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「 朝比奈さん、これどうしたら良いですか? 」
向かいのデスクから、声を掛けられて顔を上げると申し訳ないって顔をした、男の子がこっちを見ている。
綺麗な栗色の髪、それよりも濃い茶色の瞳。綺麗な色だねって褒めたら、地毛なのに学生の時はしょっちゅう、生徒指導されて大変だったと言っていた事がある。
「 さっきも説明したよ?こんなの余裕っすよ。って言いそうなのにね 」
ディスられた!って、人聞きの悪い言い方をしながら、丸いアーモンドアイをパチクリさせてる。甘えたって駄目だからね!って返したら、ふて腐れたように目を逸らさる。
「 苦手なんですよね。こう、狭いテリトリーで画面と向き合うってゆうのが 、閉じ込められてる感っていうか 」
それって、社会人向いてないです。って言ってるようなもんだと思うんだけど。
誰だって、仕事のコツとゆうか要領を覚えるまでは大変だと思う。とにかく、叱らずに何度でも解るまで、聞いてもらうしか出来ない。
「 朝比奈ちゃん、この資料どこだっけ? 」
手が空いてる訳でも無いのに次から次へと。面倒くさいなって思ってる。
「 資料室で見たような気がします。伊坂君、資料探し得意なんで貸し出します 」
「 資料探して来てもらっていい?探し物得意でしょ?これはやっとくから 」
嫌です!朝比奈さんと仕事します!ってデスクに伏せられて呆れた溜息が出た。さっきまで言ってた事と完全に矛盾してる。周りから笑う声が聞こえるけど、皆んな甘やかし過ぎなんだよ!
私だって嫌だよ。自分の仕事だってあるんだから。
「 気分転換にいってらっしゃい 」
嫌そうに眉を寄せて、席を立った伊坂君を目で追う。資料探しと他の用事も追加されてる。すっごくダルそうに出て行ったけど。教育の仕方が甘かっただろうか?心配になる。
まぁ、悪い子じゃないし皆んな可愛がってくれてるから大丈夫かな。
それなりに忙しく働いてる。
自分のデスクワークを片付けながら、頼まれる仕事や雑務も、そつなくこなす為の努力をしてきた。
若い時は、やり甲斐とか覚えられる事は何でも自分で出来るように。って思っていたけど毎日、これを繰り返しているとさすがに歳を重ねてしんどいなぁって感じる事が多くなってきた。
♢
「 叶多!!今日、ご飯食べ行こうよ 」
「 え?あー。衣奈ちゃん、おつかれさん。いいよ。残業無いように頑張る。そっちは、定時で行けそうな? 」
「 もっちろん!!ねぇ、何食べる? 」
声を掛けてきたのは、先輩の衣奈ちゃん。
小柄で、もう自まつ毛なのに、マッチ棒のりますよね?ってぱっちり二重。しっかりしてて仕事もテキパキ出来るから、人望も厚い。「 なんで?仲いいんだ? 」って七不思議みたいな扱いをされるけど。なんで仲良くなったのかなんて覚えてない。
「 えー。ズルい!!俺も朝比奈さんとご飯食べに行きます! 」
あっ、戻ってきた。少しの間の羽伸ばしタイムも終了してしまった。
手こずったのか思ったよりも時間かかってるし。
「 おかえり。休憩取ったら直ぐ作業開始ね 」
「 スルーされた!疲れました!褒めて下さい 」
グイグイと隣を陣取ろうとしてる。
この子距離近いんだよね。今時の子って皆んなそうなのかな?
嫌そうにしてみたけど効果は無い。
「 朝比奈さんはツンデレですからね。俺と一緒がいいって思ってくれてます。俺、朝比奈さんの事大好きですから 」
「 えー。私の方が、叶多のこと好きだよ 」
「 うん。私も衣奈の事、信頼してるよ 」
なんで!?俺には言ってくれないのって、騒いでるけど、どうでも良い。懐かれる意味が分からない。指導係してますけど。
衣奈との七不思議的扱いも、そんな指導の賜物から生まれてるんだと思う。
初対面の人には、殆ど怖がられる。性格キツそうとか、近寄るなオーラが半端なく出てるとか。
人見知りするから、多少仕方無いと思って欲しいけど。
何を話したら相手が喜んでくれるのか考えてモジモジしてるだけなんだけど。
見た目で損してるとも、よく言われる。
「 おーぃ。3人。休憩終わるぞ。仕事しろ、朝比奈と伊坂はイチャイチャしない!! 」
どこを見たらイチャイチャしてる風に見えるの!?「 イチャイチャなんてしてません!!」って返したら、部署内から苦笑いが。なんなの一体。
衣奈も、クスクス笑ってるから恥ずかしくなってくる。
「 じゃあ、また後でね 」
「 うん 」
元気に手を振って去っていく衣奈を横目に、帰りの予定も決まった事だし午後も頑張る。俺も行きますからね。って声にちゃんと、仕事したらいいよ。ってだけ返した。
向かいのデスクから、声を掛けられて顔を上げると申し訳ないって顔をした、男の子がこっちを見ている。
綺麗な栗色の髪、それよりも濃い茶色の瞳。綺麗な色だねって褒めたら、地毛なのに学生の時はしょっちゅう、生徒指導されて大変だったと言っていた事がある。
「 さっきも説明したよ?こんなの余裕っすよ。って言いそうなのにね 」
ディスられた!って、人聞きの悪い言い方をしながら、丸いアーモンドアイをパチクリさせてる。甘えたって駄目だからね!って返したら、ふて腐れたように目を逸らさる。
「 苦手なんですよね。こう、狭いテリトリーで画面と向き合うってゆうのが 、閉じ込められてる感っていうか 」
それって、社会人向いてないです。って言ってるようなもんだと思うんだけど。
誰だって、仕事のコツとゆうか要領を覚えるまでは大変だと思う。とにかく、叱らずに何度でも解るまで、聞いてもらうしか出来ない。
「 朝比奈ちゃん、この資料どこだっけ? 」
手が空いてる訳でも無いのに次から次へと。面倒くさいなって思ってる。
「 資料室で見たような気がします。伊坂君、資料探し得意なんで貸し出します 」
「 資料探して来てもらっていい?探し物得意でしょ?これはやっとくから 」
嫌です!朝比奈さんと仕事します!ってデスクに伏せられて呆れた溜息が出た。さっきまで言ってた事と完全に矛盾してる。周りから笑う声が聞こえるけど、皆んな甘やかし過ぎなんだよ!
私だって嫌だよ。自分の仕事だってあるんだから。
「 気分転換にいってらっしゃい 」
嫌そうに眉を寄せて、席を立った伊坂君を目で追う。資料探しと他の用事も追加されてる。すっごくダルそうに出て行ったけど。教育の仕方が甘かっただろうか?心配になる。
まぁ、悪い子じゃないし皆んな可愛がってくれてるから大丈夫かな。
それなりに忙しく働いてる。
自分のデスクワークを片付けながら、頼まれる仕事や雑務も、そつなくこなす為の努力をしてきた。
若い時は、やり甲斐とか覚えられる事は何でも自分で出来るように。って思っていたけど毎日、これを繰り返しているとさすがに歳を重ねてしんどいなぁって感じる事が多くなってきた。
♢
「 叶多!!今日、ご飯食べ行こうよ 」
「 え?あー。衣奈ちゃん、おつかれさん。いいよ。残業無いように頑張る。そっちは、定時で行けそうな? 」
「 もっちろん!!ねぇ、何食べる? 」
声を掛けてきたのは、先輩の衣奈ちゃん。
小柄で、もう自まつ毛なのに、マッチ棒のりますよね?ってぱっちり二重。しっかりしてて仕事もテキパキ出来るから、人望も厚い。「 なんで?仲いいんだ? 」って七不思議みたいな扱いをされるけど。なんで仲良くなったのかなんて覚えてない。
「 えー。ズルい!!俺も朝比奈さんとご飯食べに行きます! 」
あっ、戻ってきた。少しの間の羽伸ばしタイムも終了してしまった。
手こずったのか思ったよりも時間かかってるし。
「 おかえり。休憩取ったら直ぐ作業開始ね 」
「 スルーされた!疲れました!褒めて下さい 」
グイグイと隣を陣取ろうとしてる。
この子距離近いんだよね。今時の子って皆んなそうなのかな?
嫌そうにしてみたけど効果は無い。
「 朝比奈さんはツンデレですからね。俺と一緒がいいって思ってくれてます。俺、朝比奈さんの事大好きですから 」
「 えー。私の方が、叶多のこと好きだよ 」
「 うん。私も衣奈の事、信頼してるよ 」
なんで!?俺には言ってくれないのって、騒いでるけど、どうでも良い。懐かれる意味が分からない。指導係してますけど。
衣奈との七不思議的扱いも、そんな指導の賜物から生まれてるんだと思う。
初対面の人には、殆ど怖がられる。性格キツそうとか、近寄るなオーラが半端なく出てるとか。
人見知りするから、多少仕方無いと思って欲しいけど。
何を話したら相手が喜んでくれるのか考えてモジモジしてるだけなんだけど。
見た目で損してるとも、よく言われる。
「 おーぃ。3人。休憩終わるぞ。仕事しろ、朝比奈と伊坂はイチャイチャしない!! 」
どこを見たらイチャイチャしてる風に見えるの!?「 イチャイチャなんてしてません!!」って返したら、部署内から苦笑いが。なんなの一体。
衣奈も、クスクス笑ってるから恥ずかしくなってくる。
「 じゃあ、また後でね 」
「 うん 」
元気に手を振って去っていく衣奈を横目に、帰りの予定も決まった事だし午後も頑張る。俺も行きますからね。って声にちゃんと、仕事したらいいよ。ってだけ返した。
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