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タマゴはタマゴ 夢見るタマゴ 頑張るタマゴ
第365話:早く出て来て!(まだです)
しおりを挟む見間違えたかな?と、レイの手の中の八咫烏の卵を凝視する。
同じようにレイも卵を無言で見つめていた。
一度殻を突き破って表に出た嘴は、また他の場所を突く為に引っ込んでしまっている。
「…………今、嘴が白かったような気がしたのですが」
「奇遇だな。俺も同じ事を思っていたよ」
レイの視線がゆっくりとこちらへと向く。
音は聞こえなかったが、口が「ヴィンクオリティ」と動いたのを、俺は見逃さなかったぞ!
失礼だな。
今回は俺は無関係だ。冤罪、濡れ衣だ。
卵は石と思って拾っただけだし、名付けはレイだぞ。
「ちょっとぉ、何二人で見つめ合ってるのよ」
空気を読まない咲樹が声を掛けてきた。
読めないのではなく、読まない。
この現象は、レイ相手によく発揮される。
それは良いとして、白い八咫烏の目撃情報が今まであったのかを聞いてみる。
「私は無いわね。皆にも聞いてみる?」
咲樹が遠くに見えるギャラリーを指差す。
「皆」が副音声で『下僕』と聞こえたのはなぜだろう。
「いや、白くても支障ないだろ。レイの肩に乗った時の格好良さが倍増するだけで」
普段なら銀髪のレイとの相性が良さそうだし、暗黒騎士の時なら黒と白のコントラストが格好良いだろう。
だが何より、獣化した銀狼のレイと、一緒に居る白い八咫烏の神々しいであろうコンビがたまらん。
白い動物は神の遣いだって言うしな。
あれ?そもそも八咫烏って神の遣いだよな。
神の遣いワンランクアップ?
「銀狼に白いカラス!素敵ぃ」
「またファンが増えそうじゃん?」
「八咫烏の卵の値段が高騰しそうじゃのう」
「寝床用のクッション、プレゼントしますね!」
「僕も何か作りたいけど、ヘタに飾らない方が多分良いよねぇ」
「馬鹿なの!?そもそも落ちてる八咫烏の卵拾ったのがおかしいのよ!」
「幸運が異様に高いんでしょうね」
「私も一緒に冒険したら、高級食材ザックザク?」
おかしい。
八咫烏の話題から、いつの間にか俺の話題にすり替わっている。
「高級素材が手に入るなら、私もテイマー取ろうかしら」
スイカが……失礼、山茶花が側に来てしゃがみ込む。
膝を抱えてしゃがむのは良いが、男性陣の視線は気にならないのか?
膝の上のスイカが凄い事になってるぞ!
「ん?職業って2つ取れるのか?」
皆の視線が冷たい。凄く冷たい。真冬の水道水くらい冷たい。
「俺の職業~、回復術師とアーチャーだって見せたよね~」
「俺が錬金術師で鍛冶師だって知ってるよな?」
オーベとオッサンの圧が凄い。
言われればそうだけど、ウッカリ忘れる事はあるよな?
なぜ、皆それほど冷たいの!?
「ヴィンがチュートリアルの説明をほぼほぼ聞いていなかったのがよく判った」
おっと、自業自得デシタ。
テイマー一択だったので、職業説明は殆ど聞いておりませんでした。はい。
あぁ、オパール頑張れ!早く孵化して、皆の注目を集めてくれ!
この際、仲良く遊んでいるムンドとプーリが何かをやってくれても良いぞ!!
……こういう時には、フラグは立たないのだと実感した。
───────────────
まだですw
孵化って、普通に時間掛かるよね~と温かく見守っていただければ幸いです(笑)
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