ツインワールド～異世界からの来襲～

七章 融合と絶望

プロローグ

 それは、本当に唐突な出来事であった。亮一が歩達とラグナロクのパーティに出ると言ってこの世界エデンから出ていってから数日後の事である。

 空が真っ赤な血の色に染まったのだ。その現象は夏川だけに起こった現象ではなく、世界各地で起こっていたのだとか。

 血色はどんどん濃くなっていき、その先に見えてきたのはレンガ造りの美しい城だった。中世のフランスにありそうな立派な城。

 やがて空だけでなく、視界までもが真っ赤に染まる。周りにいる人々が戸惑い泣き始める。

 警察として皆に冷静になるように呼び掛けるのが仕事だったのだろうが、そんな余裕は俺の中にはなかった。

 しばらく経つと視界が開けてきて、周りの建物や人々が見えてきた。だが、それ以外にもあり得ないものが俺の目には移っていた。

 山があったはずの場所に幽霊が住んでいるような不気味な枯れ木の林があったのだ。

 山は？山はどこにいったんだ？と周りを見渡すと、枯れ木の林の奥に存在していた。

 何が起こっているのか頭で整理をしたかったが、まったくできなかった。何たって原因がわからないのだから。

「キャアァ!!魔物よ!!」

 女性の悲鳴が町中に響き渡る。人々は女性の悲鳴があった方向を見るや否や走って何処かへと逃げ始めた。

 優人も慌てて悲鳴の方向を向くと、腐敗した人間の肉体が武装して住民に襲いかかっていた。

 まったく訳が分からない。いきなり空が血色に染まったと思ったら謎の林がいきなり現れて更に魔物まで現れた。

 ただ、自分の今やるべき事は分かった。武器は持ってはいないが、拳でも十分に勝てる。

 優人は決心すると、動く屍に向かっていった。