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誕生日プレゼントにゲームを貰ったので、堪能しようと思う
8:酒場に行ってみた
しおりを挟む背中に柔らかいクッションを感じながら、五人の行きつけだという酒場で酒を飲む。
うん。ちょっと待て。
お前ら普通にこの後の予定とか話し合ってるけど、おかしいからな?
「どうしたの?ヴィン」
何も話さずに黙々と呑んでいる俺を、咲樹が後ろから覗き込む。
「どうしたじゃない。俺も椅子に座らせろ」
今、俺の座っている場所は咲樹の膝の上だ。
しかも腹に咲樹の腕が回されており、完全に母親の膝の上の子供状態。
「しょうがないだろう。ヴィンが直接椅子に座ったら、飲み食いし難くなる」
そりゃ正論だがな、ジルドさんや。
何で咲樹の膝の上なんだ。
お前やレイの膝でも良いだろう?
オーベでも良い。柚子胡椒は逆に高くなり過ぎるから却下だが。
「僕の膝の上に来ますか?」
俺の気持ちを汲んだレイが両手を広げる。
移動しようと腰を上げかけたら、後ろから抱き締められた。苦しい。
「ダメ!ヴィンは私の膝の上なの!」
何キャラですか、咲樹さんや。
酒場の他のテーブルから、妙に野太い悲鳴が上がる。
ぐるりと店内を見回すと、至る所から睨まれた。
「何か、睨まれてる?」
ポツリと呟くと、頭上からあ″ぁ″!?と若干素に戻った咲樹の呟き。
残りの四人も周りのテーブルを睨んでいた。
酒場から物音が消える。
怖っ。コイツら、俺の事大好き過ぎだろ。
まぁ、自分が招待した人が周りに難癖つけられたら怒るわな。
「まぁ、落ち着け」
フォークに刺してあった燻製うずらの玉子を咲樹の口に押し込む。
「……美味しい」
よし。
四人が雛鳥のように口を開けたので、全員の口に放り込む。
皆の機嫌も戻って良かった。
1個しか食べられなかったので、燻製うずらの玉子を追加し、ついでに生ビール追加。いや、ここだとエール?
火酒ってのがあるが、おそらくウォッカの事だろうな。
日本酒はないのか?
店員のお姉さんを呼ぶと、良い笑顔ですっ飛んで来た。
入店時に俺を子供だと思って飲酒拒否したから、バツが悪いのだろう。
ここでは飲酒解禁年齢はないが、あまりに幼いと断られる。
俺の事は5~6歳の人間だと思ったそうだ。
ハーフリングだと言っても「じゃあ10歳くらいですか?」と大変失礼な事を言われた。
ギルマスの助言でギルドカードに年齢が見えるようにして貰ってて良かったよ。
届いたエールを一気に半分ほど飲む。
ぷっはぁと息を吐き出した。
「こんな見た目なのに、この中で1番酒に強いとか笑える~」
オーベが炭酸水を飲みながら言う。
下戸ではないがあまり強くなく、酒自体を美味しいと感じないらしい。
さて、柚子胡椒が酔っ払う前に動こうか!
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