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本編

Avenger

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 東京と埼玉の境目にあるとあるデカい洋館。

 遥か昔から存在していた東京ドーム1個分の敷地の洋館だが、人が住み始めたのは5年前だそう。

 住んでいるのは笑顔が爽やかな実業家を名乗る若い男性。昔から苦楽を共にしてきた仲間と共に暮らす為に大きな洋館を購入したのだという。

 最初は怪しい目で見ていた住民達だが、若い実業家の人柄もあって1か月後にはすぐに意気投合。広い洋館でお茶会やパーティーをする仲となった。

 そんな思い出がいっぱい詰まっているであろう洋館では現在進行形で血や内臓が飛び交う殺し合いが繰り広げられていた。

 お茶やパーティーを楽しんだ大広間や近所の子供達が良く遊んでいた庭は、地獄と化している。

 慈悲のかけらの無い戦いを繰り広げる中、1人の男が血走った目をぎょろつかせ、敵である警察官を斬り撃ち殴り殺しながら1人の男の名を叫びながら探していた。

「どこだぁぁぁぁ‼ストロング・ソルジャーぁぁぁぁぁぁぁ!!今すぐに出てこぉぉぉぉぉい!!
貴様はぁ!どれぐらい俺の人生を狂わせれば気が済むのだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

 憎悪のみで動き、敵を殺し続けているのは戦場である洋館の主、清水正武だった。

 彼は警官を殺しながら憎悪の対象であるストロング・ソルジャーを探していた。

 ヤツに全てを奪われた。中にはもう二度と戻らないものまで奪われた。だから今ある物、手に入れられる物で埋め合わせをした。不出来だけれども兄弟の契りを交わした者も出来た。後は父が求めていた裏社会の帝王の座だった。後一歩でと届く所まで来ていた。なのに・・・・なのに・・・・・!

「どうして俺から全てを奪うんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

「まずその前に自分が他人からどのくらい奪ったのか・・・考えてみな」

「・・・・・・・っ!?だ、誰だぁぁぁぁ!!」

 突然かけられた声。驚いて清水は後ろを振り向く。そこにいたのは───────────

貴様が探していた者だストロング・ソルジャーだ

 ゴツくて厳つい仮面。俊敏性と防御性を兼ね備えたプロテクター付きスーツ。氷のように冷たい口調。

 清水の頭の中で欠けていたピースが嵌められる。

「貴様が・・・ストロング・ソルジャー・・・だな・・・?」

「・・・・そうだ」

 宿敵を前にして清水のとった反応は怒でも泣でもなく、静だった。

 今までかけていた間に見つかったピースがピッタリと嵌って満足しているのだ。これでやっと無念が果たせると満足しているのだ。

「やっとだ・・・これでようやく復讐を果たせる・・・覚悟しろ!!ストロング・ソルジャーぁ!!」

「・・・覚悟する方はお前の方だ清水組組長清水正武。お前を豚箱にぶち込んでこの復讐に終止符を打つ」

だ!!覚えておけ!!」

 醜く穢れた復讐が今始まる。
 
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