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冒険に行……かないので、せめて色々見てみようと思う

第265話:魂(たましい)ってあるよ……な?

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 日が暮れて、森の中に出現する魔物モンスターが夏仕様になった。冬だけど。
「……幽霊?オバケ?」
 思わず目の前に浮く風船のような白い物体に話し掛けてしまった。
 だって全然怖くないし、むしろ可愛い。
 ハロウィンのオバケのにしか見えない。

 指でつついて遊んでいたら、仲間を呼ばれてしまった。
 透けたボロ布のような物体。可愛さが無くなったオバケだな。
 それが二体。
「ホーリーアロウ」
 後ろから声がして、光る矢が後から来た二体を貫通して消えた。
 矢もボロ布オバケも。

「あれはソウルイーターっていって、取り憑かれるとHPが空になるまで離れないからね!触っちゃダメだよ!」
 はい。すみませんでした。
 さすがに触る気はなかったけど。
 魂喰いソウルイーターって、名前が既に恐ろしい。

「これは?」
 ハロウィンオバケ(仮)を両手で捕まえて、オーベの前へと突き出す。
「あ~名前何だったかな~。それ自体は無害なんだけど、嫌な奴を呼ぶからな~」
「今のソウルイーター?」
「いや、アレは軽い方だね~。リッチとか呼ぶよ~」
 リッチ?金持ち?
「絶対変な事考えてるでしょ~。アンデッドのリッチだからね~」
 アンデッドのリッチが解りません。
 後で調べておこう。



 ハロウィンオバケ(仮)が発光しているのでとても便利だ。
 足元が明るくて見やすい。
 え?あれからずっと持ってますが何か?
 敵も寄って来ましたが、何か?
 ソウルイーター山盛りです。
 あ、リッチはまだ来ていません。

 ソウルイーターは斬撃も物理攻撃も効かず、魔法もほぼ効かない厄介な敵だ。
 しかしここにきて、ユキが大活躍である。
 オーベのホーリーアロウは、回復術師の攻撃魔法を矢の形にして飛ばすものだが、ユキは「ホーリー」という攻撃魔法を使う。
 全体攻撃で、目に見えない敵も攻撃してくれる。
 倒した敵より、ドロップアイテムの数が多いから、何か居たのだろうなぁとの認識だ。

 で、まだスライムには遭遇していない。
 スライムは昼夜関係なく出現するはずらしいのだが……?
 段々自信が無くなってきたのか、オーベの情報も曖昧になってきている。
 リルもガルムも同じ事を言っているから、間違いは無いと思うのだが。

「スライム乱獲の情報は無いんだよね~」
 掲示板をチェックしながらオーベが呟く。
「あれ?でも『スライム粉納品クエストしようとしたら、スライムが居ない!』って書き込みがあるな~」
 え?マジで?
「えっと~『『しきしま』の方が他のモンスターが弱いから楽だと思って行ったのに、スライムいっぴきも居なかった!『いつきしま』で受けたクエストだからかな?』だって~」

「それって『いつきしま』にはスライムは居たわけ?」
「違う人の書き込みで『いつきしま』では普通に居るってあるね~」
「クエストは……」
「関係無いみたいだね~。現実リアル1日前に同じクエストした人が、同じ理由で『しきしま』で狩ったそうだから~」
 ええぇぇぇ。嫌な予感しかしない。
「スライムが好物の何かが居るのかな~」

 あぁ……フラグ立てたな、オーベ。
 責任持てよ。俺は知らん。
 最近俺は、言霊ことだまを信じているのだ。幻想世界ファンタジーワールド限定だが。


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