上 下
335 / 506
タマゴはタマゴ 夢見るタマゴ 頑張るタマゴ

第335話:プレゼント?聞いてないよ!?

しおりを挟む
 


「話は終わったか?」
 ジルドが声を掛けてきた。
 リルもスピネルもこちらへ来てしまったので、手持ち無沙汰だったのだろう。
 ガルムを撫でながら、こちらの様子を見ていたようだ。

「終わった……のか?な?」
 綺羅と爺さんと斗苫斗的ととまとまとを順に見ると、皆が一様に頭をブンブンと縦に振っていた。
 どこぞのヘビメタライブのようだ、とは思っても口にしない。
「移動するか?俺はチェーンさえ手に入れば良いから任せ」
「ここで作って渡そうかのう!」
 爺さんが被せ気味に答えてきた。
 別にジルドは怒ってないぞ?
 多分、構う相手が居なくて拗ねただけだ。


 爺さんにお任せにしたチェーンは、黒とチタンブルーの2色になった。
 悔しいけど、やはりセンス良いな。
 綺羅に貰ったコートとも似合っている。
 フードには耳を出す穴が開いていて、淡い水色から濃い紺の耳が出るのがまた可愛い。
 あれ?今更気付いたが尻尾の先も白いのか。

<みんなとお揃いにゃー!>
 スピネルが嬉しそうにジャンプする。
<お揃いだね!嬉しいね!>
 シズカもピョンピョンと跳ねている。
 あれ?シズカが水色のポンチョを着ているけど、持っていたか?
 チラリと綺羅を見ると、サッと目を逸らされた。

<きゅ!>
 ヨミが俺の顔を見て鳴くけど、ヨミの服は全部クランハウスのマジックボックスの中だぞ。
「はい!」
 綺羅が元気良く俺の前に洋服を広げて見せてくる。
 ヨミのポンチョの新作のようだ。
<きゅきゅぅ>
 ヨミの鳴き声の最後にハートが見えた……気がする。
「……ありがとう」
 受け取ってヨミに着せると、嬉しそうにスピネルとシズカの所へと跳んで行った。

「はい、次!」
 は?
 巫女装束の袖を無くして、ペット用の服に改良したような服が目の前にある。
「これは、もしやユキのかな?」
 綺羅が返事をする前に、ユキが俺の足元へ来て尻尾をパタパタしている。
「そうです!」
「……ありがとうな」
 もう本人、本狐?がその気だから着せるしかないよな。
「はい、次はこれです!」
 綺羅に代わり、斗苫斗的が俺に小箱を差し出してくる。
 いや、「はい、次」じゃなくて!
 もしや全員分何かがあるのかなぁ?


 結果。
 斗苫斗的はテラとムンドの物を作っていた。
 テラのは両手と首を飾る、鎧?ではないよな、コレ。
 所々に水色の魔石が装飾してあるし、鎧ではなくて、完全にアクセサリーだな。
 ムンドにはリクエストを聞いていたので、また次回お楽しみに!との事。
 一応腕輪を作ってきていたが、腕は消したりしてしまう為に却下されたのだ。

 ガルムとリルには、爺さんから新たなチェーンをプレゼントされた。
 ボールチェーンと水色の魔石を使った物で、普通にお洒落だ。
 俺でも付けられるな!と思っていたら、同じデザインのブレスレットを渡された。

 今回は、従魔全員に俺の髪色である水色を付けさせる作戦だったそうだ。
 ムンドが酷くガッカリしているけど、しょうがないよな。
 落ちないなら頭の上にでも置くか?と軽い気持ちで言ったら「それ、良いですね!」と斗苫斗的と爺さんが協力してミルク王冠クラウン型に作り替えていた。
 マジですか……。

 今更だが、この二人も、もしかしてかなりの実力者なのではないかと、心配になった。
 いつもいつもプレゼントされていて、未だに1F\フェンも払っていないよな、俺。
 世間的に大顰蹙だいひんしゅくでは!?


しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

前代未聞のダンジョンメーカー

黛 ちまた
ファンタジー
七歳になったアシュリーが神から授けられたスキルは"テイマー"、"魔法"、"料理"、"ダンジョンメーカー"。 けれどどれも魔力が少ない為、イマイチ。 というか、"ダンジョンメーカー"って何ですか?え?亜空間を作り出せる能力?でも弱くて使えない? そんなアシュリーがかろうじて使える料理で自立しようとする、のんびりお料理話です。 小説家になろうでも掲載しております。

ゲームで第二の人生を!~最強?チート?ユニークスキル無双で【最強の相棒】と一緒にのんびりまったりハチャメチャライフ!?~

俊郎
SF
『カスタムパートナーオンライン』。それは、唯一無二の相棒を自分好みにカスタマイズしていく、発表時点で大いに期待が寄せられた最新VRMMOだった。 が、リリース直前に運営会社は倒産。ゲームは秘密裏に、とある研究機関へ譲渡された。 現実世界に嫌気がさした松永雅夫はこのゲームを利用した実験へ誘われ、第二の人生を歩むべく参加を決めた。 しかし、雅夫の相棒は予期しないものになった。 相棒になった謎の物体にタマと名付け、第二の人生を開始した雅夫を待っていたのは、怒涛のようなユニークスキル無双。 チートとしか言えないような相乗効果を生み出すユニークスキルのお陰でステータスは異常な数値を突破して、スキルの倍率もおかしなことに。 強くなれば将来は安泰だと、困惑しながらも楽しくまったり暮らしていくお話。 この作品は小説家になろう様、ツギクル様、ノベルアップ様でも公開しています。 大体1話2000~3000字くらいでぼちぼち更新していきます。 初めてのVRMMOものなので応援よろしくお願いします。 基本コメディです。 あまり難しく考えずお読みください。 Twitterです。 更新情報等呟くと思います。良ければフォロー等宜しくお願いします。 https://twitter.com/shiroutotoshiro?s=09

【第1章完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

転生テイマー、異世界生活を楽しむ

さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

精霊の森に捨てられた少女が、精霊さんと一緒に人の街へ帰ってきた

アイイロモンペ
ファンタジー
 2020.9.6.完結いたしました。  2020.9.28. 追補を入れました。  2021.4. 2. 追補を追加しました。  人が精霊と袂を分かった世界。  魔力なしの忌子として瘴気の森に捨てられた幼子は、精霊が好む姿かたちをしていた。  幼子は、ターニャという名を精霊から貰い、精霊の森で精霊に愛されて育った。  ある日、ターニャは人間ある以上は、人間の世界を知るべきだと、育ての親である大精霊に言われる。  人の世の常識を知らないターニャの行動は、周囲の人々を困惑させる。  そして、魔力の強い者が人々を支配すると言う世界で、ターニャは既存の価値観を意識せずにぶち壊していく。  オーソドックスなファンタジーを心がけようと思います。読んでいただけたら嬉しいです。

小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ
ファンタジー
※2024年10月下旬に、第2巻刊行予定です  2024年6月中旬に第一巻が発売されます  2024年6月16日出荷、19日販売となります  発売に伴い、題名を「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、元気いっぱいに無自覚チートで街の人を笑顔にします~」→「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします~」 中世ヨーロッパに似ているようで少し違う世界。 数少ないですが魔法使いがが存在し、様々な魔導具も生産され、人々の生活を支えています。 また、未開発の土地も多く、数多くの冒険者が活動しています この世界のとある地域では、シェルフィード王国とタターランド帝国という二つの国が争いを続けています 戦争を行る理由は様ながら長年戦争をしては停戦を繰り返していて、今は辛うじて平和な時が訪れています そんな世界の田舎で、男の子は産まれました 男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました 男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります 絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて…… この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです 各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しております

家の猫がポーションとってきた。

熊ごろう
ファンタジー
テーブルに置かれた小さな瓶、それにソファーでくつろぐ飼い猫のクロ。それらを前にして俺は頭を抱えていた。 ある日どこからかクロが咥えて持ってきた瓶……その正体がポーションだったのだ。 瓶の処理はさておいて、俺は瓶の出所を探るため出掛けたクロの跡を追うが……ついた先は自宅の庭にある納屋だった。 やったね、自宅のお庭にダンジョン出来たよ!? どういうことなの。 始めはクロと一緒にダラダラとダンジョンに潜っていた俺だが、ある事を切っ掛けに本気でダンジョンの攻略を決意することに……。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

処理中です...