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最終章 勝利の為なら手段は選ばず
146話 闇の勇者
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会議が終わり、帰宅の準備を始める。
「アル~今日はここに泊まっていかないかい?今日は少し疲れたよ~」
「研究は良いんですか?」
「うん~やる気がなくなっちゃったよー」
「じゃあ、魔王様にお願いして泊まれるようにしますね。ちょっと待っててください」
しばらくは戦いはない。つまりは暇だ。このくらいのんびりしたって良いだろう。
帰りの準備を止め、部屋から出ると、扉の先には満面の笑みを浮かべるスネイクさんが立っていた。
「うぉう!?いるなら入ってきてくださいよ!スネイクさん!」
「いやぁ、今入ろうとしたんだ。悪気はある。ごめんよ」
あるんだ。
「何のようだい?スネイク・ウィーマン。君と話すと高確率でイラッとするからなるべく早くここから去ってほしいんだが」
「まあまあそう言わずに~。君の大事なアル君にプレゼントをしにやってきたんだから」
そういうスネイクさんの手の中には、一本の剣が握られている。鍔の装飾から察するに、魔族の剣だ。
僕が採掘した物は違い、新品で錆一つない実戦にも使える代物。スネイクさんは僕にそれを渡すと、鞘を抜き、構えるように促してきた。
刀身には、文字が刻まれており、力と魔力を込めると、オレンジ色に淡く光り始めた。
「刻まれた文字は『デネブリス』。かつて、混沌としていた魔族社会を統一した魔族の名前さ」
「そんな良い名前が刻まれた武器を僕がとっても大丈夫なんですかね?」
「問題ない。君、今魔族の間でなんて呼ばれているか知っているかい?」
「・・・知っていますが、自分から言うのは少し恥ずかしいですね・・・あの名前を・・・」
最近、魔王軍に従事している人達から、ちょっと大それた二つ名をもらってしまった。とても恥ずかしい二つ名。僕には勿体無い二つ名だ。
「『闇の勇者』がそんなに気に入らないかい?ヒュームの身でありながら、闇の魔法属性をその身に宿し、魔族に味方し、男神ニグンが用意した勇者まで手中に収めた。君は魔王軍の勇者と言われてもおかしくない実績の持ち主だと思うけどね」
「・・・そう呼ばれても恥ずかしくないように、これからも頑張りますっ!!」
二つ名は置いといて魔族の剣をもらえた事は嬉しい。100年前の魔族が使用していた強力な武器。早く試してみたい。
カルー将軍の剣もまだまだ使えるけれども、折りたくはない。この剣は、シームさんにあげるとしよう。
「私からは以上だ。それと、魔王様は執務室にいると思うよ」
「ありがとうございます!では!」
アルは執務室へと走っていった。
「ああ・・・全部説明する前に行っちゃったよ。せっかくデネブリスには特別な仕様を組み込んだっていうのに・・・」
「ほう?それはどんなのだい?」
「それは・・・お楽しみですね」
「本当に君は、腹が立つ事しかしないねぇ・・・」
「アル~今日はここに泊まっていかないかい?今日は少し疲れたよ~」
「研究は良いんですか?」
「うん~やる気がなくなっちゃったよー」
「じゃあ、魔王様にお願いして泊まれるようにしますね。ちょっと待っててください」
しばらくは戦いはない。つまりは暇だ。このくらいのんびりしたって良いだろう。
帰りの準備を止め、部屋から出ると、扉の先には満面の笑みを浮かべるスネイクさんが立っていた。
「うぉう!?いるなら入ってきてくださいよ!スネイクさん!」
「いやぁ、今入ろうとしたんだ。悪気はある。ごめんよ」
あるんだ。
「何のようだい?スネイク・ウィーマン。君と話すと高確率でイラッとするからなるべく早くここから去ってほしいんだが」
「まあまあそう言わずに~。君の大事なアル君にプレゼントをしにやってきたんだから」
そういうスネイクさんの手の中には、一本の剣が握られている。鍔の装飾から察するに、魔族の剣だ。
僕が採掘した物は違い、新品で錆一つない実戦にも使える代物。スネイクさんは僕にそれを渡すと、鞘を抜き、構えるように促してきた。
刀身には、文字が刻まれており、力と魔力を込めると、オレンジ色に淡く光り始めた。
「刻まれた文字は『デネブリス』。かつて、混沌としていた魔族社会を統一した魔族の名前さ」
「そんな良い名前が刻まれた武器を僕がとっても大丈夫なんですかね?」
「問題ない。君、今魔族の間でなんて呼ばれているか知っているかい?」
「・・・知っていますが、自分から言うのは少し恥ずかしいですね・・・あの名前を・・・」
最近、魔王軍に従事している人達から、ちょっと大それた二つ名をもらってしまった。とても恥ずかしい二つ名。僕には勿体無い二つ名だ。
「『闇の勇者』がそんなに気に入らないかい?ヒュームの身でありながら、闇の魔法属性をその身に宿し、魔族に味方し、男神ニグンが用意した勇者まで手中に収めた。君は魔王軍の勇者と言われてもおかしくない実績の持ち主だと思うけどね」
「・・・そう呼ばれても恥ずかしくないように、これからも頑張りますっ!!」
二つ名は置いといて魔族の剣をもらえた事は嬉しい。100年前の魔族が使用していた強力な武器。早く試してみたい。
カルー将軍の剣もまだまだ使えるけれども、折りたくはない。この剣は、シームさんにあげるとしよう。
「私からは以上だ。それと、魔王様は執務室にいると思うよ」
「ありがとうございます!では!」
アルは執務室へと走っていった。
「ああ・・・全部説明する前に行っちゃったよ。せっかくデネブリスには特別な仕様を組み込んだっていうのに・・・」
「ほう?それはどんなのだい?」
「それは・・・お楽しみですね」
「本当に君は、腹が立つ事しかしないねぇ・・・」
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