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ビビりとモフモフ、冒険開始
メイドの不安 友の不安
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※クレア視点
「そう…そんなに酷いものだったの。」
「はい…味は良かったのですが、喉を詰まらせる恐れのある、危険な肉です。」
「やっぱりねぇ。…ルーファス様も、どうかなさってますわ。あんな狂人の口車に乗って、獣の子に調理させるなんて。」
調理場に置いてきてしまった、ミライ様は…きっと、困り果てているでしょう。
奥様のご命令とはいえ、心が傷みます。
…救いなのは、背中に隠したナイフを使わないで済んだこと。
何か怪しい動きをしたら、始末せよと言われておりました。
旦那様が、突然お決めになられた晩餐会。
伝説のドラゴンの肉が手に入ったからと、ラルフ坊っちゃんのお友達と、肉の提供者であるディアドルフ様をお招きすることになりました。
それだけなら、まだ良かったのです。
悪かったのは、坊っちゃんのお友達に獣人が居たこと。
更には、料理人達を差し置いて、その子が調理を任せられたということ。
旦那様も、知っていらっしゃる筈なのに。
奥様は獣人がお嫌い。
奥様が幼い頃、御実家のリーファレイン伯爵家が治める地方で、獣人の盗賊団が大暴れしていたから。
今でも、獣人は獣系モンスターの一種だと、本気で思っていらっしゃる。
だからアンジェリカ様にも、そう教えてしまわれた……。
「でもまあ…自ら毒味をして火を通したなら、少しは誉めてあげるべきかしら?獣にしてはマトモな判断ですものね。」
「彼は、人族の子と共に旅をしているそうです。恐らくは、それで……」
「あら、そうなの。飼い主から、芸を仕込まれていたのね。…躾が行き届いていないと聞いていたから、野良なのかと思ったわ。」
…礼儀作法は、確かにできておりませんでしたが……。
仕方ないことでしょう。ラルフ坊っちゃんと同じくらいの、庶民の子ですから。
獣人は発育が良いと聞きますので、もしかしたら坊っちゃんと同じ14歳ではなく、13…いえ、12歳の可能性も……。
「…ご命令の通り、調味料はお渡ししておりません。」
「当然よ。獣が調味料を使ったところで、どんな酷い味になるか…。それだけ聞ければもういいわ。始末する必要も無いみたいだし…退がって。」
「……失礼致します。」
…様子を見に戻らないと。
あんな肉、子供の手に負えるモノではありません。
もし、何も出来ずに困っていたら…後でお叱りを受けるとしても、少しだけ手助けしましょう。
せめて一口大に切るとか…私が塩だけでもかけてあげれば、まだ……。
「ふぅ…終わった~。マジ、ありがとな詩音。」
「えへへ、お役にたてて何よりです♪」
ワゴンを押すミライ様と、白髪の可愛らしい子が、調理場から出ていらっしゃいました。
あれは、ミライ様と一緒に旅をしている……?
子供2人で、何を作ったのですか…?
「み、ミライ様…。」
「ひゃっ?!め、メイドさん、でしたか……。」
「あ、クレアさん!えーと、調味料の件なんだけど…」
「も、申し訳ございません。料理人達が差し押さえてしまって…」
「やっぱり?大丈夫大丈夫、塩と胡椒は俺らのあったし、キッチンの食材で充分代用できたから!」
「……え…?」
やっぱり…?
自前の塩と胡椒を使った…?
調理場の食材で代用……?
「コレ、クレアさん達の分ね。余った分で作ったから、ちょっと小さいけど。」
「コレが……?」
「うん、ハンバーグ。まあ…毒味とでも思って、食べてみてよ。」
丸い肉の塊に、赤いソースがかけられた料理。
とてもいい匂いがしています。
「で、では、毒味させていただきます……。」
あの噛み切れない肉質からは考えられない程、スッとフォークが刺さりました。
「こ、コレは、本当にあの肉なのでございますか?」
「そうだよ。めっちゃ細かくして丸めたんだ~。」
ナイフを入れてみれば、肉の塊が抵抗なく切れていきます。
ソースを絡めて一口。
「っ!…た、大変、美味でございます…!」
「よかった~♪詩音が塩と胡椒持ってきてくれたお陰だわw」
「いえいえ、未來くんの実力ですよ♪」
噛むめば噛む程、溢れる肉汁がたまりません。
酸味のあるソースが、また肉によく合います。
「クレアさん、食堂まで案内してくれる?」
「…!はい、畏まりました。」
ああ、奥様…我々はミライ様を見くびっておりました。
今宵の晩餐会は、色んな意味で、静かなものには成らないでしょう。
───────
※ラルフ視点
家族と共に食堂へ向かう。
……空気が重い。押し潰されそうだ。
理由は解ってる。母上の御機嫌が芳しくないからだ。
兄上もミライについて、やたら事細かに聞いてくる辺り、余程警戒してるんだろう。
…俺個人が仲良くする分には、何も言われなかったから油断してた。
頼む母上、兄上…ミライに、何も余計な事をしないでくれ……!
「ラルフ、緊張してるのかい?大丈夫だよ、お前の友人なんだ。取って食べたりしないさ。」
「は、はい……。」
兄上、その貼り付けたような笑顔…シオンとレナなら誤魔化せても、俺は誤魔化されませんから……!
「そうですよ、ラルフ。どんな料理を振る舞ってくれるのか、楽しみですわ。」
「み、ミライの料理の腕は本物です。ご期待に添えると思います。…ちゃんと作らせて貰えれば…………。」
後半は小声で呟いた。
本当に妨害工作しかねない、母上や兄上に聞こえるように言う勇気は無い。
…だんだん胃が痛くなってきた。
確か執事が、胃の痛みに効く薬を持っていたな…。
いや、精神的なものによる痛みなら、心を落ち着けるハーブティーの方がいいだろうか。
ああ、ミライはどんな状況なんだろう…もの凄く不安だ…。
折角仲良くなれたのに、コレで関係が崩れたらどうしよう……!
「そう…そんなに酷いものだったの。」
「はい…味は良かったのですが、喉を詰まらせる恐れのある、危険な肉です。」
「やっぱりねぇ。…ルーファス様も、どうかなさってますわ。あんな狂人の口車に乗って、獣の子に調理させるなんて。」
調理場に置いてきてしまった、ミライ様は…きっと、困り果てているでしょう。
奥様のご命令とはいえ、心が傷みます。
…救いなのは、背中に隠したナイフを使わないで済んだこと。
何か怪しい動きをしたら、始末せよと言われておりました。
旦那様が、突然お決めになられた晩餐会。
伝説のドラゴンの肉が手に入ったからと、ラルフ坊っちゃんのお友達と、肉の提供者であるディアドルフ様をお招きすることになりました。
それだけなら、まだ良かったのです。
悪かったのは、坊っちゃんのお友達に獣人が居たこと。
更には、料理人達を差し置いて、その子が調理を任せられたということ。
旦那様も、知っていらっしゃる筈なのに。
奥様は獣人がお嫌い。
奥様が幼い頃、御実家のリーファレイン伯爵家が治める地方で、獣人の盗賊団が大暴れしていたから。
今でも、獣人は獣系モンスターの一種だと、本気で思っていらっしゃる。
だからアンジェリカ様にも、そう教えてしまわれた……。
「でもまあ…自ら毒味をして火を通したなら、少しは誉めてあげるべきかしら?獣にしてはマトモな判断ですものね。」
「彼は、人族の子と共に旅をしているそうです。恐らくは、それで……」
「あら、そうなの。飼い主から、芸を仕込まれていたのね。…躾が行き届いていないと聞いていたから、野良なのかと思ったわ。」
…礼儀作法は、確かにできておりませんでしたが……。
仕方ないことでしょう。ラルフ坊っちゃんと同じくらいの、庶民の子ですから。
獣人は発育が良いと聞きますので、もしかしたら坊っちゃんと同じ14歳ではなく、13…いえ、12歳の可能性も……。
「…ご命令の通り、調味料はお渡ししておりません。」
「当然よ。獣が調味料を使ったところで、どんな酷い味になるか…。それだけ聞ければもういいわ。始末する必要も無いみたいだし…退がって。」
「……失礼致します。」
…様子を見に戻らないと。
あんな肉、子供の手に負えるモノではありません。
もし、何も出来ずに困っていたら…後でお叱りを受けるとしても、少しだけ手助けしましょう。
せめて一口大に切るとか…私が塩だけでもかけてあげれば、まだ……。
「ふぅ…終わった~。マジ、ありがとな詩音。」
「えへへ、お役にたてて何よりです♪」
ワゴンを押すミライ様と、白髪の可愛らしい子が、調理場から出ていらっしゃいました。
あれは、ミライ様と一緒に旅をしている……?
子供2人で、何を作ったのですか…?
「み、ミライ様…。」
「ひゃっ?!め、メイドさん、でしたか……。」
「あ、クレアさん!えーと、調味料の件なんだけど…」
「も、申し訳ございません。料理人達が差し押さえてしまって…」
「やっぱり?大丈夫大丈夫、塩と胡椒は俺らのあったし、キッチンの食材で充分代用できたから!」
「……え…?」
やっぱり…?
自前の塩と胡椒を使った…?
調理場の食材で代用……?
「コレ、クレアさん達の分ね。余った分で作ったから、ちょっと小さいけど。」
「コレが……?」
「うん、ハンバーグ。まあ…毒味とでも思って、食べてみてよ。」
丸い肉の塊に、赤いソースがかけられた料理。
とてもいい匂いがしています。
「で、では、毒味させていただきます……。」
あの噛み切れない肉質からは考えられない程、スッとフォークが刺さりました。
「こ、コレは、本当にあの肉なのでございますか?」
「そうだよ。めっちゃ細かくして丸めたんだ~。」
ナイフを入れてみれば、肉の塊が抵抗なく切れていきます。
ソースを絡めて一口。
「っ!…た、大変、美味でございます…!」
「よかった~♪詩音が塩と胡椒持ってきてくれたお陰だわw」
「いえいえ、未來くんの実力ですよ♪」
噛むめば噛む程、溢れる肉汁がたまりません。
酸味のあるソースが、また肉によく合います。
「クレアさん、食堂まで案内してくれる?」
「…!はい、畏まりました。」
ああ、奥様…我々はミライ様を見くびっておりました。
今宵の晩餐会は、色んな意味で、静かなものには成らないでしょう。
───────
※ラルフ視点
家族と共に食堂へ向かう。
……空気が重い。押し潰されそうだ。
理由は解ってる。母上の御機嫌が芳しくないからだ。
兄上もミライについて、やたら事細かに聞いてくる辺り、余程警戒してるんだろう。
…俺個人が仲良くする分には、何も言われなかったから油断してた。
頼む母上、兄上…ミライに、何も余計な事をしないでくれ……!
「ラルフ、緊張してるのかい?大丈夫だよ、お前の友人なんだ。取って食べたりしないさ。」
「は、はい……。」
兄上、その貼り付けたような笑顔…シオンとレナなら誤魔化せても、俺は誤魔化されませんから……!
「そうですよ、ラルフ。どんな料理を振る舞ってくれるのか、楽しみですわ。」
「み、ミライの料理の腕は本物です。ご期待に添えると思います。…ちゃんと作らせて貰えれば…………。」
後半は小声で呟いた。
本当に妨害工作しかねない、母上や兄上に聞こえるように言う勇気は無い。
…だんだん胃が痛くなってきた。
確か執事が、胃の痛みに効く薬を持っていたな…。
いや、精神的なものによる痛みなら、心を落ち着けるハーブティーの方がいいだろうか。
ああ、ミライはどんな状況なんだろう…もの凄く不安だ…。
折角仲良くなれたのに、コレで関係が崩れたらどうしよう……!
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