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ビビりとモフモフ、冒険開始
日本の味と局地的狼祭り
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八百屋さんに、見たことも無いような植物を、アポなしで売りつけたデイヴィーさん。
買い物の後、散歩がてらやってきた平原で、俺らにも同じ植物を少し売ってくれた。
詩音の計算によると、単価が八百屋さんに売った半額らしいけど、いいの?少量だけどさ。
…弟価格?何じゃそりゃ。
「コレがビットの実?」
「そう。凄く甘いから、お菓子作りに使えるんだよ。馬鹿みたいに高い、砂糖より断然お得♪」
「お菓子ですか!」
「へぇ~。」
砂糖って高級品なのか。
そういや、アイテムボックスにあったのは、砂糖じゃなくて蜂蜜だったな。
「何か作ろうかな…クッキーくらいならできるかも。」
『クッキー、しってるです!そうちょーさん、たまに くれるのです!』
そういや、小梅にも時々、手作りクッキーあげてたな。
……ベーキングパウダーさえあれば、にゃんこ用ニンジンクッキー再現できるぞ…!
ベーキングパウダーって、要は重曹だよね…炭酸水素…カルシ…ウム?ナトリウムだっけ?ベリリウムではないことは確かだ。
……どうやって作るんだろ…。
くそぅ、科学真面目に受ければ良かった……詩音知らないかな?
「この、ソイという茶色の葉っぱは、何に使うんですか?」
「調味料だよ。何て言うか…塩っぽい不思議な味がするんだ。煮出して何かにかけてもいいし、すりおろして練って、スープに入れると溶けていい味になるんだ~♪」
「塩っぽい不思議な味…?スープ……?!」
……まさかコレ…醤油,味噌の原料か?!
だとすれば、料理の幅が広がる!
「ふ、ふふふ…いい買い物ができたぜ、兄ちゃん…!俺、たぶんお得意様に成るわ!」
「気に入ってくれた?いずれ、家の菜園と果樹園案内してあげるね~。」
「いいの?!」
『おうちで、コレが とれるです?』
「そうみたいですねぇ。」
もしかして…この分なら、アレも扱ってるのでは?!
「ねえ、兄ちゃん!米って植物解る?!」
「コメ?」
「えっと、見た目は麦に似ていて…水を張った土地で育てて、こう…先端の尖った楕円形の小さい実が、幾つもなる植物…でしょうか。」
「んー、コメって名前じゃないけど…ソレっぽいので、ライスってのがあるよ。」
「「それ!!」です!!」
貴方が神か…!
日本のソウルフードに、異世界で出逢えるとは…!
「でもアレ、食べるの?焼いたら牙折れそうなくらい硬くて…煮ればべっちょべちょになるから、俺あんま好きじゃない……。」
「いや、米は炊けぇええええええええ!!」
「た…竹?」
調理法確立されてないんかーい!!
なんて…なんて勿体ない!
「小梅、土鍋だ!至急土鍋を作ってくれ!」
『ど、なべ?おなべですか?』
「そう、土の鍋!『ねこなべ』くらいの大きさのやつ!昨日の浴槽と同じ素材で!ピッタリ嵌まる蓋も!あ、蓋に小さく穴空けて!」
『はいです!』
「土の鍋?え、何するの?」
「お料理ですよ♪」
「さあ、ライス出して!」
「えぇ…本当に食べるの?」
「詩音、料理セット!あとテーブル!」
「はい、セッティングしますね!」
「えーと、計量カップ…兄ちゃん、ライスはこのカップの線に沿って、2杯分用意してね!」
計量カップ、作っといて良かった。
詩音の水属性魔法は、ミリリットル単位で量を指定できるからね。
それを利用して、キッチリ作ったんだよ。
さて、素晴らしい植物を売ってくれたお礼も兼ねて、デイヴィーさんに、米の炊き方を伝授しようじゃないか!
序でに、ソイを使って豚汁擬きも作ってしんぜよう!
先ずは、釜戸作らねば。
『そうちょーさん、おなべ できたです~♪』
「お、ありがとう小梅!次は、鍋が乗せれるように…えーと、壁が一ヶ所無い箱形の土台作ってくれ。」
『はいです!』
「詩音、テーブル出したら、水の瓶何本か出しといて!速やかに置けよ?俺に渡そうとか、思わなくていいからな!」
「は、はい!」
「よっしゃ、食材切ろう。」
詩音、よく転ぶんだよ。
独りで走らせたりすると、何も無い所でも転ける。
だからいつも、手繋ぐんだが…
昨日置いてっちゃった時は、大丈夫だったんだろうか……。
両脇に2人以上いれば、対応できるけど…ラルフとレナさんに迷惑かけなかったかな?
そういや、昨日は液体持って歩いてたのに、珍しく溢したり落としたりしなかった。
コイツ…割れ物は割る物、液体は溢す物ってレベルでやらかすんだけどなぁ。
バイトでも、ホール担当という名の、スタッフの世話専門人員だったくらいなのに。
……運がまた、本気出してきたか?
「ミライ、ライスは白くなるまで剥くの?俺やっとく?」
「うん、頼む!剥いたら何回か洗って、その器に入れて水に浸けといて!」
「りょーかい。」
…風属性魔法って、精米もできるんだ……!
便利だな~……。
よし、さっき買ったゴボウを軽く揚げ焼きして…一旦取り出してから、薄切りしたオーク肉も表面をカリッと焼く。
アクセントに刻み生姜入れてっと♪
『だい、できたです!』
「おお、いい感じ!ありがとうな、小梅~♪」
「今は、何作ってんの?」
「豚汁ならぬ、オーク汁!」
「いいですね!何かお手伝いすること、ありますか?」
「ソイをすりおろして欲しいんだけど…すり鉢とか無いな。」
『どんなのですか?コウメ、つくるです!』
「最高かよ小梅!」
土属性魔法マジ有用…!
詩音、割るなよ?小梅の善意を割るなよ?
そろそろ、野菜全部入れよう。
「えーと、ソイは…コレですね!」
「あー!待ってシオンくん、それサビの葉!似てるけど、鬼辛いやつ!ソイは茎がしんなりしてるのだから!」
「え、あ、此方ですか?」
「そう、それ!ごめんごめん、使わない植物避けとくね。」
「ナイス、兄ちゃん。そのまま、その超絶ドジっ子の面倒頼むわ。」
「…シオンくん、いつもこんな感じ?」
「うん。」
此方来てから、大してやらかしてないのが、奇跡なくらいだよ。
「よいしょ…あ、なんだか味噌っぽくなってきました!」
「溢すなよ~?」
「はい!」
本当はこんにゃく入れたいけど…作ったこと無いからなぁ。
さーて、水入れよ。
「…米、そろそろ吸水できたかなぁ?」
「そういえば、土鍋で炊いたことあるんですか?」
「炊き込みご飯なら。」
30分くらいは経ったと思うけど…大丈夫かな?
一回水切らないとな…ザル…無いから器の端に手当ててやるか。
「炊けるかなぁ~♪」
土鍋に入れて…カップ2杯分の水を注いだら、中火にかけて蓋をする!
「どれくらい、火にかけるの?」
「沸騰してから、弱火にして15分。」
「楽しみですね~♪」
『おいしーの、できるです?』
「おう、美味しくなるぞ~♪」
───────
※その頃のディアドルフ様はというと
「はぁぁ…フカフカですわぁ…♪」
「皆、大人しいだろう?」
「ええ♪お母様も、一匹撫でてみませんか?この子達、全然威嚇してきませんわ!」
「…わ、私は結構です。」
少々荒療治だが…イシュタリアとアンジェリカを、大量の獣系モンスターの群れに放り込んでみた。
まあ、モンスターと言っても、愛玩用として飼うことも可能な者達だが。
ミライを想定して、狼系の子供だけを用意してある。
「この子、少し冷たいわ…大丈夫ですの?」
「スノーウルフだな。冷たいくらいが正常体温だ。アイテムボックスが無いときの、食材の保冷等に重宝される。」
「ディアドルフ殿、こ、この黒い仔犬をそちらにやってくださる?何故私の方に寄ってくるのです…。」
「シャドウウルフの幼体だな。貴君に撫でて欲しいのだろう。」
ふむ…アンジェリカは問題無いな。
やはり、一度ミライの毛並みにやられたのが大きいのだろう。
イシュタリアも、ミライを撫でれば少しは変わる可能性が……いや、そもそも、ミライが触れさせたがらない、か。
「母上、失礼します…………ディアドルフ殿…これは何の催しですか?母上のお心を、更に追い詰めようとでも?」
「おや、サリエル。」
「お兄様!この子達、安全に触れますわ!大人しい子ばかりですのよ♪」
「アンジュ、獣の行動など信用できないだろう。何を考えているのか、わからないのだから…とりあえず、その仔犬を置くんだ。」
……折角だ、サリエルも荒療治しておくか。
謝罪する気が起きるかもしれん。
そこまで行かずとも、対話くらいには持ち込める可能性がある。
ミライには悪いが、本人が話したいと言うなら、今日中に会わせるつもりだ。
石になっては、話せないからな。
「貴君も少しくらい、触れてみたまえよ。」
「っ?!何を…!わ、私の頭に、何を乗せたっ?!」
「生まれて間もない仔狼だ。落としたら2匹に増やす。」
「なっ?!」
喜べ。その子、生後7日の無属性フェンリルだぞ。
新しく産まれたのを、ひ孫から預かってきた。
「こんなに仔犬ばかり…よくまあ、集めましたこと……。」
「狼なのだが。」
「犬も狼も似たようなものだろう!と、兎に角この獣達を、他所にやっていただけないか?!」
「そう意地になるな。アンジェリカ嬢を見習ってはどうかね?」
「お兄様、お母様!この仔犬、翼が生えてますわ!」
「アンジュっ…今度は何を抱えてるんだ?!」
「フェザーウルフの幼体だな。その大きさでも、数メートルなら飛ぶ。」
「犬なのに、飛べるのですか?」
「部屋で飛ばすのは、およしなさい。……もう、警戒するのも、馬鹿らしくなってきましたわ。」
…多少は馴れたか?
この分なら、放置しても仔狼達が危害を加えられることは無さそうだな。
「サリエル。」
「な、何か?」
「少し、2人で話がしたい。」
現時点で、どう思っているのか聞かせてほしい。
獣人のこと、ミライ個人のこと、呪いのこと。
どこまで知っていて、どう考えて仕出かした事なのか。
「…わかりました。その前に、頭の上のコレを降ろしていただけますか?」
「自分で取れば良いだろう。私は『落としたら増やす』としか言っていないが?」
その子には聞かれても構わんな。
さっさと部屋を移動しようではないか。
「腕を引かなくても、逃げませんよ…。コレに極力触れたくありません。邪魔なので取ってください。」
「噛まれる心配は無いのだがね。」
「何故そう言い切れます?」
「その子にとって、貴君は怖い者ではないからだ。空腹というわけでもなし。襲って来ないと解っている相手に、牙を剥く必要がどこにあろうか。」
「…獣が牙を剥いてくるのは、此方が襲うからだと?」
「覚えがあるだろう。」
ミライを『ラルフの友人』として、普通に迎えてくれていれば…コレほど面倒で厄介な事態にはならなかっただろうに。
…連れてきた私にも、非はあるがね。
「…昨日の犬は…家族に牙を剥いたから、弓で射殺したのですよ。」
「その前に、牙を剥かせた者が居る。初めから噛みつくつもりで、人に近寄る獣はそういない。」
「それでも…貴方とて、理由はどうあれ、噛みついてきたモンスターは倒すでしょう?」
「相手に理性が無いなら、な。貴君が弓を引いた相手は、理性もあれば言葉も通じる者だが。」
適当な空き部屋に入って、念のため結界を張る。
この先の会話は、家人に聞かれたくないだろうからな。
「…それで、どのような御用でしょう。」
「仲良くしろとは言わぬが、いがみ合うのは辞めにしないか?」
「は?」
「間に挟まれている、ラルフが哀れだ。」
頭に乗せた仔フェンリルを一旦取り上げ、胸元に向けて軽く放ると、反射的にだろうが両手で抱えた。
「おや、受け止めてくれるとは。」
「……増やされては堪りませんので。」
「フフフッ…触り心地はどうかね?」
「…大人しくしている分には、許容できます。」
───────
※ご飯が炊けました
「でれれれでれれれ♪でれれれでれれれっ♪ごーまー●ーれー♪」
「何でしたっけ、それ。」
「ゼ●伝の宝箱オープンBGM。」
『まっしろ、ほかほかです!』
「……うっそ、コレ本当にライス…?!滅茶苦茶いい匂いする!」
ふはははは!米が炊けたぞぉー!
しゃもじ無いから、スプーンでよそっちゃえ。
「オーク汁も、アイテムボックスから出しますね。」
「スゲェw野外飯のレベルじゃないw」
「汁物は俺がよそう。」
「お願いします。」
「小梅は、ねこまんまだな。」
『かけちゃうです?』
米、2合じゃ足りなかったかな?
…まあいいや。
「ん?……えー…早くね……?ミライ、お客さんだって。」
「お客さん?」
『わぁ~』
『おそと~♪』
『あそぼあそぼ~』
…え、何か可愛いのが集団で現れたんだけど。
『おにーさん、あそぼ!』
「おおぅ、なんだお前可愛いなw」
『きんいろの おにーちゃん、みどりになった!』
「あー、ごめん別人www」
『おにー…おねーさん?』
「お兄さんですぅ……。」
『ねこちゃんだー!』
『あそぶですか?』
何コレ。何なの、このちっこい狼達。
可愛すぎるだろ、昼飯食べれないんだけど。
「おや、昼食か?」
「あ、お帰りディアさ…ん……」
大量の狼モンスターを連れてきたのが、ディアさんだってのは解った。
「…ひ…ヒノワ…殿……」
『がんばれー』
俺と目を合わせようとしない、ちっこい灰色の狼抱えたお兄さんまでいるのは…何故に?
買い物の後、散歩がてらやってきた平原で、俺らにも同じ植物を少し売ってくれた。
詩音の計算によると、単価が八百屋さんに売った半額らしいけど、いいの?少量だけどさ。
…弟価格?何じゃそりゃ。
「コレがビットの実?」
「そう。凄く甘いから、お菓子作りに使えるんだよ。馬鹿みたいに高い、砂糖より断然お得♪」
「お菓子ですか!」
「へぇ~。」
砂糖って高級品なのか。
そういや、アイテムボックスにあったのは、砂糖じゃなくて蜂蜜だったな。
「何か作ろうかな…クッキーくらいならできるかも。」
『クッキー、しってるです!そうちょーさん、たまに くれるのです!』
そういや、小梅にも時々、手作りクッキーあげてたな。
……ベーキングパウダーさえあれば、にゃんこ用ニンジンクッキー再現できるぞ…!
ベーキングパウダーって、要は重曹だよね…炭酸水素…カルシ…ウム?ナトリウムだっけ?ベリリウムではないことは確かだ。
……どうやって作るんだろ…。
くそぅ、科学真面目に受ければ良かった……詩音知らないかな?
「この、ソイという茶色の葉っぱは、何に使うんですか?」
「調味料だよ。何て言うか…塩っぽい不思議な味がするんだ。煮出して何かにかけてもいいし、すりおろして練って、スープに入れると溶けていい味になるんだ~♪」
「塩っぽい不思議な味…?スープ……?!」
……まさかコレ…醤油,味噌の原料か?!
だとすれば、料理の幅が広がる!
「ふ、ふふふ…いい買い物ができたぜ、兄ちゃん…!俺、たぶんお得意様に成るわ!」
「気に入ってくれた?いずれ、家の菜園と果樹園案内してあげるね~。」
「いいの?!」
『おうちで、コレが とれるです?』
「そうみたいですねぇ。」
もしかして…この分なら、アレも扱ってるのでは?!
「ねえ、兄ちゃん!米って植物解る?!」
「コメ?」
「えっと、見た目は麦に似ていて…水を張った土地で育てて、こう…先端の尖った楕円形の小さい実が、幾つもなる植物…でしょうか。」
「んー、コメって名前じゃないけど…ソレっぽいので、ライスってのがあるよ。」
「「それ!!」です!!」
貴方が神か…!
日本のソウルフードに、異世界で出逢えるとは…!
「でもアレ、食べるの?焼いたら牙折れそうなくらい硬くて…煮ればべっちょべちょになるから、俺あんま好きじゃない……。」
「いや、米は炊けぇええええええええ!!」
「た…竹?」
調理法確立されてないんかーい!!
なんて…なんて勿体ない!
「小梅、土鍋だ!至急土鍋を作ってくれ!」
『ど、なべ?おなべですか?』
「そう、土の鍋!『ねこなべ』くらいの大きさのやつ!昨日の浴槽と同じ素材で!ピッタリ嵌まる蓋も!あ、蓋に小さく穴空けて!」
『はいです!』
「土の鍋?え、何するの?」
「お料理ですよ♪」
「さあ、ライス出して!」
「えぇ…本当に食べるの?」
「詩音、料理セット!あとテーブル!」
「はい、セッティングしますね!」
「えーと、計量カップ…兄ちゃん、ライスはこのカップの線に沿って、2杯分用意してね!」
計量カップ、作っといて良かった。
詩音の水属性魔法は、ミリリットル単位で量を指定できるからね。
それを利用して、キッチリ作ったんだよ。
さて、素晴らしい植物を売ってくれたお礼も兼ねて、デイヴィーさんに、米の炊き方を伝授しようじゃないか!
序でに、ソイを使って豚汁擬きも作ってしんぜよう!
先ずは、釜戸作らねば。
『そうちょーさん、おなべ できたです~♪』
「お、ありがとう小梅!次は、鍋が乗せれるように…えーと、壁が一ヶ所無い箱形の土台作ってくれ。」
『はいです!』
「詩音、テーブル出したら、水の瓶何本か出しといて!速やかに置けよ?俺に渡そうとか、思わなくていいからな!」
「は、はい!」
「よっしゃ、食材切ろう。」
詩音、よく転ぶんだよ。
独りで走らせたりすると、何も無い所でも転ける。
だからいつも、手繋ぐんだが…
昨日置いてっちゃった時は、大丈夫だったんだろうか……。
両脇に2人以上いれば、対応できるけど…ラルフとレナさんに迷惑かけなかったかな?
そういや、昨日は液体持って歩いてたのに、珍しく溢したり落としたりしなかった。
コイツ…割れ物は割る物、液体は溢す物ってレベルでやらかすんだけどなぁ。
バイトでも、ホール担当という名の、スタッフの世話専門人員だったくらいなのに。
……運がまた、本気出してきたか?
「ミライ、ライスは白くなるまで剥くの?俺やっとく?」
「うん、頼む!剥いたら何回か洗って、その器に入れて水に浸けといて!」
「りょーかい。」
…風属性魔法って、精米もできるんだ……!
便利だな~……。
よし、さっき買ったゴボウを軽く揚げ焼きして…一旦取り出してから、薄切りしたオーク肉も表面をカリッと焼く。
アクセントに刻み生姜入れてっと♪
『だい、できたです!』
「おお、いい感じ!ありがとうな、小梅~♪」
「今は、何作ってんの?」
「豚汁ならぬ、オーク汁!」
「いいですね!何かお手伝いすること、ありますか?」
「ソイをすりおろして欲しいんだけど…すり鉢とか無いな。」
『どんなのですか?コウメ、つくるです!』
「最高かよ小梅!」
土属性魔法マジ有用…!
詩音、割るなよ?小梅の善意を割るなよ?
そろそろ、野菜全部入れよう。
「えーと、ソイは…コレですね!」
「あー!待ってシオンくん、それサビの葉!似てるけど、鬼辛いやつ!ソイは茎がしんなりしてるのだから!」
「え、あ、此方ですか?」
「そう、それ!ごめんごめん、使わない植物避けとくね。」
「ナイス、兄ちゃん。そのまま、その超絶ドジっ子の面倒頼むわ。」
「…シオンくん、いつもこんな感じ?」
「うん。」
此方来てから、大してやらかしてないのが、奇跡なくらいだよ。
「よいしょ…あ、なんだか味噌っぽくなってきました!」
「溢すなよ~?」
「はい!」
本当はこんにゃく入れたいけど…作ったこと無いからなぁ。
さーて、水入れよ。
「…米、そろそろ吸水できたかなぁ?」
「そういえば、土鍋で炊いたことあるんですか?」
「炊き込みご飯なら。」
30分くらいは経ったと思うけど…大丈夫かな?
一回水切らないとな…ザル…無いから器の端に手当ててやるか。
「炊けるかなぁ~♪」
土鍋に入れて…カップ2杯分の水を注いだら、中火にかけて蓋をする!
「どれくらい、火にかけるの?」
「沸騰してから、弱火にして15分。」
「楽しみですね~♪」
『おいしーの、できるです?』
「おう、美味しくなるぞ~♪」
───────
※その頃のディアドルフ様はというと
「はぁぁ…フカフカですわぁ…♪」
「皆、大人しいだろう?」
「ええ♪お母様も、一匹撫でてみませんか?この子達、全然威嚇してきませんわ!」
「…わ、私は結構です。」
少々荒療治だが…イシュタリアとアンジェリカを、大量の獣系モンスターの群れに放り込んでみた。
まあ、モンスターと言っても、愛玩用として飼うことも可能な者達だが。
ミライを想定して、狼系の子供だけを用意してある。
「この子、少し冷たいわ…大丈夫ですの?」
「スノーウルフだな。冷たいくらいが正常体温だ。アイテムボックスが無いときの、食材の保冷等に重宝される。」
「ディアドルフ殿、こ、この黒い仔犬をそちらにやってくださる?何故私の方に寄ってくるのです…。」
「シャドウウルフの幼体だな。貴君に撫でて欲しいのだろう。」
ふむ…アンジェリカは問題無いな。
やはり、一度ミライの毛並みにやられたのが大きいのだろう。
イシュタリアも、ミライを撫でれば少しは変わる可能性が……いや、そもそも、ミライが触れさせたがらない、か。
「母上、失礼します…………ディアドルフ殿…これは何の催しですか?母上のお心を、更に追い詰めようとでも?」
「おや、サリエル。」
「お兄様!この子達、安全に触れますわ!大人しい子ばかりですのよ♪」
「アンジュ、獣の行動など信用できないだろう。何を考えているのか、わからないのだから…とりあえず、その仔犬を置くんだ。」
……折角だ、サリエルも荒療治しておくか。
謝罪する気が起きるかもしれん。
そこまで行かずとも、対話くらいには持ち込める可能性がある。
ミライには悪いが、本人が話したいと言うなら、今日中に会わせるつもりだ。
石になっては、話せないからな。
「貴君も少しくらい、触れてみたまえよ。」
「っ?!何を…!わ、私の頭に、何を乗せたっ?!」
「生まれて間もない仔狼だ。落としたら2匹に増やす。」
「なっ?!」
喜べ。その子、生後7日の無属性フェンリルだぞ。
新しく産まれたのを、ひ孫から預かってきた。
「こんなに仔犬ばかり…よくまあ、集めましたこと……。」
「狼なのだが。」
「犬も狼も似たようなものだろう!と、兎に角この獣達を、他所にやっていただけないか?!」
「そう意地になるな。アンジェリカ嬢を見習ってはどうかね?」
「お兄様、お母様!この仔犬、翼が生えてますわ!」
「アンジュっ…今度は何を抱えてるんだ?!」
「フェザーウルフの幼体だな。その大きさでも、数メートルなら飛ぶ。」
「犬なのに、飛べるのですか?」
「部屋で飛ばすのは、およしなさい。……もう、警戒するのも、馬鹿らしくなってきましたわ。」
…多少は馴れたか?
この分なら、放置しても仔狼達が危害を加えられることは無さそうだな。
「サリエル。」
「な、何か?」
「少し、2人で話がしたい。」
現時点で、どう思っているのか聞かせてほしい。
獣人のこと、ミライ個人のこと、呪いのこと。
どこまで知っていて、どう考えて仕出かした事なのか。
「…わかりました。その前に、頭の上のコレを降ろしていただけますか?」
「自分で取れば良いだろう。私は『落としたら増やす』としか言っていないが?」
その子には聞かれても構わんな。
さっさと部屋を移動しようではないか。
「腕を引かなくても、逃げませんよ…。コレに極力触れたくありません。邪魔なので取ってください。」
「噛まれる心配は無いのだがね。」
「何故そう言い切れます?」
「その子にとって、貴君は怖い者ではないからだ。空腹というわけでもなし。襲って来ないと解っている相手に、牙を剥く必要がどこにあろうか。」
「…獣が牙を剥いてくるのは、此方が襲うからだと?」
「覚えがあるだろう。」
ミライを『ラルフの友人』として、普通に迎えてくれていれば…コレほど面倒で厄介な事態にはならなかっただろうに。
…連れてきた私にも、非はあるがね。
「…昨日の犬は…家族に牙を剥いたから、弓で射殺したのですよ。」
「その前に、牙を剥かせた者が居る。初めから噛みつくつもりで、人に近寄る獣はそういない。」
「それでも…貴方とて、理由はどうあれ、噛みついてきたモンスターは倒すでしょう?」
「相手に理性が無いなら、な。貴君が弓を引いた相手は、理性もあれば言葉も通じる者だが。」
適当な空き部屋に入って、念のため結界を張る。
この先の会話は、家人に聞かれたくないだろうからな。
「…それで、どのような御用でしょう。」
「仲良くしろとは言わぬが、いがみ合うのは辞めにしないか?」
「は?」
「間に挟まれている、ラルフが哀れだ。」
頭に乗せた仔フェンリルを一旦取り上げ、胸元に向けて軽く放ると、反射的にだろうが両手で抱えた。
「おや、受け止めてくれるとは。」
「……増やされては堪りませんので。」
「フフフッ…触り心地はどうかね?」
「…大人しくしている分には、許容できます。」
───────
※ご飯が炊けました
「でれれれでれれれ♪でれれれでれれれっ♪ごーまー●ーれー♪」
「何でしたっけ、それ。」
「ゼ●伝の宝箱オープンBGM。」
『まっしろ、ほかほかです!』
「……うっそ、コレ本当にライス…?!滅茶苦茶いい匂いする!」
ふはははは!米が炊けたぞぉー!
しゃもじ無いから、スプーンでよそっちゃえ。
「オーク汁も、アイテムボックスから出しますね。」
「スゲェw野外飯のレベルじゃないw」
「汁物は俺がよそう。」
「お願いします。」
「小梅は、ねこまんまだな。」
『かけちゃうです?』
米、2合じゃ足りなかったかな?
…まあいいや。
「ん?……えー…早くね……?ミライ、お客さんだって。」
「お客さん?」
『わぁ~』
『おそと~♪』
『あそぼあそぼ~』
…え、何か可愛いのが集団で現れたんだけど。
『おにーさん、あそぼ!』
「おおぅ、なんだお前可愛いなw」
『きんいろの おにーちゃん、みどりになった!』
「あー、ごめん別人www」
『おにー…おねーさん?』
「お兄さんですぅ……。」
『ねこちゃんだー!』
『あそぶですか?』
何コレ。何なの、このちっこい狼達。
可愛すぎるだろ、昼飯食べれないんだけど。
「おや、昼食か?」
「あ、お帰りディアさ…ん……」
大量の狼モンスターを連れてきたのが、ディアさんだってのは解った。
「…ひ…ヒノワ…殿……」
『がんばれー』
俺と目を合わせようとしない、ちっこい灰色の狼抱えたお兄さんまでいるのは…何故に?
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「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
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