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六章2つの世界
ワイバーン
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森を出るとすぐ前には都市が広がっていた。工業が盛んなようで至るところから煙が上がっている。
ライムさんからの話によると魔族が作るガラス細工はとても綺麗なのだとか。
頭に角を生やした薄い紫色の肌の人達が道を歩く。どうやらその人達こそが魔族のようだ。
肌の色が違うというのに変な目では見られなかった。よくよく商店街を見てみると人間の商人がチラホラといる。
他にもガタイが良い赤い肌を持つオーガの戦士や小さな身体に緑の肌を持つドワーフの鍛冶職人もいる。
この国では色んな種族との交流がとても盛んなようだ。
道を歩いていると、横を歩くシトラが肩を叩いてきた。
「どうしたの?」
「上見て!上!」
とても興奮しているシトラ。たまに見せる無邪気な子どものような顔が本当にたまらない。
シトラの言う通り上を見上げると、信じられない光景が広がっていた。
「城が・・・浮いてる・・・!?」
何と城が浮いていたのだ。魔力が関係しているのは間違いないだろうが、一体どうやって?
「飛翔石って呼ばれる不思議な石の力で飛んでいるのさ。若い頃あそこに行くのに本当に苦労したよ」
「昔からああなっているんですか?」
流石は魔王城。人間界ではあり得ない事が1つや2つはある。
問題はどうやって城の中に入るのだろうか?
「翼竜、ワイバーンが連れていってくれるのさ。もう少し歩くとワイバーン乗り場が見えてくるぜ」
ワイバーン。恐ろしき魔物の種族である竜の一種。戦ったことはないが、強さ的にはリザードマンに毛が生えた程度の強さだそうな。
弱い代わりに飛ぶのが上手いらしく、ついでに知的生命体にとてもなつくらしく、ペットにする人もいるのだとか。
しばらくあるとライムさんの言う通り沢山のワイバーンがいる牧場のような場所へと着いた。
ワイバーンは自然を好む為牧場のような場所にしているのだとか。
「いらっしゃい。お客さん何体お求めで?」
ワイバーンをみていると飼育員らしき男が僕達に近づいてきた。
「6体お願いする。あとワイバーン初心者がいるから乗り方を少しレクチャーしてやってくれないか?」
「良いですが、レクチャー代を取りますがよろしいでしょうか?」
「構わない。いくらだ?」
「1日レンタル代とレクチャー代で合計金貨2枚ですね」
「高いな。まあ良い」
特にごねる事なくラグドは財布の紐を緩めて金貨2枚を飼育員の手の平に落とす。
「では、少々お待ちを」
カーキ色の鱗を持った2メートルぐらいの大きさの竜が僕達の前に連れてこられる。
竜だと思って警戒していたが、卵の頃から人の手を加えて育てていたらしく、人を襲う気配はまったくなく逆になついている。
人なつっこいせいかとても可愛く見える。乗馬場で馬を見た時と同じ感覚だ。
「基本温厚なワイバーンですが、怒った時は炎を吐いたりするので気をつけて」
「荷物はどうすれば良いですかね?」
亮一の言う通り。僕達はかなり荷物を持っている。これを乗せたまま宙に浮く魔王城に行くのは至難の業なのでは?
「ご心配なく。ワイバーンは華奢な身体をしていますが、とても力持ちなので150キロ以上じゃなければ楽々と飛んでくれますよ」
「もし150キロを超えてたら?」
と葵が質問するが、そんな人滅多にいないだろう。精々が98キロや100キロだ。
でも確かに150をオーバーしていたらどうなるのだろうか?少し気になる所である。
「その場合は───」
飼育員はおもむろに草原の方を向くと、息を大きく吸って練習しなければできないであろう大音量の口笛を鳴らした。
その音は本当に人間から出たのか?と疑いたくなるほどである。小学生が吹くリコーダーより大きかったのでは?
口笛を吹いた後はしばしの沈黙が僕達を襲う。しかしその沈黙はあまり長くは続かなかった。
バサバサ、と大きな翼の音と共にそよ風が髪の毛を揺らす。
何事かと思って目を凝らしてみると、小さな影がこちらに向かってきているのが分かる。
その影は次第に大きくなっていき、影が大きくなっていくにつれて、翼を羽ばたかせる音と風が強くなっている。
ぼやけていたシルエットが段々と見えてきた。
近づいてきているのは5メートルはあるであろう巨大な赤い鱗を持ったドラゴンだった。
「こちらのファイアドラゴンがいます。お値段は少々ワイバーンよりお高くなりますが───」
「「「「「「いえ、結構です!」」」」」」
★
「良いですねー!その調子その調子!」
乗馬ならぬ乗竜から1時間。初心者だった歩達はみるみるうちに上達していき、自由に飛べるようになっていた。
ワイバーンが空気を読んでこちらにあわせてくれたのが早く上達した理由だろう。
とにかくワイバーンに乗るのはとても気持ち良かった。馬では出せないであろう速度や飛行が心地よい風を醸し出している。
「歩ー!これスッゴい気持ち良いね!」
「だな!」
「アイツらワイバーンに乗ってる最中にもイチャイチャしてんな・・・」
「アンタの場合はベッドの上で明美とイチャイ・・・」
「やめてくれ」
何故誰にもいっていないはずの秘密を葵が知っているのか怖いが、そんな事がどうでも良くなるくらいワイバーンに乗るのが楽しくて仕方なかった。
「ひゃっほーい!」
歩達が上達したのを確認出来たようでライムとラグドもワイバーンに乗って空中を舞い始めた。
こちらの世界の住民だからか2人ともとてもワイバーンを操るのが上手い。
「よっしゃ!早速行こうぜ!」
ライムのテンションはいつもより高い。ライムは手に持っていた歩達の荷物を投げて各々に渡す。
「ちょっと重くなるけど、頑張ってくれよ」
ワイバーンの頭をやさしく撫でると気のせいか少し嬉しそうに鳴いた。
なんだか犬をあやしているような感覚だ。
「じゃあ、行こうか!」
いざ、宙に浮かぶ魔王城へ!!
ライムさんからの話によると魔族が作るガラス細工はとても綺麗なのだとか。
頭に角を生やした薄い紫色の肌の人達が道を歩く。どうやらその人達こそが魔族のようだ。
肌の色が違うというのに変な目では見られなかった。よくよく商店街を見てみると人間の商人がチラホラといる。
他にもガタイが良い赤い肌を持つオーガの戦士や小さな身体に緑の肌を持つドワーフの鍛冶職人もいる。
この国では色んな種族との交流がとても盛んなようだ。
道を歩いていると、横を歩くシトラが肩を叩いてきた。
「どうしたの?」
「上見て!上!」
とても興奮しているシトラ。たまに見せる無邪気な子どものような顔が本当にたまらない。
シトラの言う通り上を見上げると、信じられない光景が広がっていた。
「城が・・・浮いてる・・・!?」
何と城が浮いていたのだ。魔力が関係しているのは間違いないだろうが、一体どうやって?
「飛翔石って呼ばれる不思議な石の力で飛んでいるのさ。若い頃あそこに行くのに本当に苦労したよ」
「昔からああなっているんですか?」
流石は魔王城。人間界ではあり得ない事が1つや2つはある。
問題はどうやって城の中に入るのだろうか?
「翼竜、ワイバーンが連れていってくれるのさ。もう少し歩くとワイバーン乗り場が見えてくるぜ」
ワイバーン。恐ろしき魔物の種族である竜の一種。戦ったことはないが、強さ的にはリザードマンに毛が生えた程度の強さだそうな。
弱い代わりに飛ぶのが上手いらしく、ついでに知的生命体にとてもなつくらしく、ペットにする人もいるのだとか。
しばらくあるとライムさんの言う通り沢山のワイバーンがいる牧場のような場所へと着いた。
ワイバーンは自然を好む為牧場のような場所にしているのだとか。
「いらっしゃい。お客さん何体お求めで?」
ワイバーンをみていると飼育員らしき男が僕達に近づいてきた。
「6体お願いする。あとワイバーン初心者がいるから乗り方を少しレクチャーしてやってくれないか?」
「良いですが、レクチャー代を取りますがよろしいでしょうか?」
「構わない。いくらだ?」
「1日レンタル代とレクチャー代で合計金貨2枚ですね」
「高いな。まあ良い」
特にごねる事なくラグドは財布の紐を緩めて金貨2枚を飼育員の手の平に落とす。
「では、少々お待ちを」
カーキ色の鱗を持った2メートルぐらいの大きさの竜が僕達の前に連れてこられる。
竜だと思って警戒していたが、卵の頃から人の手を加えて育てていたらしく、人を襲う気配はまったくなく逆になついている。
人なつっこいせいかとても可愛く見える。乗馬場で馬を見た時と同じ感覚だ。
「基本温厚なワイバーンですが、怒った時は炎を吐いたりするので気をつけて」
「荷物はどうすれば良いですかね?」
亮一の言う通り。僕達はかなり荷物を持っている。これを乗せたまま宙に浮く魔王城に行くのは至難の業なのでは?
「ご心配なく。ワイバーンは華奢な身体をしていますが、とても力持ちなので150キロ以上じゃなければ楽々と飛んでくれますよ」
「もし150キロを超えてたら?」
と葵が質問するが、そんな人滅多にいないだろう。精々が98キロや100キロだ。
でも確かに150をオーバーしていたらどうなるのだろうか?少し気になる所である。
「その場合は───」
飼育員はおもむろに草原の方を向くと、息を大きく吸って練習しなければできないであろう大音量の口笛を鳴らした。
その音は本当に人間から出たのか?と疑いたくなるほどである。小学生が吹くリコーダーより大きかったのでは?
口笛を吹いた後はしばしの沈黙が僕達を襲う。しかしその沈黙はあまり長くは続かなかった。
バサバサ、と大きな翼の音と共にそよ風が髪の毛を揺らす。
何事かと思って目を凝らしてみると、小さな影がこちらに向かってきているのが分かる。
その影は次第に大きくなっていき、影が大きくなっていくにつれて、翼を羽ばたかせる音と風が強くなっている。
ぼやけていたシルエットが段々と見えてきた。
近づいてきているのは5メートルはあるであろう巨大な赤い鱗を持ったドラゴンだった。
「こちらのファイアドラゴンがいます。お値段は少々ワイバーンよりお高くなりますが───」
「「「「「「いえ、結構です!」」」」」」
★
「良いですねー!その調子その調子!」
乗馬ならぬ乗竜から1時間。初心者だった歩達はみるみるうちに上達していき、自由に飛べるようになっていた。
ワイバーンが空気を読んでこちらにあわせてくれたのが早く上達した理由だろう。
とにかくワイバーンに乗るのはとても気持ち良かった。馬では出せないであろう速度や飛行が心地よい風を醸し出している。
「歩ー!これスッゴい気持ち良いね!」
「だな!」
「アイツらワイバーンに乗ってる最中にもイチャイチャしてんな・・・」
「アンタの場合はベッドの上で明美とイチャイ・・・」
「やめてくれ」
何故誰にもいっていないはずの秘密を葵が知っているのか怖いが、そんな事がどうでも良くなるくらいワイバーンに乗るのが楽しくて仕方なかった。
「ひゃっほーい!」
歩達が上達したのを確認出来たようでライムとラグドもワイバーンに乗って空中を舞い始めた。
こちらの世界の住民だからか2人ともとてもワイバーンを操るのが上手い。
「よっしゃ!早速行こうぜ!」
ライムのテンションはいつもより高い。ライムは手に持っていた歩達の荷物を投げて各々に渡す。
「ちょっと重くなるけど、頑張ってくれよ」
ワイバーンの頭をやさしく撫でると気のせいか少し嬉しそうに鳴いた。
なんだか犬をあやしているような感覚だ。
「じゃあ、行こうか!」
いざ、宙に浮かぶ魔王城へ!!
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