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第1話:私の家族
しおりを挟む学園の入学前、制服を作る為に指定の店に行った。
「可愛いお嬢様で、制服が出来上がるのが楽しみですね」
お店の店員は、お世辞なのか、それとも全員に言ってるのか、とにかく私を褒めた。
普通はここで「ありがとうございます」と笑って終わる。
社交辞令だろうが、娘が褒められたら礼を言うだろう。
しかし、私の母は違った。
「この子は地味だからどうでも良いわ。来年入学する娘が、天使のように可愛いのよ。今から楽しみだわ」
言われた方の店員は、呆気に取られた後に「そうなのですね」と苦笑いしていたわよ。
私を貶めて、妹を上げる。
いつもの事だけど、外でやられると恥ずかしいのよ。
学園入学後。
学期末考査で私は学年7位だった。
学園祭に見学に来た両親に、担任が「素晴らしい成績でしたね」と言った。
それに対して、普通は「ありがとうございます」で良いわよね?
しかし、うちの父は違った。
「いやいや、この子は何をやらしても駄目なんですよ。一つ上の姉は、毎回1位ですからな!」
いやいや、はこちらの台詞だわ!
何でここで、私を落として姉を持ち上げるのよ。
眉間に皺を寄せた担任を放置して、両親は挨拶もそこそこに姉のクラスへ向かった。
残された私と担任の気まずさったらなかったわよ。
私はずっと「可愛くない」「地味だ」「出来が悪い」「何も出来ない」と言われて育った。
確かに、姉は頭が良かった。
確かに、妹はとても可愛らしい。
でもね、前から思ってたんだけど、学園に行き始めて確信したわ。
私は姉より可愛いし、私は妹より頭が良い。
何よりも、平均より可愛いし、平均より頭が良い。
何でここまで貶められなきゃいけないの?
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