上 下
218 / 506
いろんな意味での初イベントに参加しますよ!

218:大丈夫、大丈夫。

しおりを挟む
 


<わざとでは無かったのだよ>
 店内に入って来たリルの第一声は、しょんぼりとしただった。
 俺と別れて店頭に居たリルは、超小狼から小狼姿に変化していたらしい。
 ガルムの上に居たヨミやテラ達と違い、地面に降りて周りをキョロキョロと見ていたリルは、いつの間にか冒険者三人に囲まれていたそうだ。

さわられそうになったから、つい威嚇をしてしまったのだよ>
 耳がペタリと伏せられたリルは、まさしく叱られた子犬だ。叱ってないけど。
 しかし、それは相手の冒険者が悪いな。
 リルはちゃんと従魔の証であるクラン証付きの首輪をしている。
 テイマーの許可無しに従魔に触るのは、ルール違反だ。住人NPCならともかく、異界人プレイヤーなら尚更な。
 まぁ、触れないけど。俺がセーフ機能オン過度な接触NGだから、従魔にも適応されているはずだ。

「リル、怒ってないから大丈夫だ。今回はお前は悪くない。むしろ、素の姿に戻らなかっただけ偉いぞ」
 しょんぼりしているリルの頭を撫でる。
 従魔になった直後のリルなら、怒りに任せてあの炎が噴き出している素の姿になっていただろう。

 リルの気持ちが上向いたのを確認して、周りへと目を向ける。
 レイと爺さんはテラとドーロを構っているが、それ以外の人間の視線が痛い。
 そろそろ許可を出さないと、何かされそうだ。

「リルの背中に居るカラフル兎、誰か欲しいか?」
 狙っているのは解っていたが、あえて聞いてみた。
 因みに、リルの背中には(銀)三匹と(黒)二匹が居る。
 黒はガルムから湧いたのだろう。
 鑑定すると、まだ所有権は発生していない。
 どうやってガルムの背中から、触らずにリルの背中へ移動させたのか気になる。
 従魔が触れていたら、捕獲とみなされて俺の所有になるからな。



 それなりの広さがある店内に、怒声に近い声が響いている。
 ミロとココアと綺羅と斗苫斗的。
 誰が1番強いでしょうか。
 今、カラフル兎争奪戦を繰り広げております。

 方法は、古式こしきゆかしいジャンケンです。
 戦闘バトルではココアとミロが有利だし、兎小屋作成では斗苫斗的の圧勝だし、綺羅は完全な生産者だし、優劣をつける方法がなかったせいだ。

「ジャンケンポイ」
「気ぃ抜けるからやめてよ!ジャンケンポン!あいこでしょ!でしょう?」
「そこはジッケッタ!でしょ~」
「イ~ンジャンでホイじゃないの!?」
 からかい。


「あ……」
 思わず声が出てしまった。
 こう言うのを何て言うのだったか。
 漁夫の利?
 トンビに油揚げ?
 四人がジャンケンをしてる……してないか、掛け声を決めている間に、爺さんがヒョイと(銀)を捕まえてしまった。

「まさかの展開ですね」
 レイが呑気に笑っている。
 いやいやいや。
 笑い事か?まだ気付いてないけど、四人が気付いたらヤバくないか?
 爺さんを睨む勢いで見ていると、ニンマリと笑われた。

「大丈夫じゃよ。綺羅が勝つからの。その綺羅の権利をさっきのに貰うだけじゃ」
 詫びって、実際には玉袋付けられてないのに有りなのか?
 まぁ他人様ひとさまの事なので、深く追及はしないけどな。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

聖女の地位も婚約者も全て差し上げます〜LV∞の聖女は冒険者になるらしい〜

みおな
ファンタジー
 ティアラ・クリムゾンは伯爵家の令嬢であり、シンクレア王国の筆頭聖女である。  そして、王太子殿下の婚約者でもあった。  だが王太子は公爵令嬢と浮気をした挙句、ティアラのことを偽聖女と冤罪を突きつけ、婚約破棄を宣言する。 「聖女の地位も婚約者も全て差し上げます。ごきげんよう」  父親にも蔑ろにされていたティアラは、そのまま王宮から飛び出して家にも帰らず冒険者を目指すことにする。  

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです

こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。 まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。 幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。 「子供が欲しいの」 「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」 それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

願いの守護獣 チートなもふもふに転生したからには全力でペットになりたい

戌葉
ファンタジー
気付くと、もふもふに生まれ変わって、誰もいない森の雪の上に寝ていた。 人恋しさに森を出て、途中で魔物に間違われたりもしたけど、馬に助けられ騎士に保護してもらえた。正体はオレ自身でも分からないし、チートな魔法もまだ上手く使いこなせないけど、全力で可愛く頑張るのでペットとして飼ってください! チートな魔法のせいで狙われたり、自分でも分かっていなかった正体のおかげでとんでもないことに巻き込まれちゃったりするけど、オレが目指すのはぐーたらペット生活だ!! ※「1-7」で正体が判明します。「精霊の愛し子編」や番外編、「美食の守護獣」ではすでに正体が分かっていますので、お気を付けください。 番外編「美食の守護獣 ~チートなもふもふに転生したからには全力で食い倒れたい」 「冒険者編」と「精霊の愛し子編」の間の食い倒れツアーのお話です。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/2227451/394680824

もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。
BL
公爵家の3男として生まれた俺は、家族からうとまれていた。 母が俺を産んだせいで命を落としたからだそうだ。 生を受けた俺を待っていたのは、精神的な虐待。 最低限の食事や世話のみで、物置のような部屋に放置されていた。 だれでもいいから、 暖かな目で、優しい声で俺に話しかけて欲しい。 ただそれだけを願って毎日を過ごした。 そして言葉が分かるようになって、遂に自分の状況を理解してしまった。 (ぼくはかあさまをころしてうまれた。 だから、みんなぼくのことがきらい。 ぼくがあいされることはないんだ) わずかに縋っていた希望が打ち砕かれ、絶望した。 そしてそんな俺を救うため、前世の俺「須藤卓也」の記憶が蘇ったんだ。 「いやいや、サフィが悪いんじゃなくね?」 公爵や兄たちが後悔した時にはもう遅い。 俺には新たな家族ができた。俺の叔父ゲイルだ。優しくてかっこいい最高のお父様! 俺は血のつながった家族を捨て、新たな家族と幸せになる! ★注意★ ご都合主義。基本的にチート溺愛です。ざまぁは軽め。 ひたすら主人公かわいいです。苦手な方はそっ閉じを! 感想などコメント頂ければ作者モチベが上がりますw

婚約者を想うのをやめました

かぐや
恋愛
女性を侍らしてばかりの婚約者に私は宣言した。 「もうあなたを愛するのをやめますので、どうぞご自由に」 最初は婚約者も頷くが、彼女が自分の側にいることがなくなってから初めて色々なことに気づき始める。 *書籍化しました。応援してくださった読者様、ありがとうございます。

Beyond the soul 最強に挑む者たち

Keitetsu003
SF
 西暦2016年。  アノア研究所が発見した新元素『ソウル』が全世界に発表された。  ソウルとは魂を形成する元素であり、謎に包まれていた第六感にも関わる物質であると公表されている。  アノア研究所は魂と第六感の関連性のデータをとる為、あるゲームを開発した。  『アルカナ・ボンヤード』。  ソウルで構成された魂の仮想世界に、人の魂をソウルメイト(アバター)にリンクさせ、ソウルメイトを通して視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚、そして第六感を再現を試みたシミュレーションゲームである。  アルカナ・ボンヤードは現存のVR技術をはるかに超えた代物で、次世代のMMORPG、SRMMORPG(Soul Reality Massively Multiplayer Online Role-Playing Game)として期待されているだけでなく、軍事、医療等の様々な分野でも注目されていた。  しかし、魂の仮想世界にソウルイン(ログイン)するには膨大なデータを処理できる装置と通信施設が必要となるため、一部の大企業と国家だけがアルカナ・ボンヤードを体験出来た。  アノア研究所は多くのサンプルデータを集めるため、PVP形式のゲーム大会『ソウル杯』を企画した。  その目的はアノア研究所が用意した施設に参加者を集め、アルカナ・ボンヤードを体験してもらい、より多くのデータを収集する事にある。  ゲームのルールは、ゲーム内でプレイヤー同士を戦わせて、最後に生き残った者が勝者となる。優勝賞金は300万ドルという高額から、全世界のゲーマーだけでなく、格闘家、軍隊からも注目される大会となった。  各界のプロが競い合うことから、ネットではある噂が囁かれていた。それは……。 『この大会で優勝した人物はネトゲ―最強のプレイヤーの称号を得ることができる』  あるものは富と名声を、あるものは魂の世界の邂逅を夢見て……参加者は様々な思いを胸に、戦いへと身を投じていくのであった。 *お話の都合上、会話が長文になることがあります。  その場合、読みやすさを重視するため、改行や一行開けた文体にしていますので、ご容赦ください。   投稿日は不定期です 「小説家になろう」でも投稿していますが、投稿は終了しています

お姫様志望の勇者の冒険譚〜王と魔王を倒したら男の娘のボクをお姫様にしてくれると約束したので冒険にでた〜

しゃる
ファンタジー
「お前俺の事そういう風に見てたの?まじキモイね」 幼い頃から可愛い物に目が無く、心と身体の不一致で周りから虐げれていた少年は不意の事故で異世界に転生する。 見知らぬ部屋で目覚めた少年は声も高く、身体も軽くなっていて違和感を感じる。 「これボク⋯⋯? めちゃくちゃ可愛いくなってる!?」 置いてあった鏡を見ると伸びた銀の髪に空色の瞳をした少女の姿になっていた。 憧れの姿になった少年は喜んでいたが再び違和感を感じ始める。 「は?これついてますよね?」 自分の身体をみて男の娘になっていると気付いた少年の元に、一人の男が血相を変えて訪れる。 「勇者様!! 王がお呼びです、直ぐに来て下さい」 「あ、え⋯⋯勇者ってボクの事ですか?」 少年は自分が王に仕える勇者だと言うことを知り、王から直々に「魔王に姫を連れされてたから魔王討伐に向かって欲しい」という依頼を下される。 「魔王討伐って⋯⋯ボク戦いとか無理ですよ? 武力皆無なので 」 「そこをなんとか頼む! 勇者ノエル!」 「あ、ボクの名前ノエルって言うんですね」 自分の名前を知った少年はノエルとして、「魔王を倒した暁にはボクをお姫様にしてくれるのなら冒険に出ますよ」と条件を突きつける。 「⋯⋯⋯⋯やむを得ない、魔王を倒したら姫の地位を保証しよう」 王から約束を取り付けたノエルは意気揚々と城を出て魔王討伐へ冒険に旅立って行った。

20年かけた恋が実ったって言うけど結局は略奪でしょ?

ヘロディア
恋愛
偶然にも夫が、知らない女性に告白されるのを目撃してしまった主人公。 彼女はショックを受けたが、更に夫がその女性を抱きしめ、その関係性を理解してしまう。 その女性は、20年かけた恋が実った、とまるで物語のヒロインのように言い、訳がわからなくなる主人公。 数日が経ち、夫から今夜は帰れないから先に寝て、とメールが届いて、主人公の不安は確信に変わる。夫を追った先でみたものとは…

処理中です...