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第7章:僕達は制服を脱ぎ捨てた
#48:返事
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そして、三人は夜の砂浜を一緒に歩いた。優は楽しそうに貝殻を拾ってみたり、波打ち際で押し寄せる波と追いかけっこしたりしていた。楓雅と春人はそんな優の姿を見て、とても幸せな気持ちになった。先へ先へ行く優に春人が呼び止める。
「あんまり一人で先に行くな。危ないだろ」
「大丈夫! 気を付けてるから!」
無邪気に走り回る優の姿に春人は呆れていた。仕方なく捕まえようと走り出そうとした時、楓雅が春人を呼び止め、耳打ちをした。
「このタイミングで言わないと、本当に逃げられますよ」
「いや、分かってるけど……。タイミングが分かんねぇよ」
「ねぇ! 二人で何話してるの! 内緒話禁止!」
優は楓雅と春人がコソコソと話しているのが気になり、頬を膨らましながら、二人の元へ駆け寄った。軽く体当たりするように優は二人に突っ込んでいった。しかし、無言のまま立ち尽くしている二人に首を傾げた。
「急に黙っちゃって。もしかして、僕に話せない話?」
優が二人の顔を見上げるも、いつものように笑ってくれず、真剣な表情だった。優はいけない事をしたのかと思い、ふざけるのを止めた。何度目かのさざ波の音で春人は深呼吸をし、優をまっすぐ見つめた。
「優。……そろそろ告白の返事、くれないか?」
「えっ……、えっと……。それは……」
「まだ迷ってるんですか?」
優は俯き、黙ったままだった。春人は我慢の限界で優の肩を強く掴み、怒鳴り散らした。
「お前、いい加減にしろよ! こっちはもう限界なんだよ! お前も男だったら、分かんだろ! 好きな奴とずっと一緒にいたら――」
「まぁまぁ、小向井君。そんな怒らないであげて下さい」
「――分かんないよ! 分かんない! 分かんない!」
優は声を荒げて、春人の手を強く払いのけた。そして、今すぐにでも泣きそうな顔をして、二人を見た。
「だって、二人とも好きなんだもん! 大好きな二人から告白された人の気持ち、考えた事ある? 考えても考えても答えが出なくてさ、いっそ嫌われた方が気持ち的に楽かなって思ったけど、それは違う気がして。……春人も好きだし、楓雅君も好きだし。好きで、好きで……、もうよく分かんない!」
優は今まで秘めていた感情を爆発させるように、二人に思いをぶつけた。そして、二人を力が入っていない拳でポカポカと殴り、膝から崩れ落ちて、大粒の涙を流した。二人はその場にしゃがみ、優の頭を優しく撫でようとした。しかし、手を払いのけられ、撫でさせてくれなかった。
「怒鳴って悪かったって。だから、泣くなよ」
「嫌だ! 嫌だ! 嫌だ! 触らないで!」
「朝比奈、機嫌を直して下さい」
「楓雅君も嫌い! 二人とも嫌い! そうやって、また僕で遊ぶんでしょ!」
優は聞く耳を持たず、二人を睨んだ。二人は顔を見合わせ、溜め息をついた。そして、二人は立ち上がると、優の腕を無理矢理掴み、引っ張ろうとした。しかし、優も必死に抵抗し、なかなか思うようにいかなかった。春人は引っ張るのを諦め、仕方なく優をお姫様抱っこして、コテージへ連れて帰ろうとした。
「いやだ! おろして!」
「いだだだだっ! 顔殴んなし!」
「朝比奈、もう認めたらいいんじゃないんですか?」
「だって! どっちかなんて選べないもん!」
春人と楓雅はなんとか優をコテージに連れて帰ると、そのまま寝室へ行った。そして、春人は優をベッドの上に放り投げた。
「いだっ! なんで放り投げるんだよ! ……って、なんで二人とも脱いでんの?」
二人は優の話を聞かず、無言で上着を床へ脱ぎ捨て、上半身を露わにした。優は逃げようとしたが、二人が自分を挟むようにし、逃がしてくれなかった。
「もう待てないんだよ。俺達の愛、お前にやるから、お前の全部をくれ」
「そうですよ。朝比奈、僕達の愛を受け入れて下さい。もう諦めて下さい」
「待って……。冗談だよね? まだ心の準備が……んんっ!」
優はいつもとなんとなく違う二人に少しドキッとした。二人は優の耳元で甘い囁くと、優の頬に軽く何度もキスをした。
「あんまり一人で先に行くな。危ないだろ」
「大丈夫! 気を付けてるから!」
無邪気に走り回る優の姿に春人は呆れていた。仕方なく捕まえようと走り出そうとした時、楓雅が春人を呼び止め、耳打ちをした。
「このタイミングで言わないと、本当に逃げられますよ」
「いや、分かってるけど……。タイミングが分かんねぇよ」
「ねぇ! 二人で何話してるの! 内緒話禁止!」
優は楓雅と春人がコソコソと話しているのが気になり、頬を膨らましながら、二人の元へ駆け寄った。軽く体当たりするように優は二人に突っ込んでいった。しかし、無言のまま立ち尽くしている二人に首を傾げた。
「急に黙っちゃって。もしかして、僕に話せない話?」
優が二人の顔を見上げるも、いつものように笑ってくれず、真剣な表情だった。優はいけない事をしたのかと思い、ふざけるのを止めた。何度目かのさざ波の音で春人は深呼吸をし、優をまっすぐ見つめた。
「優。……そろそろ告白の返事、くれないか?」
「えっ……、えっと……。それは……」
「まだ迷ってるんですか?」
優は俯き、黙ったままだった。春人は我慢の限界で優の肩を強く掴み、怒鳴り散らした。
「お前、いい加減にしろよ! こっちはもう限界なんだよ! お前も男だったら、分かんだろ! 好きな奴とずっと一緒にいたら――」
「まぁまぁ、小向井君。そんな怒らないであげて下さい」
「――分かんないよ! 分かんない! 分かんない!」
優は声を荒げて、春人の手を強く払いのけた。そして、今すぐにでも泣きそうな顔をして、二人を見た。
「だって、二人とも好きなんだもん! 大好きな二人から告白された人の気持ち、考えた事ある? 考えても考えても答えが出なくてさ、いっそ嫌われた方が気持ち的に楽かなって思ったけど、それは違う気がして。……春人も好きだし、楓雅君も好きだし。好きで、好きで……、もうよく分かんない!」
優は今まで秘めていた感情を爆発させるように、二人に思いをぶつけた。そして、二人を力が入っていない拳でポカポカと殴り、膝から崩れ落ちて、大粒の涙を流した。二人はその場にしゃがみ、優の頭を優しく撫でようとした。しかし、手を払いのけられ、撫でさせてくれなかった。
「怒鳴って悪かったって。だから、泣くなよ」
「嫌だ! 嫌だ! 嫌だ! 触らないで!」
「朝比奈、機嫌を直して下さい」
「楓雅君も嫌い! 二人とも嫌い! そうやって、また僕で遊ぶんでしょ!」
優は聞く耳を持たず、二人を睨んだ。二人は顔を見合わせ、溜め息をついた。そして、二人は立ち上がると、優の腕を無理矢理掴み、引っ張ろうとした。しかし、優も必死に抵抗し、なかなか思うようにいかなかった。春人は引っ張るのを諦め、仕方なく優をお姫様抱っこして、コテージへ連れて帰ろうとした。
「いやだ! おろして!」
「いだだだだっ! 顔殴んなし!」
「朝比奈、もう認めたらいいんじゃないんですか?」
「だって! どっちかなんて選べないもん!」
春人と楓雅はなんとか優をコテージに連れて帰ると、そのまま寝室へ行った。そして、春人は優をベッドの上に放り投げた。
「いだっ! なんで放り投げるんだよ! ……って、なんで二人とも脱いでんの?」
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「待って……。冗談だよね? まだ心の準備が……んんっ!」
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