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スキルが使えるようになったので、とりあえず色々試して遊ぼうと思う
62:幸せ
しおりを挟む「ミイラ取りがミイラになるって、こう言う事を言うんだろうな」
ノック音とほぼ同時に扉を開けたジルドがそんな事を言う。
モフモフに埋もれている俺。
そのモフモフの中の一匹は、獣化したレイだ。
「んもう、何してんの?レイが呼びに行ったまま帰って……マジで何してんの?レイ」
咲樹まで呼びに来た。あれ?出掛けてたんじゃないのか?
レ イ:幸せそうだったから、ついなw
銀狼がスリっと頬擦りしてくる。
確かに幸せ。
「ヴィン、もう来てんだろ?あれ?マジか!」
ユズコが二人の後ろから部屋の中を覗き込んで……
「獣化、白虎!」
なぜか獣化して仲間に加わって来た。
「もうさ、ヴィンの部屋集合で良いんじゃない~?」
オーベが言うが早いか部屋に入って来て、インベントリからテーブルを出す。いや、これはテーブルじゃなくて、卓袱台だな。
余談だが、俺の部屋には、まだ従魔用の仮布団しかない。
「紅茶で良いわよね?そこの動物二匹は、とりあえずいいか」
咲樹が高そうな茶器で紅茶を淹れ始める。
「ガルムとヨミは紅茶飲むかしら?」
三人分の紅茶を淹れ終わった咲樹が聞いてくる。
動物二匹とは、従魔の事ではなく、獣化した二人の事のようだ。
<こうちゃとは、何なのだ?>
そこからか。
「お茶の葉を蒸して発酵させる……のは、烏龍茶?いや、紅茶も発酵させるよな?いや、蒸さないで炒るんだっけ?」
中途半端な俺情報。スマン。
あぁ、詳しそうなレイは獣化中で話せなかった!
「蒸して揉んで乾燥させるのが、緑茶。蒸す代わりに釜炒りするのが、釜炒り緑茶」
ジルドからの助け舟。
「揉んで半乾燥後、更に揉んで半発酵が烏龍茶。完全発酵が紅茶だ」
随分詳しいな。
「まぁ、他にも製法はあるが、大体こんな感じだな」
口ポカーンで見つめていたら、苦笑された。
「一時期茶器集めに凝ってな。そのついでに調べた」
何となく納得。趣味の男、ジルド。
「で、紅茶は要るのかしら?要らないのかしら?」
茶筒?茶缶?とにかく、紅茶の入った缶を持った咲樹が首を傾げる。
「何事も経験だから、飲んでみると良いよ~」
なぜかオーベが返事をした。
少し薄めに淹れた紅茶を、ガルムは飲めるがヨミはダメだったようで、舐めた後に足ダンをされてしまった。子供舌。
甘めのヨーグルトドリンクを出してやる。
うん。今度は大丈夫だな。
焼き鳥の竹串とかバリバリ食っちゃうくせに、変なこだわりあるな、ヨミは。
ガルムが起きてしまったので、俺の背もたれはユズコに変更。それもどうかと思うが、まぁ良いか。
ちなみに、レイは横で肘置き状態。
「さて、皆落ち着いた~?」
皆が一息ついていると、オーベの声が部屋に響く。
会議でも始めるのか?そんな雰囲気。
「さて、長い1日が終わりそうだけど、どうだった?ヴィン」
珍しく語尾を伸ばさないオーベの台詞。
真面目な話なのだと理解する。
「今までで1番楽しいし、最高に幸せな誕生日だ!」
嘘偽りない心からの言葉が口から出た。
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