあるんだよ!>
 金色のカラフル兎であるドーロを抱えたテラも寄って来た。
 相変わらず仲良しだな。

 本邸のリビングより広い共有スペース。
 置いてある物には、必ずカラフル兎が居た。
 クッション、座布団、遊具、迷路……迷路!?
「飽きたら、壁を乗り越えて脱出出来る安心設計です!」
 俺の視線に気付いた斗苫斗的が得意気に説明してくれた。

 俺が仕事に忙殺されていた1ヶ月の間に、ペットの家が数段グレードアップしていたようだ。
 今日は居ないが、爺さんタカアシガニも噛んでいるのだろう。


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