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いろんな意味での初イベントに参加しますよ!
209:忘れてはいけない
しおりを挟む「外行くぞ!」
昼寝から目覚めて腹ごしらえし、一息ついてからそう宣言する。
イベント始まってから、ついついカラフル兎にかかりきりで、外にほとんど出ていない。
畑の世話をしたくらいだろう。
イタチ(仮)がミニトマトを貰いに来たり、普通の兎がキュウリを貰いに来たり、それなりに充実してはいた。俺は。
<久しぶりのお外だね~>
テラが俺のフードの中でご機嫌である。
なぜならドーロが一緒だから。
俺のフードの中から出さない条件で、ドーロの同行も許可した。
綺羅作の超高性能のウサギパーカーだから、フードの中なら安全だろう。
ヨミはいつもの様に俺の胸元へ入り、顔と前足をちょこんと出している。リルは小狼姿で膝の上。
そして、俺はガルムの上。
あれ?部屋にいるのとあまり変わらない?
いやいや、外の空気に触れる事に意味がある。多分。
「こっち方面は来た事なかったな」
『しきしま』の中でも街の在る方向とは違う方へと敢えて来てみた。
『いつきしま』へ行くのともまた違う、森が広がっている土地。
『しきしま』の割には出て来る魔獣が強く、奥へ行くほどさらに強くなる……らしい。
その割にはドロップアイテムは大して変わらず、何かイベントが発生するわけでもないので、おいしくない土地だとの噂だ。
「ちょっと木が成長し過ぎて鬱陶しいな。だから魔獣が強いのか?」
昼間なのに、薄暗い森の中。空気も湿っていて、体にまとわりつく感じだ。
<うむ。では、少し陽が入るようにするか>
言うが早いか、ガルムが前足を振る。
森の中に1本、遊歩道が出来ました……はぁ!?
<明るくなったね~>
<きゅ!>
いや、喜んで良いのか?コレ。
鬱蒼とした森の真ん中に、何も無い1本の道が出来ていた。
本当に、何も無い。
倒木も切り株も、落ち葉も下草も無い。
ちょっと舗装されたような、いや、これは溶岩が通った跡のようか?
「え?何?何が起こったわけ!?」
やっと目の前の景色が理解できて、脳みそが動き始めた。
<大した事ではない。火球を転がしただけである>
珍しくガルムが得意満面だ。
これは、褒めて欲しいのだろうか?
褒めて良いのか?
<火球って言うか、もう、小さい太陽だったよね、アレ>
リルには何が起こったか見えていたらしい。
いや、見えていなかったのは俺だけなのか?
ヨミもテラも驚いていなかった。
そして普段が執事だから忘れてしまいがちだが、ガルムもリルに劣らず規格外だったな、そういえば。
「小さい太陽……え?街とかがこの先に在ったらダメじゃないか?」
この先はまだ何が在るのか判っていない土地だったよな?
<大丈夫だ、主。この森から出る前に消滅するようにしてあるぞ>
え?範囲指定とかできるの?魔法って。
「さすがガルムだな。森も明るくなったし、奥まで行きやすくなった」
環境破壊?とか心配になったが、壊してダメな物ならそもそも破壊できないだろうし、仮に壊せてもすぐに再生するだろう。
だから、思う存分ガルムを誉めておいた。
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