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のんびりと家庭菜園を楽しむはずだったのだが、アレ?おかしいな
141:フェンリルの本気?
しおりを挟む俺の洗浄と乾燥魔法で、リルを綺麗にする。
面倒なので、小狼姿のままだ。
俺のスリッカーブラシはミロに渡し、工房の四兄弟は自分達で作成していた。
そういえば、斗苫斗的も、錬金術師で自分で作ってたな。
「リル、素の姿に戻ってくれ」
<素の姿の方だね?>
念を押してくるって事は、俺の意図を理解しているのだろう。
頷いて、肯定する。
ニヤリと笑って見えたのは、多分気のせいじゃない。
ガルムよりも巨体な上に、目と口の端から炎が吹き出している本性丸出しのリル。
漏れ出る魔力の高さを未熟な俺でも感じる。
「この姿の抜け毛なら、凄い御利益ありそうだな」
リルに抱きつきながら振り返ると、レイとオッサン以外が地面に尻もちついてた。
ミロ、お前もか……
「だって、こっちだと思わなかったんだもん。大きくなるだけだと思うじゃん!?」
だからといって、腰が抜けるほど驚くなよ。
「言っとくけど、驚いたんじゃないから!魔力に充てられただけだから!」
どっちもどっちじゃね?
強い冒険者だって前に言ってたよな?
「リル、伏せの姿勢になってくれ」
俺の指示に従って、ボフンと伏せた。
スリッカーブラシを持ったミロと四兄弟が、ワーッと寄って来てブラッシングし始める。
伏せをしたから、当たり前だがリルの顔が近い。
炎が吹き出している顔は、正直怖い。瞳孔とか虹彩もどこにいっちゃうのか、青み掛かった白目から炎が出てる。
「この炎って触ると熱いのか?」
<我は熱くないからわからないね。触りたいのなら構わないよ?>
うぅん。多分、俺もわからないだろうな。
<<えぇい!>>
パホンとテラがリルの顔に抱きつく。
抱きつ……いたのか?大きさの違いから、へばりついたように見える。
あれだ、窓に張り付くヤモリ。
<<熱くな~い>>
うん。そうだろうな。同じ従魔だし。
前にヨミが熱を感じてない様子だったからな。
「木の枝か鉄の棒で試してみるか?」
オッサンがその辺にあった棒を拾って渡してきた。
すぐ後ろが資材置場だったようで、ちゃんとした棒だ。
ジュッ!
一瞬で炭化した。木の棒が。一部ではあるけど。
「は?」
燃えたり、煙が出たりもせずに、炭化。
炭化ってか、蒸発?
炎に触れた部分が消えた!消えてもうたよ!
「はい」
レイに鉄の棒を渡す。俺がやると、鉄の棒が溶けた場合に、自分の方へ垂れてきてしまうからだ。
建前だけどな!だって正直怖いし!
俺から無言で鉄の棒を受け取ったレイは、そのまま無言でリルの炎へとそれを近付けた。
なんだろう、これ。徒労?
取り越し苦労?
とにかく、それだ。
溶けて垂れたりしませんでした。
はい。
木の棒と同じように、消滅しましたよ。
鉄の棒がな!!
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