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いろんな意味での初イベントに参加しますよ!

213:戸惑い。いや、驚きか?

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「凄いですね!このままお店に飾りたいです!」
 兎の箱詰めを持って歩く綺羅が興奮した様子で言う。
 ここは『commerce(コマース)』の綺羅の店に向かう道である。
 カラフル兎を見せに行くと綺羅に連絡を入れたら『運ぶの手伝うので、全部見たいです!』との連絡が来た。
 最初から全匹連れて来る予定だったので、快諾した。
 そして、噴水広場で待ち合わせをし、兎の箱詰めを受け取った綺羅の第一声が「店に飾りたい」である。

「レイまで来なくても良かったのだが」
 ガルムの上から、レイに声を掛ける。
 クランハウスの転移陣は、部屋の中の物全て転移させるので、床に置いておいても兎の箱詰めごと『commerce(コマース)』に来られたのだ。
 噴水広場からは、綺羅が運ぶ約束してたしな。

「ヴィンさん、レイさんイジメちゃダメですよ?」
 無言無表情で俺を見つめるレイの代わりに、綺羅が意味のわからない事を言う。
「誰が誰をいじめていると?俺の用事にレイが付き合わなくても、自分のしたい事をすれば良いという意味でだな」
「だってヴィンさんに付いて来る事が、レイさんのしたい事でしょ?」
 えぇ~何ソレ。


<きゅ~きゅきゅ~>
 ヨミは久しぶりの街が嬉しいのか、俺の胸元で歌っている。歌だよな?
 テラはドーロを抱えてガルムの頭の上に居る。
 リルは超小狼姿で、俺のフードの中に入っている。
 胸元のヨミみたいに、顔と両手をチョコンと出して後ろ側を見ているようだ。
 レイが画像を送ってくれたから間違いない。

 しかし、本当にレイは何をしているのだか。
 俺としては、この子供サイズの体では不都合な事が多いので、大変助かってはいるのだが……
 隣を歩くレイを見下ろしていると、目が合った。
 ニッコリと微笑まれる。
 周りから小さな……小さくないな…… 悲鳴なのか歓声なのか微妙な声が聞こえる。
「笑顔」とかも聞こえてきたから、レイの笑顔に対する悲鳴なのだろう。

 レイの笑顔なんて、某業務スーパー並みに大安売りだが。
 たまに保護者目線っぽい笑顔が混じるのは、多分気のせいだ。
 俺自身は現実リアルと違う行動をしているつもりはないのだが、見た目が子供のせいか微笑ましく見られる事が多い。
 まさか気が付かなかっただけで、現実リアルでも見られてたり……いやいや、まさかな。


「なんか、自分まで偉くなったように錯覚しちゃいますね」
 綺羅がどことなく楽しそうに言う。
 おそらくモーゼの十戒のように、もしくは大名行列のように、ガルムの前にひらける空間の事を言っているのだろう。
 最初は俺も戸惑っていたな、たしか。
 あれ?戸惑ったよな?

「カラフル兎!何じゃい、その量は!」
 聞き覚えのある声が人波から聞こえてきた。
 綺羅の前に飛び出して来たのは、【従魔専門店】を放置してきたらしい爺さんタカアシガニだ。
「あれ?お店に直接来るって言ってたじゃん」
 綺羅が爺さんに話し掛ける。

「向かってる途中じゃったわい!」
 爺さんの視線は、ずっとカラフル兎箱だ。
「それに何じゃこの色は!ミントグリーンやベビーピンクじゃと!?」
 いや、爺さんの口から出た色の名前の方がビックリだよ。


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