ビビりとモフモフの異世界道中

とある村人

文字の大きさ
89 / 249
ビビりとモフモフ、冒険開始

YDKのやる気スイッチ

しおりを挟む
浮かれ気分で宿に戻ると、詩音と陽向とディアさんが、1階で寛いでた。
キッチンから物音がするから、ファルさんが準備をしているんだろう。

『ただいま~♪』
『ただいまです♪』
「お帰りなさい。」
『おかえりー!』
「お帰り。デイヴィーに連れ去られたらしいな。」
『寝てる内にね。窓からギルドに運び込まれたっぽい。』

さあ、夕飯作り手伝おう!…と思っていたら

「ダメですよ、未來くん。他にやることあるでしょう?」
『え』

詩音がニコニコ満面の笑顔で、紅い羽根ペンと羊皮紙の束を渡してきた。
…レシピ書けってか……!

『……ちょっと用事が…』
「逃がしませんよ。」
『兄ちゃんの所に忘れ物…』
「小梅ちゃん、未來くん忘れ物しました?」
『してないです。』
「はい、行きますよ~。あ、背中の荷物預かりますね。」

首輪捕まえられて、ズルズルと部屋まで連行される。
何故詩音にこんな力が…輝きの杖か!
アレの攻撃力500アップ効果だな?!

『やぁーだぁー!今日は休む今日こそ休む遊ぶぅうううう!!』
「そんなこと言ってて、明日取りに来られたらどうするんですか!今日は充分遊んだでしょう!」
『ぎゃー!オカンが虐待するよー!助けてお父さーん!』

しーごーとーしーたーくーなーいぃいいいい!!

『お父さんって誰です?』
「……私かな。」
『しおにーちゃん、すごーい!』
「おやまぁ、ミライくんの遠吠えが聞こえたと思ったら、引き摺られてっちゃったのかいw」
「今日の手伝いは私がやろう。コウメとヒナタは、ミライの応援でもしてやりたまえ。」
「良いのかい?助かるよ!」
『応援するです!ひなくん、お部屋行くですよ。』
『おーえん!おーえん!』

───────

うぅ…書きやすい羽根ペンが憎い……
文書こうとすると、自動的にディーヴェルト語書いてるオート翻訳が憎い……
アホな俺でも、ちゃんと書けちゃうのが憎い……!

「つーかーれーたぁー……!もうやだー!」
「しっかりしてください。まだ1品目の途中ですよ。」
「ぅ~……俺行程言うから、詩音書いてぇぇ……」
「ダメです。未來くんのお仕事ですから。」
『がんばれ!がんばれ!』
『総長さん、頑張るです!』

ぐぬぬ、詩音がまたもロッテンマ●ヤーさんに…!
小梅と陽向という癒しが無ければ、とっくに放り出してる所だぜ……!

「大丈夫ですよ。お友達にお料理教えたりも、してたじゃありませんか。」
「アイツらは、実際見せて教えたんだよ!文で教えた経験なんかないの!」
『絵じゃダメなのです?』
「俺の美術の成績は、『独創性』の項目以外底辺だぞ。文より伝わらねぇ自信ある。」
「干支を紙粘土で作る授業で、戌年にケルベロス作ろうとした結果が、頭3つに足6本、耳が肩から1対生え、尻尾がまるで団扇のような怪物でしたからね。」

因みに、そのバケモンは何故か、当時4歳の妹に気に入られた。不思議ちゃんだから仕方ない。
そして妹から『ひのたん』という名を与えられ、爺バカなじいちゃんによって、床の間に飾られる事態になったんだ。だんだん思い出してきた。
確か、俺が高校入る頃には、日輪家の守り神的な扱いされてたな…。
終いにゃ詩音が、ひのたんのマスコット作って、俺と妹にくれたんだよなぁ……。
ストラップになってたから、通学鞄に着けてたハズ。

「…ハッ!ひのたんなら、俺でも描けるかもしれない…!」
「羊皮紙無駄にするつもりですか。」
『ひのたんです?』
『ひのたんってなぁに?』
「未來くんの妹さん曰く『にーちゃのペットで、さいきょーのモンスター』だそうです。」
「待って、美鈴みりぃそんな評価してたの?」
「4歳の頃は間違いなく。」
『ペット?』
『最強のモンスターですか……。』

なんでジト目なのかな小梅?
大丈夫だよ、ひのたんは日輪一家の心の中にしか居ないから。

「はい、雑談はここまでです!続き頑張ってください。」
「うー…やる気がぁぁぁ……」
「もう……。…ちょっと、小梅ちゃんお手伝いお願いします。」

ん?どこ行くの?
ちょっと、俺の癒し減らさないでよ。

「陽向くん、未來くんが手を止めたら、左手を軽くモグモグしてください。」
『お手伝いですか?』
『はーい!』
「何その嫌がらせ?!」

…手が無くならないように、頑張るか。

───────

20分後

「あー…土鍋ご飯、よーやっと終わったぁ~……」
『おててとめたら、めー!』
「うおぉ…休憩すら挟ませてくれないとは……!」

陽向に左手を2~3回食われ甘噛みされつつ、やっと1品目が書けた。
休ませてくれぃ。

ん?
何か紅茶のいい香りがする…蜂蜜シナモンミルクティー的な……

『総長さん、休憩なのです。』
「おー…小梅お帰り……?!」
『ただいまです♪お茶どうぞです。』
「あ、ありが、と……!」

紅茶入りの陶器のカップを、砂に乗せたトレイで給仕してくれた小梅は、白いエプロンに、黒のロングワンピース…所謂メイド服を着ていた。
フリルは少なめで、ゴテゴテしてない正統派のやつだ。
耳の間から覗くヘッドドレスも、シンプルで清楚な感じがする。
首輪を隠すように緩く結ばれたリボンが、また小梅によく似合う。

敢えて言おう、ドストライクだと!

「か、可愛い…!」
『あ、お触りはダメなのです。』
「何故に?!」

伸ばした手を砂に阻まれた。
目の前に、こんな可愛い猫が居るのに、触れるなと?!

『しおちゃんから伝言です。全部終わるまで、ナデナデモフモフ禁止なのです!』

……成る程。詩音、読めたぜお前の意図が…!

「…全部終われば…ナデナデもモフモフも、やっていいんだな……!」

───────

1時間後

「っしゃー!終わったぁー!どんなもんじゃー!!」

トマトソースハンバーグに、ポテトサラダのレシピも書き上げたぞ!
頑張った俺!よくやった俺!

「はい、誤字もありませんし…大丈夫ですね。お疲れ様でした。」
「も、もう良いよな?この可愛すぎるメイドさん、モフって良いんだよな?!」
「ええ、どうぞ存分に!」
「小梅ー!頑張ったよー!」
『よしよし、お疲れ様なのです♪』
『おめでとー!』

半ば飛び付くように、小梅を抱き締める。
我ながら動機が不純過ぎる上に、変態じみてるけど気にしない!
お預け喰らった分、しっかり堪能させてもらう!

「…本当にアレでやる気を出すとは。」
「未來くんの好みは、熟知してますからね!」
「しかし、嫌だ嫌だと言っていた割には、やり始めると早かったな。」
「1度のめり込んだら、集中力が物凄いんです。体力ありますし、本人は自覚ありませんがソコソコ頭も良いので。やればできる子なんですよ。」

なんでお前が誇らしげなのかは知らんが、集中力で言ったら裁縫中のお前も相当だぞ。
たぶんこのメイド服、仮縫いの段階から20分で仕上げたんだろ?

「ぁ~……頭使ったらお腹空いてきた。」
「夕飯なら、既にできてる頃だな。食べに降りるか?」
『ごはん!』
「そうですね。小梅ちゃん、お洋服どうします?」
『着て行くです!』
「解りました。汚れちゃっても、洗えば大丈夫なので気にしないでくださいね。」
『はいなのです♪』

んじゃ、このまま抱っこして行くか。

「夕飯何だろうな~?」
『楽しみです~♪』

賑わう宿の食堂にて、侍女の服を着たデザートキャットは、大注目を浴びることになるのだった。
しおりを挟む
感想 497

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

異世界亜人熟女ハーレム製作者

†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です 【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

『三度目の滅びを阻止せよ ―サラリーマン係長の異世界再建記―』

KAORUwithAI
ファンタジー
45歳、胃薬が手放せない大手総合商社営業部係長・佐藤悠真。 ある日、横断歩道で子供を助け、トラックに轢かれて死んでしまう。 目を覚ますと、目の前に現れたのは“おじさんっぽい神”。 「この世界を何とかしてほしい」と頼まれるが、悠真は「ただのサラリーマンに何ができる」と拒否。 しかし神は、「ならこの世界は三度目の滅びで終わりだな」と冷徹に突き放す。 結局、悠真は渋々承諾。 与えられたのは“現実知識”と“ワールドサーチ”――地球の知識すら検索できる探索魔法。 さらに肉体は20歳に若返り、滅びかけの異世界に送り込まれた。 衛生観念もなく、食糧も乏しく、二度の滅びで人々は絶望の淵にある。 だが、係長として培った経験と知識を武器に、悠真は人々をまとめ、再び世界を立て直そうと奮闘する。 ――これは、“三度目の滅び”を阻止するために挑む、ひとりの中年係長の異世界再建記である。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件

フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。 だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!? 体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...