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冒険に行……かないので、せめて色々見てみようと思う
第264話:大・活・躍
しおりを挟む「ムンド、そこにいる人間は冒険者か?」
なるべく落ち着いた声で質問をする。
<え?知らんし>
うわぁ!会話が成立しない!!
「聞け!相手に聞け!」
沈黙。
相手に質問してくれているなら良いな……と不安になる。
もう一匹誰か一緒に居れば!!
<ピリリが聞いてきた。この先の農家だって言ってる>
ピリリ、ありがとう。頼みの綱は君だけだ。
「ムンド達がいた所の先の農家の人って、意味解るか?」
オーベにムンドが言っていた事を伝えてみる。
「それは、『agriculture(アグリカルチャー)』の住人かもね~」
なぜ農家の人がモグラ系の何かがいる草原に居るのか。
でも、それを質問してくれそうな従魔は、あちらには居ない。
「自力で街まで帰れるか、ピリリに聞いてくるように伝えて」
<わかった!>
頼むよ、ピリリ。
君の残念口調が農家の人達を油断させる事を期待している。
結果。
自力で街道まで戻れません。周りを魔物に囲まれている気がします。
農家の人はそう言っていたそうだ。
ムンドに乗れば、街道まで簡単に戻れるのに!とは思うが、自分の従魔じゃなかったら多分俺も拒否る。
「あのさ~、ピリリに体を炎で包んで転がるアレで、公道までの道を作るように言って~」
向こうの状況を説明したら、オーベにそう言われた。
炎を転がす……前にガルムが森の中に道を作ったミニ太陽みたいな技か!
「恒久的には無理だけど、今回歩くくらいならモグラ達も大丈夫だと思う~」
オーベの言葉を伝えると、しばらくの沈黙の後、ムンドの驚く声が聞こえてきた。
ピリリが転がったのかなぁ……。
「大活躍だったね~!ピリリ!」
合流したピリリをオーベが抱きしめる。
興奮気味に説明をしていたピリリは、かなり可愛かった。
<言われた通りに転がったら~、土がカチカチに固まったものだから~、モグラが出て来られなくなったのだよ~!無事に道まで戻れたのだよ~>
可愛い……よな?
農家の人達とは、あの四つ又の道まで一緒に来たそうだ。
ムンドには、絶対に乗ろうとしなかったらしい。
ツルツルしてて乗りにくそうだし、まぁしょうがないだろう。
そういう事にしておく。
決して見た目が怖いとか、言ってないからな、俺は。
ムンドとピリリも戻って来て合流し、テラとリルも戻って来た。
テラはフォレストウルフの群れを殲滅したようだ。
それはドロップアイテムを持って来られないだろうな。
テラの言っていたキラキラは、淡い緑色の透明な玉だ。
魔石とはまた違うらしく、オーベ曰く「空気清浄機」との事。
部屋に飾って置くだけでも効果があるようなので、綺麗な物は自室とペットの家に飾ろう。
「ところで、誰かスライムを見つけたか?」
大分森の奥に来たと思うのだが、スライムに遭遇しない。
俺の質問に、従魔達も首を振る。
抜け駆けして食べたとかでもないようで、目を逸らすものもいない。
「おかしいね~。こんな奥まで来てるのに、一匹も居ないはずないのに~」
オーベも首を傾げていた。
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