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のんびりと家庭菜園を楽しむはずだったのだが、アレ?おかしいな

160:レベルアップと新たな……ミカン?

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 同僚ペルセポネと別れた俺達は、転移陣は使用せずにクランハウスへと向かう。
 対人戦闘PvPが瞬殺だった為に、従魔達が消化不良のようで、ストレス解消だ。
 柵に囲まれたクランの敷地が見えて来るまで、俺は生きた心地がしなかったけどな。

 それにしても、予想より従魔達が強くて引いた。
 可愛い担当のはずのヨミも、落雷で敵を黒焦げにしちゃってたからな。
 テラの鱗も心なしか輝きが増して……?ん?本当に虹色に輝いてるな。

「テラの色が変わってないか?」
 俺の呟きに、右斜め前に浮いているテラがクリンと振り返る。
<体がね~軽くなったよ~!>
 ブフォと、ユズコが吹き出した。

 何事!?と思ったが、ユズコだけでなくレイとジルドも笑いを堪えるように、肩を震わせていた。
「何で俺の口調に似てるわけ~?」
 オーベが焦っているが、テラが孵った時にその話はしなかったか?
 実際に聞いたわけじゃないから、信じてなかったのか?
「オーベよりも甘ったれた口調じゃない!笑えるんですけど」
 ウフフ、とか笑ってるけど、お前の口調だぞ、咲樹。



 クランハウスの前に、胸に腹巻?巻いてオーバーオールというけしからん格好の女性が居る。
 ここの成人女性は、メロンが標準装備なのか?
 いや、燕も三条もメロンではなかったな。
 そうだ。あの工房にも咲樹を連れて行って、受付嬢と比べなくては。

 いきなり後頭部をはたかれた。
 またレイか?と思ったら、ジルドだった。
「見過ぎだ」
 いや、別に凝視してたわけじゃなくて、メロンから横の思考に行ってただけなのだがな。


「やっと帰って来たら~!」
 謎のメロン嬢が親しげに手を振ってくる。
「早過ぎるよ!街からは転移陣じゃなくて、狩りをしながら帰るって連絡しただろ!」
 綺羅が敬語じゃなくて、素の口調で話してるから、綺羅の知り合いなのだろう。

「魔物玉葱と魔物人参を持って来たのか?」
 ジルドがメロン嬢に話し掛けた。
「それもあるけど、今日のメインは普通の野菜!初心者セット持って来たよ!」
 俺の方に向かって、サムズアップしてきた。
 女性版ユズコ?

「初めまして!犬獣人で農業従事者ファーマーの「はれひめ」です!名前の由来は実家のミカン畑で育ててる品種だよ!」
 犬獣人?尻尾はオーバーオールの中か?
 俺の視線に気付いたのだろう。クルリと方向を変えて、こちらに背中を向ける。

「犬種がドーベルマンだから、あまり目立たないんだよ!しかも垂れ耳だから、髪の毛と同化して寝癖の頭みたいに見えるのだ!」
 オーバーオールの穴から、犬にしては細い尻尾が出て、ピコピコと動いていた。

 メロンじゃなくて、ミカンでした。
 余談だが、ミカンではなくオレンジならタロッコオレンジが好きです。
 余談その2。
 犬獣人のドーベルマンは、耳と尻尾を切った一般的なドーベルマンの姿と二種類あるそうだ。
 あの立ち耳に短い尻尾は、子犬の時に切られたものだったのか。痛い、痛いよ~。


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