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誕生日プレゼントにゲームを貰ったので、堪能しようと思う

13:フロアボス『にきしま』

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「ボス狩りでも行くか~?」
 オーベがステータスウィンドウを開けながら聞いてくる。
 何を見てるのかは謎。

「ここのボスって、あの話す赤犬でしょ?気分的に倒し辛いのよね」
 話す犬?何ソレ、恰好良い!
「咲樹、詳しく!」
 レイの腕の中から、咲樹の方へと身を乗り出す。
 ちなみにレイは全身装備してて真っ黒クロスケ状態だが、俺も全身装備だから固い鎧でも問題ない。
 前回ショゲたから、今回はレイが抱っこ係。なんだその係は…とは、俺も思う。

「詳しくって言ってもなぁ?ただの喋る犬じゃん?」
 柚子胡椒が頭の後ろで腕を組みながら、興味なさそうに言う。
「うるさいぞ、ユズコ!」
 お前なんか柚子胡椒じゃなく、ユズコで充分だ!
「え?何ソレ、アダ名?」
 なぜ喜ぶ。

「うるさいぞ、
 話す赤犬は正式名称「ガルム」と言う冥界の番犬だな」
 ジルドが柚子胡椒改めユズコを押して俺の横に来て、赤犬の説明をしてくれた。
「ガルムか~話すって事は意思疎通できるって事だろ?良いな~話す赤犬」
 欲望ダダ漏れな俺の台詞に、皆が苦笑した。



<命が惜しければ立ち去れ>
 目の前には、見上げるほど大きな赤い犬。全身が赤いのではなく、首下から胸の毛、両前足の毛が赤い。

 俺以外の五人が戦闘態勢に入る。
 盾のように五人が俺の前にいるが、それを押し退けて前へと出た。
「ヤベェ!何これ!超恰好良い!しかもモフモフ!埋まりたい!」
 テンション高く叫んでしまった。

「狼?犬?」
 思わず聞いてしまった。
<犬だ。番犬だからな>
 おぉう、お返事頂きました。

「番犬って、何を守ってるの?」
 ここは草原。次のエリアに行く為の壁?バリア?はあるけど、見える範囲には草しかない。
<冥界の門だ>
 え?次のエリアって、冥界なのか?
「『さんきしま』って冥界なの?」
 レイに聞く。一番物知りな印象だからな。

「太陽がサンサンと降り注ぐ、南国イメージな海が美しい港町だね~」
 映像付きでオーベが説明してくれた。
 それを見て、ガルムが驚いたような、衝撃を受けたような、微妙な表情になる。
 レイも無言で頷いた。

<儂は何を守ってきたのだ……>
 そんなショック受けなくても。
 運営さん、キャラクター作り込み過ぎ?
 多分、神話とかで冥界の門を守るキャラなんだろうな。
「え~?何も守ってないなら、俺と一緒に旅する?」
 とりあえず、言うのはタダだ。
 周りの五人の顔が微妙なんですけど、気にしない。

「無理だろう。フロアボスだぞ?」
 うるさいよ、ジルド。ダメ元で誘っても良いじゃん。
「冒険者に敵意を持ってたら、困らない?」
 咲樹があざとく首を傾げる。
 まぁ、今まで何百回と倒されてきてるもんな。


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