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五章妖精達の森

エピローグ

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「・・・で、あまり里帰りは楽しめなかったわけ?」

「いや、そんな事はないよ。シトラのご両親に会えたのは凄い嬉しかったよ。目茶苦茶緊張したけど」

 コーヒーを淹れながら、カウンター席で頬杖を突く葵に笑いかける歩。

「大変だったのは分かったけどさ~お土産の1つや2つ持って帰ってきてくれよ~写真でも何でも良いからさ」

「写真?写真ならスマホの中にあるよ」

「おおっ、マジか。少し拝見」

 亮一は歩からスマホを借りるとエルフの里の風景の写真を見て、感動する。

「めっちゃ綺麗だな!俺も全国大会がなければ行けたのにな!」

 亮一の剣道全国大会はもう目の前まで迫っている。彼には頑張ってほしいものだ。

「おい、この写真・・・」

「ああ、シトラの実家で働いてるメイドさん達の集合写真を撮ってあげたんだ。凄い数でしょ?」

「20人は確実にいるな・・・この中にマクドスファンクラブだっけ?変な連中に刺された子はいるのか?」

「この、ちょっと暗めの子だね」

 歩がそう言ってスマホの写真に指を指したのはレジェドである。レジェドは僕達がオクトスを倒して邸宅に帰ると全回復していた。

 その時見た日本でもあまりやれる人のいない迫力のあるダイビング土下座を僕から生涯忘れる事はないだろう。

「でも、全員可愛いな・・・エルフの子って全員がそうなのか?」

「僕の目がおかしくなければ全員可愛かったよ・・・凄い肉食系だったけど」

「え?どういうこと?もうちょっと詳しく───」

 亮一がこれでもかと言わんばかりに食いついてくる。

「その話の前に掃除掃除!僕も仕入れた珈琲豆を試しているんだから」

「ちぇっ・・・」

「亮一頑張れー」

「お前も手伝え葵!」

「ちぇー」

 ぶつくさ言いながらも掃除を始める二人。ここ最近珍事件ばかり巻き込まれていたが、やっと落ち着いてきた。

 この調子で日常生活が戻ってくる事を願う。

「にしても、あの剣かっちょいいよなー!特にドラゴンを模した鍔が鳥肌だよ!」

 そういって興奮気味に亮一が指差したのは、壁に立て掛けられている竜殺しの剣だ。

 オクトスを倒した後、ニコラス王に返そうとしたのだが、『これは君のだ!』と言われてもらってしまったのだ。

 これからは片見の剣と竜殺しの剣を使い分けていきたいと思っている。

 それにしても・・・・・・。

「平和だなぁー・・・」

 戻ってきた日常に微笑む。いつ非日常が戻ってくるかは不明だが、その時は早急に対処するのみだ。

 ドンドン!まだオープン前なのに入口をノックする音が聞こえる。

 時間を間違えてしまったのだろうか?教えてあげないと・・・。

「すみません、まだ開店時間まで1時間あるんで・・・あれ?優人さん?どうしたんです?」

 入口をノックしたのは他でもない亮一の兄である優人さんだった。

 何やら汗だくだが、どうしたのだろうか?

「大変だ歩!全国のデパートに中世の格好をした人達で溢れている!」

「はいっ!?」

「しかも目的の物は全員生八ツ橋らしいんだ!」

「え!?・・・あ!」

 そういえば僕がお土産にラグナロクに持って行ったのって生八ツ橋だったよな?まさかそれが原因で・・・!

「ああ!もう!何でこうなるかなー!」

 やっぱり僕の日常が戻ってくるのはもう少しあとのようだ。
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