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第5章:僕らは今、暗闇の中で歌い始める
#35:終幕
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「私は二人が大好き。私の事を気持ち悪いと言わず、手を取ってくれた。笑ってくれた。……そんな日々がずっとずっと続けば良いって思ってた。でも、今は終焉流星で世界中の人々が苦しんでいる。私の望む世界じゃない……。だから、私は私なりのやり方で、この世界を再び美しいものにしたい!」
シグニスが手を広げると、宙に鍵盤が現れた。そして、泣き笑いをし、演奏を始めた。綺麗な音色とシグニスの歌声が城内に響き渡る。そして、淡い水色に光る粒子が蛍のように宙を舞い、どんどん空高く飛んでいく。その光景に二人は胸を熱くし、自然と涙が流れていった。空は段々と晴れていき、城内に光が差し込んできた。
今まで寒々しい城内が温かく感じた。しかし、シグニスは歌い終わると、力が抜けたようにその場に倒れた。二人は驚き、シグニスの元へ駆け寄った。
「「シグニス様!」」
「あはは……、ごめんなさい。ちょっと力が入らなかっただけだから。……あれ? なんだか力が入らないわ」
シグニスは手を突いて、起き上がろうとしたが、思うように力が入らず、倒れそうになった。すかさず、チェスターがシグニスを受け止めると、異常な冷たさを感じ、強く動揺した。
「……つ、冷たい。これは……、もしかして、魔力限界放出……じゃないか? 何故! シグニス様、何故そのような事をするのですか! 死んでしまいますよ!」
「嘘だろ! シグニス様!」
「……ルイ、チェスター様。私、ちょっと眠くなってきたわ。二人とも……だい、す……き……よ……」
シグニスは自分が持っている全魔力を使い、その魔力を歌に乗せて、混沌とした世界を平和へと導きました。しかし、魔力を一気に放出した代償として、シグニスは二人に微笑みかけると、ゆっくりと目を閉じ、深い深い眠りにつきました。二人は涙を堪え、シグニスを部屋へ連れて行くと、お互いの魔力を組み合わせ、シグニスに結界を張り、永久保存する事にしました。
「完全に彼女が死んだ訳じゃない。結界である程度は大丈夫だが、時間はそんなに無い」
「では、どうするのですか?」
「僕は彼女の為に、魔王城の奥底にあると言われている魔力大結晶と復活に使う法具を探す旅に出る。このまま国へ帰っても、反逆者扱いだろうから」
「俺も旅に同行させてください! チェスター様」
「チェスターで構わない。よろしくな、ルイ」
「はい、チェスター!」
「「我ら、シグニス様の為に!」」
こうして、二人はシグニスを復活させるために必要な道具を探す旅に出ました。この先、どんな困難が待ち受けようとも、二人の志は強くありました。……そう、『我ら、シグニス様の為に』
シグニスが手を広げると、宙に鍵盤が現れた。そして、泣き笑いをし、演奏を始めた。綺麗な音色とシグニスの歌声が城内に響き渡る。そして、淡い水色に光る粒子が蛍のように宙を舞い、どんどん空高く飛んでいく。その光景に二人は胸を熱くし、自然と涙が流れていった。空は段々と晴れていき、城内に光が差し込んできた。
今まで寒々しい城内が温かく感じた。しかし、シグニスは歌い終わると、力が抜けたようにその場に倒れた。二人は驚き、シグニスの元へ駆け寄った。
「「シグニス様!」」
「あはは……、ごめんなさい。ちょっと力が入らなかっただけだから。……あれ? なんだか力が入らないわ」
シグニスは手を突いて、起き上がろうとしたが、思うように力が入らず、倒れそうになった。すかさず、チェスターがシグニスを受け止めると、異常な冷たさを感じ、強く動揺した。
「……つ、冷たい。これは……、もしかして、魔力限界放出……じゃないか? 何故! シグニス様、何故そのような事をするのですか! 死んでしまいますよ!」
「嘘だろ! シグニス様!」
「……ルイ、チェスター様。私、ちょっと眠くなってきたわ。二人とも……だい、す……き……よ……」
シグニスは自分が持っている全魔力を使い、その魔力を歌に乗せて、混沌とした世界を平和へと導きました。しかし、魔力を一気に放出した代償として、シグニスは二人に微笑みかけると、ゆっくりと目を閉じ、深い深い眠りにつきました。二人は涙を堪え、シグニスを部屋へ連れて行くと、お互いの魔力を組み合わせ、シグニスに結界を張り、永久保存する事にしました。
「完全に彼女が死んだ訳じゃない。結界である程度は大丈夫だが、時間はそんなに無い」
「では、どうするのですか?」
「僕は彼女の為に、魔王城の奥底にあると言われている魔力大結晶と復活に使う法具を探す旅に出る。このまま国へ帰っても、反逆者扱いだろうから」
「俺も旅に同行させてください! チェスター様」
「チェスターで構わない。よろしくな、ルイ」
「はい、チェスター!」
「「我ら、シグニス様の為に!」」
こうして、二人はシグニスを復活させるために必要な道具を探す旅に出ました。この先、どんな困難が待ち受けようとも、二人の志は強くありました。……そう、『我ら、シグニス様の為に』
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