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しおりを挟む動物病院。
受付は終わってしまっていたけど、必死の形相と昔、院内でバイトをしていた縁で、外で出くわした、獣医師の由紀先生が診察してくれた。バイトといっても医療器具を洗ったりとかお手伝いみたいな感じだったから、ワンニャンちゃんの飼い主さんと気持ちや知識面は変わりない。
「 頑張ったね。良かった 」
くったりしていて、血が出ていたから焦ったけど。そこまで重傷じゃなかったみたいで安心した。
「 うさぎもそうだけど。叶多ちゃんも怪我してるからね。何で、靴脱いで走るかな 」
「 タクシーが捕まりそうもなくて、走っただけですよ。ヒールで転んで、うさぎの怪我が酷くなるのも嫌だったんで 」
相変わらず頑張っちゃう性格してるのね。
駄目だよ。って・・・何で叱られてるんだろう。大丈夫です!靴は、カバンに突っ込んでありますから。って笑ったら、盛大な溜息をつかれた。
「 叶多ちゃんに、助けてもらってよかったね。感謝するんだよ 」
由紀先生が消毒と絆創膏を持って来てくれたから、私の手当てが終わるまで、うさぎは動物用のICUで点滴を受けてる。心配なら、このまま入院させてもいいって由紀先生が言ってたけど、うさぎが嫌がった。入院って、言葉分かるのかな?さっきも先生が話しかけてたら、弱々しく「 キュッ 」って返事をするみたいに鳴いてたし。
不思議だ。病院で働く人達はみんな天使か神様だ。話し方も穏やかで優しい。
「 先生!!し、染みる!いーだぁァぃー 」
「 はい。いい子!いい子!ワザと痛くしてる。我慢して 」
椅子を手でバシバシ叩きながら、痛みを耐えてるんだけど。ワザと!?
神様撤回!!
優しげな女性獣医師先生なのに。くぅっ、言葉棒読みだし。消毒って浅い擦り傷のが絶対染みると思う。
「 それにしても、珍しいうさぎだね。黒に近い緑の目ならいるんだけどね 」
「 そうですかね? 」
うさぎの人気が高い種類と色だと思う。
薄茶色で、耳が長くてモフッとしてる。
うさぎも、個体によって目の色は違う。
赤い目のうさぎは、アルビノのとゆうもので、透明な瞳に血液が透けて見えるから赤く見えるだけらしい。
でも、この子の目は黄緑に近い。
カラコンしてんのか?って思うくらい
新緑のような綺麗な緑色をしてる。
緑色の目の子が、いないわけじゃないから少ないんだろうなぁ。たぶん。
「 よし!うさぎも、叶多ちゃんも治療終了!!送って行くから帰る準備してね 」
「 え、?いや、時間外で見て頂けただけでも充分だし・・・ 」
遠慮しなくていいから。通り道だったよね?って気さくに笑い掛けてくれる。
♢
こんなもんでいいかな?
うさが、ゆっくり休めるよう簡易的だけど寝床を作った。
気に入ってくれたのか、埋もれるように寝てる、そっと耳を撫でると、ツルツルスベスベしてて、触りごごちが気持ちいい。
「 怪我、早く良くなるといいね 」
返事がないのは分かってるけど、つい話しかけてしまう。
由紀先生は、ほっといても大丈夫。って言ってた・・・。
「 困った事があったら、いつでもおいで。もう時期、月が昇り切るだろうから直ぐに良くなると思うよ 」
由紀先生も、そんなファンシーな冗談言うだな。あー。でも、色々疲れた。お風呂に浸かりたいけど、うさも心配だし。
呼びやすいように「 うさ 」にしたけど。飼い主さんも探してあげたい。さすがに、河原っていっても野生じゃないだろ。あそこで、野うさぎなんて見た事ないし近くに山もない。
とりあえず・・・うさの飲み水を用意してシャワーだけ浴びてこよう。
疲れてたのもあるんだろうけど、シャワーを浴びた後、モッフモフのうさを撫でながらいつの間にか、そのまま寝てしまっていた。赤ちゃんとか動物の寝顔って、ものすごく眠気を誘う。
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