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小魚、泳ぐ
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「お、おもっ」
「し、失礼なっ!? 翼が少し邪魔なだけでしょ!?」
海に潜ったのは良いものの、リズを引っ張って泳ぐとなるといつもの速度は出ない。
しかし、潜ってはじめて分かったが、リズの言った通り海中に城があるのが見えた。
城まではそれほど距離はないので、近辺を泳いでいるモンスターがやたら強くなければいけそうだ。
レベルも上がったおかげでなんとかリズ引っ張って泳ぐことは出来てるけど、やはりモンスターから逃げ切るのは難しい。
あまりばたついて泳ぐとリズを振り落としてしまうため、いつもより控えめに泳いでいると、早速モンスターに目をつけられた。
『シースネーク』Lv8
海蛇のようなモンスターで、サイズは1メートルほど。
それが3匹俺たちに向かってにょろにょろと向かってきた。
「リズ、行けるか?」
「もちろん。戦闘に集中出来るならここのやつらなんて簡単に倒せるんだから!」
水の中でも喋れるのか……。
かなり不思議だが、その方が楽なので気にしないでおく。
リズはシースネークに向けて、魔法を発動させる。
「この程度なら、一撃! 蒼炎-大蛇-」
突っ込んでくる蛇に向けてリズも大蛇を放った。
水の中でもあたりを照らす蒼炎は美しいが、水の中でも炎は衰えてる様子はない。
シースネーク3匹を丸呑みにし、一瞬で殺したのだ。
「すげぇ。というか、これなら一人でいけるんじゃないか?」
「私、全然泳げないの……。潜れなかった。あと、時間かかりすぎて酸欠ダメージ受ける」
なるほど。泳げないのなら行けないのも無理もない。
それに、やっぱり地上にいる種族だからダメージは受けるよな。
これは悠長にしてられない。竜宮城まで急がないと道中でリズが死んでしまう。
「最大何分持つんだ?」
「2分」
短けぇ!!
リアルとほぼ同じじゃないか。
ここまで泳ぐのと戦闘で20秒近く使ってしまった。
急がないといけない。
今までよりも気合を入れ、ヒレを振りまくる。
多少ばたつくことにはなるが、ゆっくり行っても竜宮城に時間までに間に合わなければ意味がない。
「飛ばすからしっかり掴まってろよぉぉぉぉ!!」
「わ、わかった!!近くにいるモンスターは全部処理するから任せて!」
さっきの2倍近くのスピードを出して深く潜る。
海に大量にいるモンスターは俺たちを仕留めようと襲いかかってくるが、全てリズが処理する。
襲いかかってきたモンスターは蒼炎の餌食になり、竜宮城までの道が開けた。
「今だ!!」
モンスターが1匹もいない道を突き進む。
覆いかぶさるようにモンスターが道を塞ぐが、道が閉ざされるギリギリのところですり抜ける。
-魚ロード突破。経験値2000獲得しました-
全てを潜り抜け、竜宮城の前にたどり着いたところで、ポップアップが表示された。
なんとか、なったか……。
「酸欠ダメージはどうなってる?」
「あれ、もうダメージ受けてないや」
魚ロードを潜り抜けたところでモンスターが追いかけて来なくなったと思ったが、どうやらすでにここは普通のバトルマップではないらしい。
俺たちが泳いでいるのは竜宮城のマップ内なんだろう。
ようやく安全地帯にこれたようで良かった。
「とりあえずこれたのは良かったけど、間近でみるととんでもなくでけぇな」
「ほんとにね……。普通に陸にある城より大きいんじゃない?」
竜宮城はでかいが、それに見た目も普通とは違う。
巨大なサンゴを組み合わせて作っているような、無骨だがおしゃれなデザインだ。
「竜宮城にいる人ってかなりいろんな種族がいるみたいね」
「ほんとにめちゃくちゃだな」
城の近くを泳いでいるものを見ると、人魚、魚、亀とありとあらゆる海中生物がそこにいるように思えた。
さて、ここからどうすれば良いのか分からん。
一応入り口らしきものはあるが、そこには魚人が槍を持って待機している。
初めてあった魚人に攻撃されただけに、進んで近づく気にはなれなかった。
これだけ多種族がいても何も動いてないわけだし、絶対に襲われることなんてないんだろうが、気が進まない。
「何ビビってるの? ただのNPCだよ」
「ビビビってないし」
「魚なのにチキンじゃん」
「違いますー。ビビってないです。ほら、行くぞ」
俺が躊躇してるのが分かったらしく、リズが煽ってきた。そのまま引っ込むのも嫌なので、ネガティブな感情を殺して門番に声をかけることにした。
竜宮城に侵入開始だ。
「し、失礼なっ!? 翼が少し邪魔なだけでしょ!?」
海に潜ったのは良いものの、リズを引っ張って泳ぐとなるといつもの速度は出ない。
しかし、潜ってはじめて分かったが、リズの言った通り海中に城があるのが見えた。
城まではそれほど距離はないので、近辺を泳いでいるモンスターがやたら強くなければいけそうだ。
レベルも上がったおかげでなんとかリズ引っ張って泳ぐことは出来てるけど、やはりモンスターから逃げ切るのは難しい。
あまりばたついて泳ぐとリズを振り落としてしまうため、いつもより控えめに泳いでいると、早速モンスターに目をつけられた。
『シースネーク』Lv8
海蛇のようなモンスターで、サイズは1メートルほど。
それが3匹俺たちに向かってにょろにょろと向かってきた。
「リズ、行けるか?」
「もちろん。戦闘に集中出来るならここのやつらなんて簡単に倒せるんだから!」
水の中でも喋れるのか……。
かなり不思議だが、その方が楽なので気にしないでおく。
リズはシースネークに向けて、魔法を発動させる。
「この程度なら、一撃! 蒼炎-大蛇-」
突っ込んでくる蛇に向けてリズも大蛇を放った。
水の中でもあたりを照らす蒼炎は美しいが、水の中でも炎は衰えてる様子はない。
シースネーク3匹を丸呑みにし、一瞬で殺したのだ。
「すげぇ。というか、これなら一人でいけるんじゃないか?」
「私、全然泳げないの……。潜れなかった。あと、時間かかりすぎて酸欠ダメージ受ける」
なるほど。泳げないのなら行けないのも無理もない。
それに、やっぱり地上にいる種族だからダメージは受けるよな。
これは悠長にしてられない。竜宮城まで急がないと道中でリズが死んでしまう。
「最大何分持つんだ?」
「2分」
短けぇ!!
リアルとほぼ同じじゃないか。
ここまで泳ぐのと戦闘で20秒近く使ってしまった。
急がないといけない。
今までよりも気合を入れ、ヒレを振りまくる。
多少ばたつくことにはなるが、ゆっくり行っても竜宮城に時間までに間に合わなければ意味がない。
「飛ばすからしっかり掴まってろよぉぉぉぉ!!」
「わ、わかった!!近くにいるモンスターは全部処理するから任せて!」
さっきの2倍近くのスピードを出して深く潜る。
海に大量にいるモンスターは俺たちを仕留めようと襲いかかってくるが、全てリズが処理する。
襲いかかってきたモンスターは蒼炎の餌食になり、竜宮城までの道が開けた。
「今だ!!」
モンスターが1匹もいない道を突き進む。
覆いかぶさるようにモンスターが道を塞ぐが、道が閉ざされるギリギリのところですり抜ける。
-魚ロード突破。経験値2000獲得しました-
全てを潜り抜け、竜宮城の前にたどり着いたところで、ポップアップが表示された。
なんとか、なったか……。
「酸欠ダメージはどうなってる?」
「あれ、もうダメージ受けてないや」
魚ロードを潜り抜けたところでモンスターが追いかけて来なくなったと思ったが、どうやらすでにここは普通のバトルマップではないらしい。
俺たちが泳いでいるのは竜宮城のマップ内なんだろう。
ようやく安全地帯にこれたようで良かった。
「とりあえずこれたのは良かったけど、間近でみるととんでもなくでけぇな」
「ほんとにね……。普通に陸にある城より大きいんじゃない?」
竜宮城はでかいが、それに見た目も普通とは違う。
巨大なサンゴを組み合わせて作っているような、無骨だがおしゃれなデザインだ。
「竜宮城にいる人ってかなりいろんな種族がいるみたいね」
「ほんとにめちゃくちゃだな」
城の近くを泳いでいるものを見ると、人魚、魚、亀とありとあらゆる海中生物がそこにいるように思えた。
さて、ここからどうすれば良いのか分からん。
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これだけ多種族がいても何も動いてないわけだし、絶対に襲われることなんてないんだろうが、気が進まない。
「何ビビってるの? ただのNPCだよ」
「ビビビってないし」
「魚なのにチキンじゃん」
「違いますー。ビビってないです。ほら、行くぞ」
俺が躊躇してるのが分かったらしく、リズが煽ってきた。そのまま引っ込むのも嫌なので、ネガティブな感情を殺して門番に声をかけることにした。
竜宮城に侵入開始だ。
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