上 下
168 / 184
最終章 勝利の為なら手段は選ばず

166話 ゾンビ天使

しおりを挟む
「なっ・・・!!僕の強化兵士が一瞬で!!」

「あれが、あんたのとっておき?随分と弱っちかったね。ミカエルは強かっし、ラファエルも強そうだけど、あんたは大した事は無さそうだね」

「お前ぇ・・・僕を本気で怒らせたな?」

「最初から本気でやらないあんたが悪いでしょ。僕を殺したいなら、最初から全力で来なよ」

「良いよっ!!見せてやるよ!僕の下界での本気を!!はぁぁぁ!!」

「どうした?次は何を操る?それとも、自分自らが戦う?」

「裏切り者の体になんて触れたくもないね!!代わりに、!」

 指を弾く乾いた音が草原に響く。すると、何という事だろうか。後ろで柱に縛られたまま、天使の盾に使い、死んだ天使達が立ち上がり、体を拘束する紐を引きちぎり、僕に向かって襲いかかってきた。

「人を操ったり強くしたりする能力以外にも持ってたの!?復活させることができるの!?」

「馬鹿か!失われた命は戻ってこない!そいつらの目を見ろ!虚ろじゃないか!!」

 まるで目に生気が感じられない。まさか、この天使達はガブリエルによって無理矢理動かされているのか?

「どうやら、理解したみたいだな!そいつらはいわゆるゾンビというやつだよ!既に終わった命!既に死んでいる者をお前はどう仕留める?」

 生きているならば、斬り殺せば動かなくなる。しかし、今僕の目の前にいるのは既に生命活動を終えた死体。どんなに切っても倒れることは無い。

 ここにきて、弱点が露天してしまった。殺したくても既に死んでる相手が僕の弱点だったなんて・・・。

 天使のゾンビ達は既に死んでいるため、痛覚はないため、斬っても進んでくる。僕はあっという間に拘束され、身動きを封じられてしまった。

「ん~無様だね~。ま、生命体として完全上位互換である天使に負けるのは当たり前か!アハハ!!」

 前からしがみついているゾンビ天使がクビに噛み付く。ついさっき死んだばかりだし、ガブリエルが操っているだけなので、バイ菌やウイルスは入らないだろうが、歯を食いしばっていなければ耐えられない鈍い痛みが走る。

「よぅし!トドメ!!」

ゾンビ天使の1体が僕から『デネブリス』を奪い、僕の胸目掛けて突き刺す。

 バール様が作ってくれた鉄並みの強度を誇る魔法の服が、貫通を防いでくれた。だが、何度も耐えてはくれなさそうだ。服が壊れる前にこの状況から抜け出さなくては・・・。

「アルゥゥゥゥゥゥゥ!!助けに来たヨォォォォォォォ!!」

 戦場に響く元気な声。聞き間違えるはずがない。

「ゴップ!?」

「『ファイアボルト』!!」

 ゴップの手の平から放たれた炎の矢が、ガブリエルに向かう。

「遅い!!」

 不意打ちながらも避けられてしまう。けど、そのおかげでゾンビ天使を操るガブリエルの手が緩み、僕は抜け出すことに成功した。

「本当に助かった・・・ありがとうゴップ!」

「気にしないでよ!友達じゃないか!」

 ああ、本当に最高の友人だよ、君は。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話

紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界―― 田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。 暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。 仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン> 「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。 最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。 しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。 ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと―― ――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。 しかもその姿は、 血まみれ。 右手には討伐したモンスターの首。 左手にはモンスターのドロップアイテム。 そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。 「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」 ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。 タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。 ――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――

『Nightm@re』という異世界に召喚された学生達が学校間大戦とLevel上げで学校を発展させていく冒険譚。

なすか地上絵
ファンタジー
■概要 突然、『Nightm@re』という地球にそっくりな異世界に連れてこられた高校生たち。自分達の学校を自由に創り変えながら、生き残りをかけて戦う『学校間大戦』。友情あり恋愛ありのちょっぴり切ないダークファンタジー小説。※物語三章から一気にファンタジー要素が増えます。 *過去にエブリスタで書いた物語です。 *カテゴリーランキング最高3位 *HOT男性向け最高26位

チート能力を持った高校生の生き残りをかけた長く短い七日間

北きつね
ファンタジー
 バスの事故で異世界に転生する事になってしまった高校生21名。  神を名乗る者から告げられたのは「異世界で一番有名になった人が死ぬ人を決めていいよ」と・・・・。  徐々に明らかになっていく神々の思惑、そして明かされる悲しい現実。  それらに巻き込まれながら、必死(??)に贖い、仲間たちと手を取り合って、勇敢(??)に立ち向かっていく物語だったはず。  転生先でチート能力を授かった高校生達が地球時間7日間を過ごす。  異世界バトルロイヤル。のはずが、チート能力を武器に、好き放題やり始める。  全部は、安心して過ごせる場所を作る。もう何も奪われない。殺させはしない。  日本で紡がれた因果の終着点は、復讐なのかそれとも・・・  異世界で過ごす(地球時間)7日間。生き残るのは誰なのか? 注)作者が楽しむ為に書いています。   誤字脱字が多いです。誤字脱字は、見つけ次第直していきますが、更新はまとめてになります。

ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ

高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。 タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。 ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。 本編完結済み。 外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります

京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。 なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。 今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。 しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。 今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。 とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

究極妹属性のぼっち少女が神さまから授かった胸キュンアニマルズが最強だった

盛平
ファンタジー
 パティは教会に捨てられた少女。パティは村では珍しい黒い髪と黒い瞳だったため、村人からは忌子といわれ、孤独な生活をおくっていた。この世界では十歳になると、神さまから一つだけ魔法を授かる事ができる。パティは神さまに願った。ずっと側にいてくれる友達をくださいと。  神さまが与えてくれた友達は、犬、猫、インコ、カメだった。友達は魔法でパティのお願いを何でも叶えてくれた。  パティは友達と一緒に冒険の旅に出た。パティの生活環境は激変した。パティは究極の妹属性だったのだ。冒険者協会の美人受付嬢と美女の女剣士が、どっちがパティの姉にふさわしいかケンカするし、永遠の美少女にも気に入られてしまう。  ぼっち少女の愛されまくりな旅が始まる。    

処理中です...