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 村を視察している最中、アレクサンドルの周りには子供たちが集まり、笑顔で語り合っていた。他の住民もアレクサンドルを慕っているのか、食べ物を手渡したり、近況を報告したりしていた。


「とても素敵な村ですね。住人の方も優しそうで笑顔に満ちてて……。アレクサンドル様が慕われているのをすごく感じます」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。ありがとう」


 村の視察を終え、誠はアレクサンドルに買いたいものを伝えた。アレクサンドルがハーブポーションの代わりに品を準備してくれると言ってくれたからだ。しかし、伝えた量が少なかったのか、アレクサンドルは誠に何度も聞き直してくる。


「本当にそれだけで十分なのか?」
「はい、十分です。むしろ交換してくださるだけでも十分ありがたいことですから」
「そうか。また何か欲しいものがあれば、言ってくれ」


 誠たちがそう話しつつ、二階の客室に行くために階段を上がっていく。村の案内の時にアレクサンドルの足取りのぎこちなさが気になっていた。誠は、階段を上がっていくアレクサンドルの足取りに違和感を抱く。誠は客室に着くと、アレクサンドルに尋ねた。


「アレクサンドル様は足が悪いんですか?」
「え? あはは、やはり隠し切れないか。気づく者はあまりいないのだが、誠にはあっさり見破られたか」
「良かったら、足を見せていただけますか? 何かお役に立てるかもしれないので」
「あぁ、分かった。今は汗をかいてしまっているからな。では、寝る前にでも見てもらおうか」
「分かりました。頃合いを見て、お部屋にお伺いします」


 誠はアレクサンドルと約束を取り付け、客室で少しだけ休むことにした。その後は豪華な食事を楽しみ、大きな風呂で伸び伸びと寛ぎ、クローゼットに掛けてあった寝間着に着替え、アレクサンドルの部屋へ向かった。


「アレクサンドル様、入ってもよろしいでしょうか?」
「あぁ、入ってくれ」


 部屋に入ると、白のシルク生地の寝間着を着たアレクサンドルが窓辺で読書をしていた。誠はアレクサンドルからソファへ座るように促され、座った。そして、持ってきた革製のトランクを机の上に置いた。


「それはなんだい?」
「これはハーブの蒸留をした時に抽出されるエッセンシャルオイルと、マッサージに使う植物油が入っています」
「なんだが難しそうだな」


 誠はトランクを開け、ガラス瓶などを取り出し、最後に紙とペンを机の上に並べた。アレクサンドルは不思議そうにその様子を見て、向かいのソファに座る。


「今からいくつか質問したり、体を直接触ったりしてもよろしいですか?」
「あぁ、構わない」
「まずは、歩きにくさの原因はなんですか?」
「そうだな。だいぶ昔にポイズンウルフと戦った時に、回避しきれずに太ももを引っ掻かれてしまって。毒消し草で治ったんだが、時々痛むというか、引き攣る感じがあるんだ」
「なるほど。それで歩き方がおかしかったんですね。あとは、今、身体面や精神面で困ってることはありますか?」
「身体はそうだなぁ、もうだいぶ年を取ったから、疲れがなかなか取れなくなったな。精神面は……特に思い当たることはない」
「分かりました。あの、今から体を触るんですが、体が覆える位の布は何枚かありますか?」
「布? あぁ、布ならあるが……」
「無礼を承知ですが、下着以外の服を脱いで頂いて、ベッドに横になって頂いてもよろしいですか?」
「あぁ、たやすいことだ」
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