144 / 506
のんびりと家庭菜園を楽しむはずだったのだが、アレ?おかしいな
144:魔力とご褒美とトリカブト
しおりを挟む錬金釜にリルの毛と、小さな羽が入れられる。
目黒と燕が釜に手を触れ、俺にはわからない言語を唱えた。
釜の宝石が光る。全てではないので、何か法則があるのかもしれない。
光が収まると、二人は顔を見合わせてから蓋を開けた。
目黒が手を入れる。
引き出された手の上には、仏壇にある鈴を置くみたいな小さい座布団。
それが、微妙な色違いで3つ。
可愛いな、座布団。
これに鳥兜が乗ると想像するだけで、ちょっと悶えそうだ。
「あ、想像以上に魔力高いけど大丈夫かな」
目黒が燕に1個渡し、ミロにも1個渡した。
「恐るべし、フェンリル」
呟いたのは燕だ。
「ご褒美になるかな?むしろ拷問?」
失礼過ぎないか、ミロ。
「魔力酔いするかもしれませんね」
レイの言葉に、ミロの台詞の意味を理解する。
魔力酔いはわからないが、二日酔いみたいなものと思えば、確かに拷問だ。
<<魔力抜く~?>>
俺の右肩で見学していたテラがそんな事を言ってきた。
ちなみにヨミとリルは、外で滑り台で遊んでいる。ガルムは、保護者だ。
「そんな事できるのか?」
<<得意~>>
言われれば、孵化するのに皆の魔力吸いまくってたな。
「テラが魔力を抜こうか?と言っているが」
俺の提案に、工房内の目が全てこちらを向く。なぜかギラギラしてて怖い。
「魔力を込めるのは簡単だけど抜くのは難しいのよ!上級錬金術師か上級魔導師しかできないしこの工房ではまだ誰もできないわ」
息継ぎしろ、燕。
「まぁ、テラだしな」
俺にはそれしか言えない。
「そうですね」
レイも頷く。孵化作業を一緒にしたからか、レイもすぐに納得してくれた。
ミロが鳥兜三羽を召喚する。
現れた三羽は、微妙に色と兜の形が違う。
隊長、副隊長、平みたいな感じか?
この前来たのは隊長だろう。
作業台の上には、3つの座布団。
「無理しなくて良いからな~近付ける所まで行ってみて。ご褒美の座布団だから、気持ちの良い距離でちゃんと止まるんだぞ~」
ミロの指示に、ピチュピチュ言いながら鳥兜が歩く。か、可愛い過ぎる。
平の子は、置かれた位置からほとんど動かずに座り込んだ。
目を閉じてうっとりした表情をしている。
その距離30センチ。
副隊長は、10センチまで近付いて、少し戻って来た。12~3センチか。
隊長は一度座布団に乗ったが、すぐに降りて触れるか触れないかの距離で落ち着いた。
「隊長~今までご褒美足りてなかったんじゃん。ごめんね~」
ミロが隊長の頭を撫でる。ってか、やっぱり隊長なのか。
『平気。玉子焼キ、好キ。ケーキ、好キ』
魔力だけじゃなくて、食べ物もちゃんとご褒美だったんだな。
「甘いの好きなら、これもやろう」
りんご入りホットケーキを出す。
『ケーキ、好キ。果物、好キ。食ベル、良イ?』
隊長がミロを見上げて首を傾げる。他の二羽も同じ仕草でミロを見上げる。
これでダメだと言えたら、俺はミロを尊敬する。
「良いよ~お食べ~」
だよな!わかってた!!
243
お気に入りに追加
1,415
あなたにおすすめの小説
どーでもいいからさっさと勘当して
水
恋愛
とある侯爵貴族、三兄妹の真ん中長女のヒルディア。優秀な兄、可憐な妹に囲まれた彼女の人生はある日をきっかけに転機を迎える。
妹に婚約者?あたしの婚約者だった人?
姉だから妹の幸せを祈って身を引け?普通逆じゃないっけ。
うん、まあどーでもいいし、それならこっちも好き勝手にするわ。
※ザマアに期待しないでください
最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO
無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。
名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。
小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。
特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。
姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。
ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。
スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。
そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
前代未聞のダンジョンメーカー
黛 ちまた
ファンタジー
七歳になったアシュリーが神から授けられたスキルは"テイマー"、"魔法"、"料理"、"ダンジョンメーカー"。
けれどどれも魔力が少ない為、イマイチ。
というか、"ダンジョンメーカー"って何ですか?え?亜空間を作り出せる能力?でも弱くて使えない?
そんなアシュリーがかろうじて使える料理で自立しようとする、のんびりお料理話です。
小説家になろうでも掲載しております。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
辺境の街で雑貨店を営む錬金術士少女ノヴァ ~魔力0の捨てられ少女はかわいいモフモフ聖獣とともにこの地では珍しい錬金術で幸せをつかみ取ります~
あきさけ
ファンタジー
とある平民の少女は四歳のときに受けた魔力検査で魔力なしと判定されてしまう。
その結果、森の奥深くに捨てられてしまった少女だが、獣に襲われる寸前、聖獣フラッシュリンクスに助けられ一命を取り留める。
その後、フラッシュリンクスに引き取られた少女はノヴァと名付けられた。
さらに、幼いフラッシュリンクスの子と従魔契約を果たし、その眠っていた才能を開花させた。
様々な属性の魔法が使えるようになったノヴァだったが、その中でもとりわけ珍しかったのが、素材の声を聞き取り、それに応えて別のものに作り替える〝錬金術〟の素養。
ノヴァを助けたフラッシュリンクスは母となり、その才能を育て上げ、人の社会でも一人前になれるようノヴァを導きともに暮らしていく。
そして、旅立ちの日。
母フラッシュリンクスから一人前と見なされたノヴァは、姉妹のように育った末っ子のフラッシュリンクス『シシ』とともに新米錬金術士として辺境の街へと足を踏み入れることとなる。
まだ六歳という幼さで。
※この小説はカクヨム様、アルファポリス様で連載中です。
上記サイト以外では連載しておりません。
ーOnly Life Onlineーで生産職中心に遊んでたらトッププレイヤーの仲間入り
星月 ライド
ファンタジー
親友の勧めで遊び、マイペースに進めていたら何故かトッププレイヤーになっていた!?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
注意事項
※主人公リアルチート
暴力・流血表現
VRMMO
一応ファンタジー
もふもふにご注意ください。
現実逃避のために逃げ込んだVRMMOの世界で、私はかわいいテイムモンスターたちに囲まれてゲームの世界を堪能する
にがりの少なかった豆腐
ファンタジー
この作品は 旧題:金運に恵まれたが人運に恵まれなかった俺は、現実逃避するためにフルダイブVRゲームの世界に逃げ込んだ
の内容を一部変更し修正加筆したものになります。
宝くじにより大金を手に入れた主人公だったが、それを皮切りに周囲の人間関係が悪化し、色々あった結果、現実の生活に見切りを付け、溜まっていた鬱憤をVRゲームの世界で好き勝手やって晴らすことを決めた。
そして、課金したりかわいいテイムモンスターといちゃいちゃしたり、なんて事をしている内にダンジョンを手に入れたりする主人公の物語。
※ 異世界転移や転生、ログアウト不可物の話ではありません ※
※修正前から主人公の性別が変わっているので注意。
※男主人公バージョンはカクヨムにあります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる