上 下
46 / 506
クランハウスに部屋を貰ったから、快適空間にしたいと思う

46:カニと卵とドラゴン

しおりを挟む
 


「貰ってくれんか」
 目の前には卵。調理に使う鶏卵ではない。
 ガチョウの卵サイズと、更に大きいダチョウの卵サイズ。
 ガチョウの卵サイズは鑑定すると『火蜥蜴サラマンダーの卵/サラマンダーが生まれると良いね』と出る。この孵化率は高いのか低いのか。
 問題は大きい方だ。
『ドラゴネットの卵/ドラゴネットが生まれたら奇跡』
 奇跡かよ!金額はどちらも『時価』としか出てない。

「いやいやいや、貰っちゃダメなレベルの物だろ、どう考えても」
 幻想世界ファンタジーワールドに来てから、やたらと物を貰ってる俺でもコレは駄目だと判る。
「それでは、どうせ売り物にならないコレだけでも受け取ってくれんか?」
 爺さんはドラゴネットの卵を俺の方へと押し出した。

「おぬしらが来る前に仲間が持って来たんじゃが、孵化率奇跡では売れん。かといって一応ドラゴンだから捨てられん」
「ギルドで買い取って貰えば良いでしょう?」
「高過ぎて買えないと断られたそうじゃ」
 おぉう。何かドラゴネットの卵が不憫ふびんになってきた。
 レイも微妙な表情になってる。

「孵化させる方法は?」
火蜥蜴サラマンダーは、日向に置いて1日1回の転卵じゃが、ドラゴネットは解っておらん」
 なるほど。だからこそのか。
「生まれなくても知らんぞ」
 ドラゴネットの卵を胸に抱える。腕だけでは不安なんだよ。手ぇ小さいからな。
「構わんよ」
 爺さんが孫を見るような表情で笑った。
 それは、ドラゴネットの卵に向けたんだよな?俺にじゃないよな?

 レイに扉を開けてもらって表に出て、振り返る。
「タカアシガニさん、ありがとう!」
 わざと子供っぽい口調でお礼を言っておいた。


「さて、どうしようかこの卵」
 抱えたままで歩くと、意外と邪魔くさい。
 しかも胸元に入れないヨミが拗ねてる。
 ガルムの背中から飛び降りて、俺達より先に行き、振り返り足ダン。追い付くとガルムの背中に飛び乗り、ピョコピョコ跳ね回って、また飛び降り~の繰り返し。
 可愛いけど、何とかしないとだな。

「ヨミ~落ち着け~」
<ぎゅぅ!>
 拒否されました。
「お前だってドラゴネットが生まれて欲しいだろ?」
<きゅうぅ……>
 しかし、今更だけどドラゴネットって何だ?ドラゴンとは違うのか?
「ガルム、乗せてくれ」
 ちょっと掲示板を見たい。

 ガルムが伏せをしてくれても、卵を持った俺が自力で登れるわけもなく……レイに乗せてもらう。
<銀狼、お前も乗ってあるじを支えててやれ>
 ガルムが自分からレイを乗せるとか、驚きなんだが。
 しかも理由が俺の為!うおはぁ!嬉しすぎる!!


しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

貴方の隣で私は異世界を謳歌する

紅子
ファンタジー
あれ?わたし、こんなに小さかった?ここどこ?わたしは誰? あああああ、どうやらわたしはトラックに跳ねられて異世界に来てしまったみたい。なんて、テンプレ。なんで森の中なのよ。せめて、街の近くに送ってよ!こんな幼女じゃ、すぐ死んじゃうよ。言わんこっちゃない。 わたし、どうなるの? 不定期更新 00:00に更新します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。

朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。 婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。 だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。 リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。 「なろう」「カクヨム」に投稿しています。

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

おばあちゃん(28)は自由ですヨ

美緒
ファンタジー
異世界召喚されちゃったあたし、梅木里子(28)。 その場には王子らしき人も居たけれど、その他大勢と共にもう一人の召喚者ばかりに話し掛け、あたしの事は無視。 どうしろっていうのよ……とか考えていたら、あたしに気付いた王子らしき人は、あたしの事を鼻で笑い。 「おまけのババアは引っ込んでろ」 そんな暴言と共に足蹴にされ、あたしは切れた。 その途端、響く悲鳴。 突然、年寄りになった王子らしき人。 そして気付く。 あれ、あたし……おばあちゃんになってない!? ちょっと待ってよ! あたし、28歳だよ!? 魔法というものがあり、魔力が最も充実している年齢で老化が一時的に止まるという、謎な法則のある世界。 召喚の魔法陣に、『最も力――魔力――が充実している年齢の姿』で召喚されるという呪が込められていた事から、おばあちゃんな姿で召喚されてしまった。 普通の人間は、年を取ると力が弱くなるのに、里子は逆。年を重ねれば重ねるほど力が強大になっていくチートだった――けど、本人は知らず。 自分を召喚した国が酷かったものだからとっとと出て行き(迷惑料をしっかり頂く) 元の姿に戻る為、元の世界に帰る為。 外見・おばあちゃんな性格のよろしくない最強主人公が自由気ままに旅をする。 ※気分で書いているので、1話1話の長短がバラバラです。 ※基本的に主人公、性格よくないです。言葉遣いも余りよろしくないです。(これ重要) ※いつか恋愛もさせたいけど、主人公が「え? 熟女萌え? というか、ババ專!?」とか考えちゃうので進まない様な気もします。 ※こちらは、小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

出来損ない王女(5歳)が、問題児部隊の隊長に就任しました

瑠美るみ子
ファンタジー
魔法至上主義のグラスター王国にて。 レクティタは王族にも関わらず魔力が無かったため、実の父である国王から虐げられていた。 そんな中、彼女は国境の王国魔法軍第七特殊部隊の隊長に任命される。 そこは、実力はあるものの、異教徒や平民の魔法使いばかり集まった部隊で、最近巷で有名になっている集団であった。 王国魔法のみが正当な魔法と信じる国王は、国民から英雄視される第七部隊が目障りだった。そのため、褒美としてレクティタを隊長に就任させ、彼女を生贄に部隊を潰そうとした……のだが。 「隊長~勉強頑張っているか~?」 「ひひひ……差し入れのお菓子です」 「あ、クッキー!!」 「この時間にお菓子をあげると夕飯が入らなくなるからやめなさいといつも言っているでしょう! 隊長もこっそり食べない! せめて一枚だけにしないさい!」 第七部隊の面々は、国王の思惑とは反対に、レクティタと交流していきどんどん仲良くなっていく。 そして、レクティタ自身もまた、変人だが魔法使いのエリートである彼らに囲まれて、英才教育を受けていくうちに己の才能を開花していく。 ほのぼのとコメディ七割、戦闘とシリアス三割ぐらいの、第七部隊の日常物語。 *小説家になろう・カクヨム様にても掲載しています。

称号は神を土下座させた男。

春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」 「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」 「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」 これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。 主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。 ※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。 ※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。 ※無断転載は厳に禁じます

幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない… そんな中、夢の中の本を読むと、、、

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

処理中です...