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いろんな意味での初イベントに参加しますよ!

189:兎とうちの子と執事

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「部屋には居なかったわ!」
 扉が開け放たれたままだったからか、ノックも無しに咲樹が部屋に入ってくる。
 咲樹の部屋なら、黄色い兎が居そうだと思ったのだが、居なかったらしい。
 なぜ黄色か。
 家具の至る所が金色だからだ。
 やはり、ちゃんと黄色じゃなきゃ駄目なのか?
 いや、そもそもカラフル兎の発現条件が色だけとは限らないか。

 お、ドタバタとした足音。ユズコか?
「畳の上に緑の兎が居たぞ!」
 ジルドかい!
 しかし畳って真緑ではないよな?乾燥させただし。
 色……だけではないな、うん。

「俺の部屋には、何も居なかったな!」
 部屋に入るやいなや、大きな声で報告してきたのはユズコだ。
 目の前に居たジルドの手元を覗き込み、緑だ!と驚いている。
 告知メールに画像添付されてただろうに、見ていないのか?それとも、生で見た驚きか?

「ジルドは~、ヴィンみたいに兎小屋用意してあるの~?」
(黒)(赤)が魔物茄子を食べる姿から目を離さずにオーベが質問する。
「いや、部屋で放し飼いで良いかと思ってな。餌皿と水皿は用意した。床の間に置いてある」
 ジルドの部屋って床の間あるのか!
 掛け軸は龍?山水画?鳥獣戯画……は、巻物か。

「だが、思ったより生で見ると小さいから、床の間に柵を作って出ないようにしないと、私が踏みそうだ」
 それは、早急に作ってあげてください。
「と、言うわけで、ちょっと預かってくれ」
 カラフル兎(緑)を渡された。
「すぐ迎えに来ないとうちの子になっちゃうからな」
 言いながら、兎小屋へ入れる。
 先住兎は、まだ魔物茄子を食べている。
 その中へ(緑)も混じって行った。


 三匹が黙々と魔物茄子を食べているのを、男四人……じゃないか、咲樹はここでは女か……で眺める図。
 ガルムは俺の後ろにお座りして、やはり兎達を眺めている。
 頭の上にはヨミとリルがいて、同じように兎を眺めている。
 テラは自力で浮いていて、兎達を1番近くで観察していた。

 カシャ

 音がした方を見ると、咲樹がスクショを撮っていた。
「ここだけ見ると、ドラゴンが魔物を狙ってるの図ね」
 失礼な!うちのテラは魔物を狙ったり……するな。普通に倒すな。
 兎を殺……すな。キラーバニーとか、狩るな。
 えぇと、弱いものは……って、今のテラから見たら、この地域の殆どの魔物は自分より弱いな。
 反論~!頑張れ、俺の語彙力!

「テラは良い子だから、可愛い兎を虐めないよな~」
 オーベが俺の代わりに言ってくれる。
<虐めな~い!>
 うちの子可愛いな!
「テラは良い子だな」
 手招きして、フヨフヨ飛んで来たテラを抱きしめる。

<我も虐めないよ>
<きゅ!>
 リルとヨミがガルムの頭から、俺の両肩へ降りて来た。
「はい、はい。皆、良い子だな」
 肩の上の二匹も撫でてやる。
 上に手を伸ばすと、ガルムが顔を寄せてきた。
「ガルムは紳士だよな!」
<フム、紳士かの?>
 問い返しながら、嬉しそうに頬擦りするガルム。
「紳士だ。それか、執事?」
 ガルムの頬をガシガシと撫でる。
<執事か、悪くないの>
 冥界の番犬ガルム、俺の執事に正式に就任です。


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