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冒険に行……かないので、せめて色々見てみようと思う
第233話:情報過多
しおりを挟む「行った事のない土地ってどこだ?」
森の入口で、どっち方面へ行こうかと悩んでいると、目の前に馬車が停まった。
大きい幌馬車で、引いているのはスレイプニルだ。
ガルムやリルに怯えないって時点で、強い魔獣なのだろう。
「坊っちゃん、悪いけどそのデカイのは乗れないよ」
馭者に声を掛けられる。
「いや、乗らないが」
素直に返事をすると、俺の後ろを指差された。
振り返るも、ガルムが居るだけだが……
「後ろに看板があっただろ?そこは乗合馬車の停留所だ」
ガルムの後ろに回り込むと、確かに【乗合馬車】と木の板が立ててあった。
看板と言うのも烏滸がましいレベルの、板に殴り書きの立札だ。
しかし相手が看板と言うからには、看板なのだろう。
幌馬車から少し離れた所へ移動する。
すると、家族連れや非戦闘員なカップルなどが乗り込んで行く。
なるほど。
いくら森が安全になったとはいえ、どうやってここまで来たのかと思っていたが、この乗合馬車で来るのか。
ガルムやリルを恐れないスレイプニルがいれば、それなりに安全かな?
あ、客が乗ったら、入れ替わりで冒険者が二人降りて来た。
護衛もちゃんと居たのか。
こちらに気付いた護衛は、ガルムとリルに驚いて2、3歩後退る。
スレイプニルの方が頼りになりそうですが、大丈夫でしょうか?護衛さん。
俺の護衛役のテラを右肩に乗せ、乗合馬車へと近付く。
ヨミはまだ胸元に入ったままだ。
戦闘態勢に入ったヨミを連れて行くと、喧嘩を売りに行くように見えるからな。
正直この二人なら、このままのヨミでも勝てる気がするしな。
テラは保険だ。ドーロを抱いているが、魔法は普通に放てるし。毒霧は禁止です。
「な、なんだ、何か用か!?」
用があるから来たのに決まっているだろうが。
「ば、馬車はひとり2,000F\だ。ペットも数に数えるからな!」
ガルムとリルを乗せられるのなら、20,000F\でも払ってやろうじゃないか。
……って、そうじゃない。
「行き先を聞きに来ただけだ」
『commerce(コマース)』でも『industry(インダストリィ)』でも、乗合馬車など見た記憶がないからな。
「この馬車は『artisan(アーティザン)』行きだ。10分後に『agriculture(アグリカルチャー)』行きが来る」
は?どこだって?
「更に10分後に『commerce(コマース)』行き、その更に後10分後に『industry(インダストリィ)』行きだ。希望の行き先を逃すと、1時間後になるからな」
情報多っ!!
そして俺が気付かなかっただけで、『commerce(コマース)』や『industry(インダストリィ)』にも乗合馬車があったようですよ。
冒険者は護衛依頼でもなければ、乗合馬車に乗らないからな!知らなくても当たり前だよな!
……そんなわけあるか~い!
そうか。俺、まず街の中もあまり見て回ってないのか。
決まった店、決まった場所ばかり行ってるからな。
ちょっと反省。
―――――――――――――――
しつこいようですが、F\10=\1です(笑)
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