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第43話:結婚式

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 結婚式の為に建てられた神殿で、三人の新婦が入場しました。
 そのうちの一人は、私なんだけどね。
 父親にエスコートされての入場。
 なぜか私の父親役は神様ですが……。

 後から聞いたら、養子縁組の時点で、既に神様とグルーバー辺境伯の間では約束していた事なんですって!
 まぁ、実の父じゃなきゃどっちでも私は嬉しいけどね。


 祭壇の前で待つ新郎に、父親から新婦が渡される。
 祭壇に神官が居ないなぁと思っていたら、まさかの女神様降臨。

 普通は神官が誓いの言葉とかやるのに、なんと愛の女神様御本人に誓ったのよ!

 そして執事だった熾天使と、メイドだった権天使が、お仲間も連れてフラワーシャワーならぬ天使の羽根シャワーをしてくれました。
 止めたの。反対はしたの。
 心の中でだけど、聞こえてたはず。
 ……神様の『盛り上がるなら良いであろう?なぜ反対する』で決行です。

 もうね、歴史に残る結婚式だよね。
 曾孫ひまごまではギリ信じてもらえるかもだけど、玄孫やしゃごにはお伽噺だと思われちゃうんだろうな。


 それぞれ自分の領地内をお披露目パレードする馬車を引く馬が、天馬なのは気のせいだ。
「あの馬、羽があるよ!?」
 沿道の子供の声が聞こえたけど、幻でも見たのかな?

「カーリー、現実逃避してないで、天馬に浮き過ぎ無いように注意してね」
 バージルに言われて下を見ると、天馬が馬車ごと10センチ位浮いてた。
 ガタゴト揺れないから、楽で良いけどね。



 聖女って、もっと特別な力とか持ってるのかと思ってたわ。
 こう、怪我とか病気とか、手をかざしたらピカーーッてなって治る、みたいな奇跡の力?

 でも、私に特別な力は何も無い。
 私に有るのは、私が住む所が豊かになるという力。
 それも力と呼ぶのかしら?
 まずそこが疑問よね。


 現実逃避その2ですが何か?
 だって天馬に引かれてのお披露目が終わって神殿に帰って来たら、神殿の中がおかしな事になってるのよ?

 建物の中央に噴水が出来ていて、その噴水は赤い液体で満たされてるの。
 あれ、赤ワインよね?
 しかもその赤ワインを汲んでいるのは、妖精?
 光の玉が必ずグラスと共にフヨフヨと浮いている。

 そしてやはり建物の中に木が育っていて、たわわに実を付けている。
 林檎、オレンジ、葡萄、桃……他にも木になる果物が沢山。
 神殿の内周を果物の木が囲ってる感じ?

 因みにここは結婚式をしたとの同じ場所。
 さっきは無かったからね?

 木の下では、天使が果物を収穫して食べやすくしてから、皿に盛っている。
 テーブルに置かれた皿を、メイドが運んで行く。
 天使が収穫して、皮を剥いたりカットしたりしてくれた果物か~。
 ご利益有りそうよね!


「えぇと、カーリー?固まってないで、中に入ろうか」
 バージルに声を掛けられた。
 貴方のその順応力は何なの!?
 この披露宴会場を見て、何も思わないの?

 思わず横のバージルを睨み上げたら、微笑み返された。
「カーリーは神様に愛されてるねぇ」
 キラキラした表情で言われてしまった。
 まぁ、確かにね。
 バージルの言う通りだわ。


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