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お盆つっても平日なんだよ!!
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……あぁやべぇ……無理……。
フラフラになりながら帰宅して、リビングのソファに倒れ込んだ。連日の酷暑を営業で1日歩き回った体はくたくたで汗もすごい。シャワーでも浴びてスッキリしてきたいが、起き上がる気力がわかない。
「……明日も仕事とか絶望しかねぇな……」
「社畜極まってんなぁ」
世間は盆休みで連休だったぞと呆れ気味な声が上から降ってくる。独り言への返答に視線を上げれば苦笑しながら見下ろす和装の男。夏はこれが一番涼しいからと着流しを一枚さらりと羽織っている。在宅ワークでフリーのwebデザイナーをしているこの男は毎日が休みの様にゆるゆると過ごしていて、絶賛連勤記録更新中、今日で18連勤になる俺としてはそろそろ殺意を覚える勢いだ。まぁ俺が知らないだけで納期前はこいつもそれなりに修羅場っているらしいが……。
「……うるせぇよ。こちとらカレンダー通りなんだよ」
ジロリと睨みあげながら文句を言えば、知ってっか?と小馬鹿にした口調で返される。
「カレンダーの赤文字って休みなんだぜ」
カレンダー通りで18連勤はねぇわ。
「……喧嘩売ってんのか?」
だったら買うぞ。こっちだって好きで連勤しているわけじゃない。無能な奴らが多すぎて終わんねぇんだよ!ってか終電とはいえ泊まり込むことなく毎日帰って来れてんだからまだマシじゃね?
「……いや、マシじゃねぇし。毎日終電なあたりでやべぇし」
呆れ口調でため息をこぼされた。
「ってかなに?売ったら買ってくれんの?喧嘩」
「……買わねぇ」
そんな気力はない。
「なんだよ張り合いねぇな」
「あぁっ!?」
思わず眉間に皺が寄る。さっきからなんなんだよ、おまえ。
「カレンダーも読めねぇくらいの低能はさっさと休めっ!」
「ぶっ!」
突然顔にクッションが投げつけられた。至近距離でもろにくらったそれはふかふかの塊と言えど結構痛い。
「てめぇ!何しやがる!?」
クッションを手にガバッとソファから起き上がる。ギロっと睨めば伸びてきた腕に胸倉を掴まれた。
「うっせぇな!いつまでも働いてないでたまには構えっつてんだよ!」
額が付きそうな距離。自分で言っておいて恥ずかしかったのか触れあいそうな近さにある顔はうっすら朱に染まっている。
……あぁ……つまり、これは……。
「おまえ、寂しかったのか?」
「なっ!?そんなわけないだろ!」
掴まれていた胸倉が外されて、真っ赤になって離れた相手は顔を3時の方に向けていて。耳まで真っ赤にしているのが見てとれる。
なんだよそれ、可愛いかよ。不覚にもきゅんとしたぞ今。どことは言わんが……。
「あ、あのさ」
「……なんだよ」
「明日、仕事行ったら土日は休みだから……」
だから、その……なんだ……。
「……一緒にゆっくりできる?」
「……する」
控えめな相手の問いに頷く。
「じゃあ明日1日適当に頑張れ」
「……うん」
俺が頷くと相手の手が伸びてきてくしゃりと頭を撫でていった。
「まぁあんま無理すんなよ」
じゃあおやすみ~とリビングを出ていった背中を見送って、俺も寝ないとなぁとソファから立ち上がる。あぁその前にシャワー浴びないと……。
疲弊しきった体を引きずるように浴室に向かいシャワーを浴びて、自室のベッドに倒れ込む。
後、1日。それでやっと連勤記録も終了のはずだ。ってかお盆つっても平日なんだよ。平日は仕事だよ、クソが。
悪態つきながら目を閉じる。明日1日を乗り切る体力を回復すべく、俺はそのまま眠りに落ちた。
翌日、やっぱり終電で帰ってきた俺が、あいつから休みのプランを色々聞いてるうちに眠りに落ちて夕方に目を覚まし、盛大に機嫌を損ねたあいつと大喧嘩するのはまた別の話。
フラフラになりながら帰宅して、リビングのソファに倒れ込んだ。連日の酷暑を営業で1日歩き回った体はくたくたで汗もすごい。シャワーでも浴びてスッキリしてきたいが、起き上がる気力がわかない。
「……明日も仕事とか絶望しかねぇな……」
「社畜極まってんなぁ」
世間は盆休みで連休だったぞと呆れ気味な声が上から降ってくる。独り言への返答に視線を上げれば苦笑しながら見下ろす和装の男。夏はこれが一番涼しいからと着流しを一枚さらりと羽織っている。在宅ワークでフリーのwebデザイナーをしているこの男は毎日が休みの様にゆるゆると過ごしていて、絶賛連勤記録更新中、今日で18連勤になる俺としてはそろそろ殺意を覚える勢いだ。まぁ俺が知らないだけで納期前はこいつもそれなりに修羅場っているらしいが……。
「……うるせぇよ。こちとらカレンダー通りなんだよ」
ジロリと睨みあげながら文句を言えば、知ってっか?と小馬鹿にした口調で返される。
「カレンダーの赤文字って休みなんだぜ」
カレンダー通りで18連勤はねぇわ。
「……喧嘩売ってんのか?」
だったら買うぞ。こっちだって好きで連勤しているわけじゃない。無能な奴らが多すぎて終わんねぇんだよ!ってか終電とはいえ泊まり込むことなく毎日帰って来れてんだからまだマシじゃね?
「……いや、マシじゃねぇし。毎日終電なあたりでやべぇし」
呆れ口調でため息をこぼされた。
「ってかなに?売ったら買ってくれんの?喧嘩」
「……買わねぇ」
そんな気力はない。
「なんだよ張り合いねぇな」
「あぁっ!?」
思わず眉間に皺が寄る。さっきからなんなんだよ、おまえ。
「カレンダーも読めねぇくらいの低能はさっさと休めっ!」
「ぶっ!」
突然顔にクッションが投げつけられた。至近距離でもろにくらったそれはふかふかの塊と言えど結構痛い。
「てめぇ!何しやがる!?」
クッションを手にガバッとソファから起き上がる。ギロっと睨めば伸びてきた腕に胸倉を掴まれた。
「うっせぇな!いつまでも働いてないでたまには構えっつてんだよ!」
額が付きそうな距離。自分で言っておいて恥ずかしかったのか触れあいそうな近さにある顔はうっすら朱に染まっている。
……あぁ……つまり、これは……。
「おまえ、寂しかったのか?」
「なっ!?そんなわけないだろ!」
掴まれていた胸倉が外されて、真っ赤になって離れた相手は顔を3時の方に向けていて。耳まで真っ赤にしているのが見てとれる。
なんだよそれ、可愛いかよ。不覚にもきゅんとしたぞ今。どことは言わんが……。
「あ、あのさ」
「……なんだよ」
「明日、仕事行ったら土日は休みだから……」
だから、その……なんだ……。
「……一緒にゆっくりできる?」
「……する」
控えめな相手の問いに頷く。
「じゃあ明日1日適当に頑張れ」
「……うん」
俺が頷くと相手の手が伸びてきてくしゃりと頭を撫でていった。
「まぁあんま無理すんなよ」
じゃあおやすみ~とリビングを出ていった背中を見送って、俺も寝ないとなぁとソファから立ち上がる。あぁその前にシャワー浴びないと……。
疲弊しきった体を引きずるように浴室に向かいシャワーを浴びて、自室のベッドに倒れ込む。
後、1日。それでやっと連勤記録も終了のはずだ。ってかお盆つっても平日なんだよ。平日は仕事だよ、クソが。
悪態つきながら目を閉じる。明日1日を乗り切る体力を回復すべく、俺はそのまま眠りに落ちた。
翌日、やっぱり終電で帰ってきた俺が、あいつから休みのプランを色々聞いてるうちに眠りに落ちて夕方に目を覚まし、盛大に機嫌を損ねたあいつと大喧嘩するのはまた別の話。
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