上 下
79 / 506
スキルが使えるようになったので、とりあえず色々試して遊ぼうと思う

79:帰れ

しおりを挟む
 


<普通、何で怪我したのか?とか聞かないか?自分達が襲われる心配とかするだろう!?>
 八咫烏が興奮して捲し立てるが、興味ないしな。
「うちには優秀な番犬ガルムがいるから、気にしない」
 薄情だと言われても、赤の他人の従魔が怪我した理由なんて俺には関係ないし。
 元気になったなら、帰って欲しい。

「お帰りはあちらです~」
 オーベが外への扉を手で指し示した。
<ガルム!おぬしも何かないのか!>
 八咫烏の矛先が従魔仲間?のガルムに向く。
<フン。あるじを馬鹿にした奴など、儂には関係ないな>
 大人しいと思ったら、密かに怒っていたようだ。
<<主を若造なんて呼ぶヤツ、早く出てけば良いのにな~!>>
 明後日の方向を向きながら、テラが嫌味ったらしく言う。子供か!?あ、子供か。



「じゃあ、俺達はログアウトす異界へ帰るからな」
 ガルムに抱きつき胸の毛エプロンに埋もれた後、ヨミを撫でて頬擦りをして、最後にテラを撫でた。
 テラの背中は、逆撫でしなければ意外と手触りが良い事に気付いたのだ。
 従魔三匹とたわむれている間も、八咫烏ヤタガラスは天井に張り付いていた。

「俺、マジで落ちるけど、どうする?」
 天井の八咫烏を指差す。
 ガルムが連れて来たので放置するのは気が引けるが、こればかりは如何いかんともしがたい。
 これ以上は仕事に支障出そうだし、さすがにログアウトしないとだ。
「僕が追い出しておきます」
 レイがとても爽やかに黒い笑顔を浮かべて言う。
「頼むね~」
 オーベがインベントリから魔女のほうき……いや、あれは竹箒だな……を出して渡す。
 何で持ってる?鑑定しても普通の箒だし。

「では、私も少しだけ手伝おう」
 なぜか戦闘服に変化し着替えたジルド。
 従魔ってテイマーの許可がないと戦闘バトルできないよな?
 なんて思ってたら、マントが蝙蝠に変化して、天井の八咫烏を囲う。
 傷付ける事はできなくても、蝙蝠達が鬱陶しいのか八咫烏が天井から離れる。
<やめい!なんじゃ鬱陶しい!>
 あぁ!楽しそう!だけど、本当に見ている時間は無いのだ。
「後は宜しく」
 後ろ髪をめちゃくちゃ引っ張られながら、ログアウトした。



 ゲーム中は脳を使っているが、身体は使っていないのでレム睡眠夢見てるみたいな物らしい。
 なのでガッツリ8時間寝なくても大丈夫らしいが、ノンレム睡眠分は寝ないとだよな。
 まぁ、元々睡眠時間が5~6時間なんだけどな、俺。

 八咫烏事件があったから予定より長居したけど、それでも睡眠時間4時間はある。
 追い出すの見てても大丈夫だったか?約2時間が15分だもんな。
 いや。そうやってダラダラとルールを破るとなあなあになって、実生活がおろそかになったりするんだよな!うん。
 今日も仕事頑張ろう。そして、明日は土曜だから、ゲーム三昧決定だ。

 あれ?既にちょっと実生活に影響ありか?


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

VRMMOで神様の使徒、始めました。

一 八重
SF
 真崎宵が高校に進学して3ヶ月が経過した頃、彼は自分がクラスメイトから避けられている事に気がついた。その原因に全く心当たりのなかった彼は幼馴染である夏間藍香に恥を忍んで相談する。 「週末に発売される"Continued in Legend"を買うのはどうかしら」  これは幼馴染からクラスメイトとの共通の話題を作るために新作ゲームを勧められたことで、再びゲームの世界へと戻ることになった元動画配信者の青年のお話。 「人間にはクリア不可能になってるって話じゃなかった?」 「彼、クリアしちゃったんですよね……」  あるいは彼に振り回される運営やプレイヤーのお話。

生産職から始まる初めてのVRMMO

結城楓
ファンタジー
最近流行りのVRMMO、興味がないわけではないが自分から手を出そうと思ってはいなかったふう。 そんな時、新しく発売された《アイディアル・オンライン》。 そしてその発売日、なぜかゲームに必要なハードとソフトを2つ抱えた高校の友達、彩華が家にいた。 そんなふうが彩華と半ば強制的にやることになったふうにとっては初めてのVRMMO。 最初のプレイヤー設定では『モンスターと戦うのが怖い』という理由から生産職などの能力を選択したところから物語は始まる。 最初はやらざるを得ない状況だったフウが、いつしか面白いと思うようになり自ら率先してゲームをするようになる。 そんなフウが贈るのんびりほのぼのと周りを巻き込み成長していく生産職から始まる初めてのVRMMOの物語。

Select Life Online~最後にゲームをはじめた出遅れ組

瑞多美音
SF
 福引の景品が発売分最後のパッケージであると運営が認め話題になっているVRMMOゲームをたまたま手に入れた少女は……  「はあ、農業って結構重労働なんだ……筋力が足りないからなかなか進まないよー」※ STRにポイントを振れば解決することを思いつきません、根性で頑張ります。  「なんか、はじまりの街なのに外のモンスター強すぎだよね?めっちゃ、死に戻るんだけど……わたし弱すぎ?」※ここははじまりの街ではありません。  「裁縫かぁ。布……あ、畑で綿を育てて布を作ろう!」※布を売っていることを知りません。布から用意するものと思い込んでいます。  リアルラックが高いのに自分はついてないと思っている高山由莉奈(たかやまゆりな)。ついていないなーと言いつつ、ゲームのことを知らないままのんびり楽しくマイペースに過ごしていきます。  そのうち、STRにポイントを振れば解決することや布のこと、自身がどの街にいるか知り大変驚きますが、それでもマイペースは変わらず……どこかで話題になるかも?しれないそんな少女の物語です。  出遅れ組と言っていますが主人公はまったく気にしていません。      ○*○*○*○*○*○*○*○*○*○*○  ※VRMMO物ですが、作者はゲーム物執筆初心者です。つたない文章ではありますが広いお心で読んで頂けたら幸いです。  ※1話約2000〜3000字程度です。時々長かったり短い話もあるかもしれません。

【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~

山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」 母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。 愛人宅に住み屋敷に帰らない父。 生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。 私には母の言葉が理解出来なかった。

跡継ぎが産めなければ私は用なし!? でしたらあなたの前から消えて差し上げます。どうぞ愛妾とお幸せに。

Kouei
恋愛
私リサーリア・ウォルトマンは、父の命令でグリフォンド伯爵令息であるモートンの妻になった。 政略結婚だったけれど、お互いに思い合い、幸せに暮らしていた。 しかし結婚して1年経っても子宝に恵まれなかった事で、義父母に愛妾を薦められた夫。 「承知致しました」 夫は二つ返事で承諾した。 私を裏切らないと言ったのに、こんな簡単に受け入れるなんて…! 貴方がそのつもりなら、私は喜んで消えて差し上げますわ。 私は切岸に立って、夕日を見ながら夫に別れを告げた―――… ※この作品は、他サイトにも投稿しています。

【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜

福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。 彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。 だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。 「お義姉さま!」           . . 「姉などと呼ばないでください、メリルさん」 しかし、今はまだ辛抱のとき。 セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。 ──これは、20年前の断罪劇の続き。 喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。 ※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。 旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』 ※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。 ※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。

【完】前世で種を疑われて処刑されたので、今世では全力で回避します。

112
恋愛
エリザベスは皇太子殿下の子を身籠った。産まれてくる我が子を待ち望んだ。だがある時、殿下に他の男と密通したと疑われ、弁解も虚しく即日処刑された。二十歳の春の事だった。 目覚めると、時を遡っていた。時を遡った以上、自分はやり直しの機会を与えられたのだと思った。皇太子殿下の妃に選ばれ、結ばれ、子を宿したのが運の尽きだった。  死にたくない。あんな最期になりたくない。  そんな未来に決してならないように、生きようと心に決めた。

自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名
ファンタジー
★2024年9月19日に2巻発売&コミカライズ化決定!(web版とは設定が異なる部分があります) 🔷第16回ファンタジー小説大賞。5/3207位で『特別賞』を受賞しました!!応援ありがとうございます(*^_^*) 💛小説家になろう累計PV1,770万以上達成!! ※感想欄を読まれる方は、申し訳ありませんがネタバレが多いのでご注意下さい<m(__)m>    スーパーの帰り道、突然異世界へ転移させられた、椎名 沙良(しいな さら)48歳。  残された封筒には【詫び状】と書かれており、自分がカルドサリ王国のハンフリー公爵家、リーシャ・ハンフリー、第一令嬢12歳となっているのを知る。  いきなり異世界で他人とし生きる事になったが、現状が非常によろしくない。  リーシャの母親は既に亡くなっており、後妻に虐待され納屋で監禁生活を送っていたからだ。  どうにか家庭環境を改善しようと、与えられた4つの能力(ホーム・アイテムBOX・マッピング・召喚)を使用し、早々に公爵家を出て冒険者となる。  虐待されていたため貧弱な体と体力しかないが、冒険者となり自由を手にし頑張っていく。  F級冒険者となった初日の稼ぎは、肉(角ウサギ)の配達料・鉄貨2枚(200円)。  それでもE級に上がるため200回頑張る。  同じ年頃の子供達に、からかわれたりしながらも着実に依頼をこなす日々。  チートな能力(ホームで自宅に帰れる)を隠しながら、町で路上生活をしている子供達を助けていく事に。  冒険者で稼いだお金で家を購入し、住む所を与え子供達を笑顔にする。  そんな彼女の行いを見守っていた冒険者や町人達は……。  やがて支援は町中から届くようになった。  F級冒険者からC級冒険者へと、地球から勝手に召喚した兄の椎名 賢也(しいな けんや)50歳と共に頑張り続け、4年半後ダンジョンへと進む。  ダンジョンの最終深部。  ダンジョンマスターとして再会した兄の親友(享年45)旭 尚人(あさひ なおと)も加わり、ついに3人で迷宮都市へ。  テイムした仲間のシルバー(シルバーウルフ)・ハニー(ハニービー)・フォレスト(迷宮タイガー)と一緒に楽しくダンジョン攻略中。  どこか気が抜けて心温まる? そんな冒険です。  残念ながら恋愛要素は皆無です。

処理中です...