ビビりとモフモフの異世界道中

とある村人

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ビビりとモフモフ、冒険開始

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暫くして、目が覚めた。
小梅は、再び巨大化した俺の前肢の間で、気持ち良さそうにスヤスヤ眠ってる。
もう夕暮れ時だ。
早く宿に帰らないとな…夕飯の支度手伝いたい。

……その前に、現在地の把握しないと。

『足の下は屋根じゃなくてベッド、目の前に観葉植物、窓からの景色は空……どこ此処。』
「ん?俺の店の仮眠室。」
『ふぉっふぁ?!』

び、ビックリした…デイヴィーさん?!
店って…?

「俺が営んでる、植物専門店『緑風屋』のケール支店だよ。隣にガルヴァの『清流茶房』があって、向かいに妹の『淡雪』って名前の氷菓店もある。」
『そ、そうなんだ…ケールにこんな所あったんだね。』
「うん。まあ、商業ギルドの2階なんだけどねw」

あ、そうなの?
1階しか見なかったから、知らなかったよ。

「3階はギルド長の執務室とか、職員の控え室。2階は商会の支店とかが、出店できる場所なんだ。」
『へぇ…商会の支店ってことは、兄ちゃんは、緑風屋の商会長ってこと?』
「いや、うちは『ヴァールフラン商会』の系列だよ。何をどう売るかは、店主オーナーの俺達兄弟に任せてくれてるけど、商会長は母さん。」

兄弟全員趣味も適正も違うから、各々好きなように好きな物で商売してるらしい。
因みに、ディアさんの子供は男性6人と女性3人の、9人兄弟なんだって。
その内8人が、商売で生計を立てているそうな。
ってことは、1つの商会で8種類の店抱えてんの?凄くね?

「なんか、全部個性的な店な気がする。」
「まあ、そうだね~。俺の植物専門店は、世界各国何処でも出張販売可能で、庭園造りや果樹園,畑の指導も請け負ってるよ。」
『ただし、御代は相手によりけりと。』
「そう、お客様の財力次第w俺に気に入られたら、身内割引適用しますよってね。さーて、約束通りうちの全商品約23万点を……」

え……に、23万……!?

「全部見てもらうのは酷なんで、ガルヴァと一緒に10種類まで絞ってきたよ~。」
『び、ビックリした…。』
「あははwとりあえず、ミライが興味ありそうな、食べれる植物と、お茶に使えるもの持ってきたよ~♪まずはお試しってことで、料理にして食べさせてくれれば、御代は結構!」
『わーい♪あ、その前に…小梅~起きて~。』
『ふわぁ~…?』

植物扱うなら、小梅にも見てもらおう。
鼻先で軽く頭を撫でると、すぐに起きてくれた。

『ん~…おはようです♪……此処は何処ですか?』
『兄ちゃんの店の仮眠室だって。』
「やっほー、コウメちゃん。お邪魔してゴメンね?」
『むぅ……まあいいです。約束は、そっちが先です。』
「ありがと!んじゃ、早速見てもらおうかな~♪」

そう言うと、ベッドの横に長いテーブルを出して、その上に色々乗せていく。
アイテムボックス便利だね。
リンゴやイチゴ等のよく知ってる物から、何だコレと言いたくなる物まで、10種類の品物が並んだ。

「まずは、母さんが作ったリンゴとイチゴ,モモ,ブドウだよ。お気に召したって、聞いたからさ。」
『コレ、全部美味しいのです!』
『ありがとう!コンポート、俺も作りたくなってたとこなんだ!』
「コンポートって?」
『あ、甘露煮のことだよ。』
「へぇ、ミライの故郷では、そういう名称なんだね~。」

この果物達は、絶対美味しいお菓子になる!
葡萄ジュースも、ヤウルティに乗せた甘露煮も、滅茶苦茶美味しかったもん!

「コイツが、ガルヴァにも卸してる最高品質の紅茶葉。コレはシュミットっていう香木。こっちはロザリウムっていう香草。香りが良いから、ガルヴァがブレンドティーに使ったりしてるよ。」
『この香り…!』
『総長さん、知ってるです?』

シナモンと、ローズマリーだ!
コレはお菓子にも、紅茶にも、料理にもつかえるぞ!

『コレも故郷にあったから、料理期待していいよ!』
「お、やった!次は…コイツはタロンっていう芋の仲間。家では焼くか茹でるかして、塩ふって食べてるよ。」
『タロン?』

……某世界的に有名な髭のオッサンに酷似した、ゼ●伝の牧場の居眠り親父しか出てこねぇ。
コレは味見必要だな。

『植物鑑定によると、ジャガイモより粘り気があるみたいです。』
『マジか、そんなんまで解るの?ありがと!…とろろ芋とかに近いのかね?』

なら、すりおろしも試してみるか。

「コウメちゃん、植物鑑定あるの?いいスキル貰ったねぇ♪」
『えへへ、お役に立てたのです♪』
『いやぁ、助かるよ~♪』
「んじゃ、問題!このお花と、この葉っぱはなーんだ?」

水色の膨らんだ花弁が特徴の花と…あ、コレお茶会で見た。
ヒエヒエ草じゃん。

『えっと…お花はオアシアスです。砂漠にしか咲かないお花なのです。蜜と水分がたっぷりで、お水の代わりにできるのです。』
「正解~♪葉っぱは?」
『腰の貼り薬に使える、ヒエヒエ草です。今日、生えてるのを見たばかりなのです。』
「ありゃ、問題になってなかったかw」
『ヒエヒエ草って、食えるの?』
「ガルヴァがお茶にしてるんだ。」
『へぇ~。』

スゲー爽やかなお茶になってそう。

「今回はこんなもんで。全部保存バッグに入れてあげるね。料理の期限は特に設けないけど、できたら一番に呼んで欲しいなー♪」
『おう!旨いもん沢山作るよ!』
『楽しみです♪』

保存バッグを背中に乗せてもらった。
何作ろっかな~?
1週間後のお茶会に出せるようなもんで、考えようかね。
殆どがお菓子に使える物だし♪

『よし、小梅。宿の部屋に戻ろ!兄ちゃん、またねー!』
『わかったのです。デイヴィーお兄さん、バイバイなのです♪』
「ん、気を付k…待ったミライ!その大きさだと種族バレるよ!」
『あ…そーだった《身体制御》!!』

シュルルル…と、いつもの大型犬サイズに。
コレで良し!

素晴らしい食材をゲットして、若干浮かれながら宿へと戻った。
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