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タマゴはタマゴ 夢見るタマゴ 頑張るタマゴ
第339話:満腹、満悦、満遍
しおりを挟むリル曰く、フレースヴェルグの卵は今はお腹いっぱいのようなので、テディベアリュックのファスナーを閉めた。
「ヨミ、ありがとうな」
<きゅ!>
「ムンドは、これからは勝手な事はしないように。魔力はありがとう」
<狭くて良いなぁって思ったんだもん>
一応は反省しているのか。ちょっと項垂れている。
基本が蛇だからな。狭い所が好きなのは解る。
<他に言う事は無いのかい?>
いつの間にか素の大きさに戻っていたリルがムンドに問い掛ける。
口を大きく開けて、今にも噛みつきそうで怖いです。はい。
<ごめんなさい>
<それだけかい?>
<勝手な事してごめんなさい>
ムンドがチョコンと頭を下げる。
基本、良い子だよな。
リルがムンドをヨシヨシと撫でて、今回の件は終了となった。
大きいままのリルが15センチのムンドを撫でたので、潰しているようにしか見えなかった。
言わないけどな!
<あのね!そろそろ交代なの!>
おや?シズカがレイの足元へ寄って行った。
その後ろをユキが付いて行く。
「交代ですか?」
視線を合わせるようにしゃがんだレイが問い掛けると、シズカが大きく頷く。
<シズカはあまり魔力量が多くないのでのぅ。妾に八咫烏の卵を移して欲しいのじゃ>
なるほど、とレイが納得して、シズカの首から風呂敷を外した。
丁寧に風呂敷から八咫烏の卵を取り出して、風呂敷だけをシズカの首に戻してやっている。
その間、卵はシズカが両手で持っていた。
可愛いな、おい。
今度はユキの首から風呂敷を外し、卵を包んでから戻す。
無事に卵のお引越しが済んだようだ。
<ありがとう!>
シズカがお礼を言い、頭を下げる。
<うむ、くるしゅうない>
えぇ~と、姫?なのかな?
でも、言葉はツンで偉そうに聞こえるが、ブンブン振られた尻尾が心情を隠せていませんよ、ユキさん。
レイは全てお見通しな感じで、二匹の頭を撫でた。
「そういえば、八咫烏ってどんな能力持ってる魔物だ?」
俺の知っている八咫烏は、あのバカラスだけだと気付いた。
まぁ、当たり前だけどな。
本来なら八咫烏は『日出処』までは会うことの無い魔物だ。
<頭が良くて、真面目!キッチリしてて偉い烏!>
シズカが質問に答えてくれたが、烏ではなく、銀縁眼鏡でオールバックの、王道な冷徹社長秘書が頭に浮かんだ。
うちの会社に実際にいる社長秘書ではなく、テレビや漫画で見るキャラだ。
シズカには悪いが、余計に謎が深まっただけなのだが。
<伝えるもの、導くもの、助けるもの、なのじゃ>
ユキの説明は、解るような判らないような、微妙な気持ちにさせられた。
とにかく、間違いなく、絶対に、確実に、あのバカラス兄弟がイレギュラーだったのだという事は理解した。
そうだよな!八咫烏は神の遣いだからな!
そういう意味では、白狐も神の遣いだけどな……
あれ?リルとムンドは、神と戦った……よな?
もしや敵になるのか!?
いや、日本と北欧だからセーフかな。うん。
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