上 下
348 / 506
タマゴはタマゴ 夢見るタマゴ 頑張るタマゴ

第348話:凄い!良いね!!

しおりを挟む
 


「ふおぉぉぉ!」
 バーベキューとは思えない料理が目の前に並んでいる。
 里芋と蛸の煮物、大根と蛸の煮物、蛸の唐揚げ、蛸の天ぷら、蛸とワカメとキュウリの酢の物。
 蛸とショウガの炊き込みご飯。
 蛸のアヒージョ、アクアパッツァ、蛸のガーリックバター焼き、サラダ、蛸のマリネ。
 蛸のペペロンチーノ。
 マリネと酢の物は違うのだろうか?

 和食は燕と三条、洋風はシアラだ。
 鉄板でチヂミを焼いているのは山茶花だな。
 ちゃんと調理をしているって事は、スキル[料理]を持っているのか。
 一緒に焼きそば?も焼いている。
 スイカが邪魔そ……何でもないデス。
 普通に網で蛸を焼いてるのは、オーベだな。
 隣の網で大量の肉を焼いているのは、ユズコと咲樹。肉食め、野菜も食えよ。

「焼き物係は、ひと段落したら一旦集合!乾杯するぞ」
 焼けた色々が載った大皿2枚を持ったジルドが、叫びながらこちらに歩いて来た。
「これは離れても良いのかのう?」
「噴き出さないように見ているだけだから、多少なら大丈夫……ですかね」
 爺さんとリイドが大鍋の前で困っている。
 どうやらシアラに火の番を頼まれたのだろう。
 本人はさっさとこちらに来ている。
 リコンスが「大丈夫だって!」と伝言しに走って行った。

『どこに行く小僧!』『焼いてから行け!』『鮮度はドンドン落ちるんだぞ』『野菜を美味しく食べるには、時間との戦いだ!』

 あぁ、綺羅が次を焼かないでこちらに来たら、生の魔物玉蜀黍とうもろこしから非難轟々だ。
「黙れ。刻まれたいのか?」
 立ち上がったレイが玉蜀黍に殺気を飛ばしている。
 あ、静かになった。
 フンッと息を吐き出して、レイが静かに座る。
 俺と目が合うと、無言で微笑まれた。


「は~い、皆グラス持った~?」
 オーベの声に、皆が自分のグラスを目の前に上げる。
 スマン。俺とリコンスは乾杯に不向きな冷酒グラスだ。
 蛸刺しが来た時点で日本酒に切り替えてしまった。
 駄目な大人で申し訳ない。

「それでは~、クラーケンとリッチブルにカンパ~イ!」
「乾杯!」
「かんぱぁい!」
 それぞれが近くの人とグラスを合わせる。
 俺は、レイとリコンスと斗苫斗的だな。
 飲もうとしたら、わざわざ咲樹とジルドが寄って来た。
 グラスを合わせる。
「げ!もう日本酒飲んでんのか」
 ジルドに呆れた顔をされてしまった。

 さて飲もう。と、したら、今度はユズコとオーベだ。
 二人ともソフトドリンクなのだろう。飲み物にはストローが刺さっている。
「はい、お疲れお疲れ~」
 オーベはレモンスカッシュかな。
「次の時は狩りから呼んでくれな!」
 ユズコはウーロン茶だろう。
<それは良いね~。次は呼んで欲しいな~>
 オーベの肩のピリリがユズコに同調する。
 次は無いけどな!

<次は烏賊のクラーケンなんだぜ!>
 ちょっ!そんな約束してないぞ?ムンド!
 俺が返事をする前に、勝手にムンドが話を進めている。
<我も行きたいのだが、いかんせん海の上ではなぁ>
 超小狼姿のリルまで話に入ってきた。
 今さっきまで焼きクラーケンを夢中で食べてたはずなのに!

<きゅ!>
 ジルドに餌付けされていたはずのヨミが俺の前に来て、テディベアリュックを前足でポフポフとした。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

危険な森で目指せ快適異世界生活!

ハラーマル
ファンタジー
初めての彼氏との誕生日デート中、彼氏に裏切られた私は、貞操を守るため、展望台から飛び降りて・・・ 気がつくと、薄暗い洞窟の中で、よくわかんない種族に転生していました! 2人の子どもを助けて、一緒に森で生活することに・・・ だけどその森が、実は誰も生きて帰らないという危険な森で・・・ 出会った子ども達と、謎種族のスキルや魔法、持ち前の明るさと行動力で、危険な森で快適な生活を目指します!  ♢ ♢ ♢ 所謂、異世界転生ものです。 初めての投稿なので、色々不備もあると思いますが。軽い気持ちで読んでくださると幸いです。 誤字や、読みにくいところは見つけ次第修正しています。 内容を大きく変更した場合には、お知らせ致しますので、確認していただけると嬉しいです。 「小説家になろう」様「カクヨム」様でも連載させていただいています。 ※7月10日、「カクヨム」様の投稿について、アカウントを作成し直しました。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

えっと、幼馴染が私の婚約者と朝チュンしました。ドン引きなんですけど……

百谷シカ
恋愛
カメロン侯爵家で開かれた舞踏会。 楽しい夜が明けて、うららかな朝、幼馴染モイラの部屋を訪ねたら…… 「えっ!?」 「え?」 「あ」 モイラのベッドに、私の婚約者レニー・ストックウィンが寝ていた。 ふたりとも裸で、衣服が散乱している酷い状態。 「どういう事なの!?」 楽しかった舞踏会も台無し。 しかも、モイラの部屋で泣き喚く私を、モイラとレニーが宥める始末。 「触らないで! 気持ち悪い!!」 その瞬間、私は幼馴染と婚約者を失ったのだと気づいた。 愛していたはずのふたりは、裏切り者だ。 私は部屋を飛び出した。 そして、少し頭を冷やそうと散歩に出て、美しい橋でたそがれていた時。 「待て待て待てぇッ!!」 人生を悲観し絶望のあまり人生の幕を引こうとしている……と勘違いされたらしい。 髪を振り乱し突進してくるのは、恋多き貴公子と噂の麗しいアスター伯爵だった。 「早まるな! オリヴィア・レンフィールド!!」 「!?」 私は、とりあえず猛ダッシュで逃げた。 だって、失恋したばかりの私には、刺激が強すぎる人だったから…… ♡内気な傷心令嬢とフェロモン伯爵の優しいラブストーリー♡

稀有ってホメてる?

紙吹雪
ファンタジー
劣悪な環境で育ったが為に 常識なんかが色々足りないけど 冒険者としての能力は優れている 前向きで少し抜けている男の子? 成人したてなので多分、子。 彼の名は「リミル」。 高ランク冒険者 その中でも上位の実力 それを本人はまだ知らない なぜならソロだから… ソロだけどボッチじゃないからなッ! 読みにくくないように出来るだけ頑張っておりますが誤字脱字があれば教えて頂けると助かります。 ※文字数は重複したものです。 ※さらっと?LGBT要素入ります。 ※エロはありません。想像はご自由にお楽しみください。 題名少し変更しました。 元:稀有ってイイよね。

お母さん冒険者、ログインボーナスでスキル【主婦】に目覚めました。週一貰えるチラシで冒険者生活頑張ります!

林優子
ファンタジー
二人の子持ち27歳のカチュア(主婦)は家計を助けるためダンジョンの荷物運びの仕事(パート)をしている。危険が少なく手軽なため、迷宮都市ロアでは若者や主婦には人気の仕事だ。 夢は100万ゴールドの貯金。それだけあれば三人揃って国境警備の任務についているパパに会いに行けるのだ。 そんなカチュアがダンジョン内の女神像から百回ログインボーナスで貰ったのは、オシャレながま口とポイントカード、そして一枚のチラシ? 「モンスターポイント三倍デーって何?」 「4の付く日は薬草デー?」 「お肉の日とお魚の日があるのねー」 神様からスキル【主婦/主夫】を授かった最弱の冒険者ママ、カチュアさんがワンオペ育児と冒険者生活頑張る話。 ※他サイトにも投稿してます

婚約者が、私より従妹のことを信用しきっていたので、婚約破棄して譲ることにしました。どうですか?ハズレだったでしょう?

珠宮さくら
恋愛
婚約者が、従妹の言葉を信用しきっていて、婚約破棄することになった。 だが、彼は身をもって知ることとになる。自分が選んだ女の方が、とんでもないハズレだったことを。 全2話。

無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~

鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!  詳細は近況ボードに載せていきます! 「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」 特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。 しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。 バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて―― こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

処理中です...